私たちの取り組む課題
多くの企業や個人の方から寄付金を集め、それで円錐角膜の方の治療費を支援したいと考えています。
今年度は、円錐角膜の進行を停止させる治療である角膜クロスリンキングの費用を、特に未成年の患者さんを対象にサポートする予定です。
将来的に十分な金額が集まった暁には、成人の方への角膜クロスリンキング費用の支援や、角膜クロスリンキング以外の治療費、特殊コンタクトレンズの費用の支援にも拡大していきたいと考えています。
なぜこの課題に取り組むか



円錐角膜とは
円錐角膜は、眼の角膜という部分が円錐形に前方に突出してくる病気です。円錐角膜になると近視と乱視が進んで視力が低下していきます。円錐角膜は、中高生、大学生ぐらいの年齢で発症し、その後も進行していきます。大人になると徐々に進行はゆっくりになり、中年以降はほとんど進まなくなります。
円錐角膜は珍しい病気ではありません。軽い人も含めると200〜300人に一人ぐらいの割合で見られます。
円錐角膜が進行すると、メガネやソフトコンタクトレンズでは見えなくなり、特殊なハードコンタクトレンズによる矯正が必要になります。さらに進んで重症になると、ハードコンタクトレンズを装用しても見えにくい、装用感がとても悪くて痛い、落ちやすくてスポーツや運転ができない、などの生活上の不自由が増えていきます。そして、ハードコンタクトレンズもできなくなると、角膜移植が必要になります。
角膜クロスリンキングとは
角膜クロスリンキングは円錐角膜の進行を止める治療です。角膜にリボフラビン(ビタミンB2)を点眼して染み込ませた後、紫外線照射を行います。日帰りでできる簡単な治療です。
円錐角膜が重症になってしまった場合には、元の状態に戻す治療はありません。重症になってしまった方は、いろいろな苦労をされています。中には、仕事を変えなくてはならなかった方や、運転免許を手放してしまった方、そのような体験の中でメンタルの状態が悪くなってしまう方もいます。
若くてまだ視力がそれほど低下していない段階で角膜クロスリンキングを施せば、視力が低下するのを防ぐことができます。すると、その人は一生涯、メガネでもソフトコンタクトレンズでも見える状態を保てます。メガネやソフトコンタクトレンズでも見えるということは、普通の近視の方と変わりないということです。つまり、早いうちに角膜クロスリンキングを行えば、円錐角膜はその人にとってハンディではなくなります。
角膜クロスリンキングの治療費について
角膜クロスリンキングは日本では保険診療になっておらず、患者さんは自分で治療費を払わなくてはなりません。これは、日本国内のさまざまなルールにより、角膜クロスリンキングが効果が認められている治療であるにもかかわらず、国内で承認申請をするためのコストと期待される収益が釣り合わないことによります。この問題は10年以上前からずっと議論されてきましたが、2025年8月現在、解決法はまだ見つかっていません。
現在、日本の保険診療では未成年者は公費の補助によりほとんどの病気の治療を自己負担なく受けることができます。ところが、角膜クロスリンキングは保険診療になっていないため、自費で行われています。円錐角膜は中学生から大学生ぐらいの年代の若者に発症することが多いため、ほとんどは保護者の方が費用を負担しています。
角膜クロスリンキングを受けるには、一眼につき15〜30万円ぐらいの費用がかかります。特に、両眼に発症してしまった場合、また兄妹で発症してしまった場合、負担はより大きなものになります。また、未成年の円錐角膜は進行が早く、重症化しやすい傾向があります。円錐角膜だとわかったら1日も早く角膜クロスリンキングをする効果が大人よりも大きいのです。
私たちは、まずは将来の社会を支えてくれる若い円錐角膜の人たちの角膜クロスリンキングの費用を支援するところから始めたい、と考えています。
支援金の使い道
ご支援いただいた費用は、今年度は以下の用途に使用させていただきます。
- 未成年の方への角膜クロスリンキング治療費の支援:以下の法人運営費を除いたすべて
- 法人運営費(法人設立費用、オフィス賃料、通信費、広報費用、事務職員人件費など):約500万円