私たちの取り組む課題
ミャンマー
帰還する難民の生活環境を改善するために
ラカイン州北部はいわゆるロヒンギャと呼ばれるムスリム系住民が多く住む地域として有名ですが、政情不安や紛争の影響などで大量の難民が発生してきた場所でもあります。BAJは90年代から国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のパートナー団体として活動を開始し、現在は難民の帰還に向けた同地域の村落の生活環境を整備する活動(道路整備、貯水地修繕、井戸掘削、ソーラー街灯設置など)をしています。
民族の融和を促進するために
ラカイン州北部の複雑な民族の状況において、異なる背景を超えて相互理解と信頼関係を築くことは重要です。私たちは異なる民族同士の女性たちを集めて小さな裁縫教室を運営しています。様々な学びの機会を提供するとともに、学びの場を通じた民族融和を促す活動です。たとえ規模が小さくとも、この地域にとって大切な場所であると考えています。
子どもたちの学習環境を整えるために
ヤンゴン郊外の孤児院や寺子屋学校などを中心に、本棚と図書をセットにした「小さな図書室」を寄贈する活動をしています。コロナや政情不安の影響から、こうした施設の運営にも多くの困難が出ていますが、子どもたちは学び続けています。図書の寄贈を通じて、子どもたちを少しでも勇気づけ、読書の喜びや楽しみを届けていきたいと考えています。
ベトナム
子どもたちといっしょに未来を考えるために
長年ベトナムのフエ市で子どもたちと環境活動を進めてきました。現在は市内3つの小中学校で環境教育の授業や、地域の自然や伝統を学び、その価値を実感してもらい、未来につなげていくための様々な学習の機会をつくっています。また、学校側と協議した上で、経済的に困難な状況を抱えている子どもたちへの奨学金の支給も一部行なっています。
都市の発展と調和した持続可能な農家の暮らしを創り出すために
ベトナムのフエ市で零細農家の収入向上支援活動を行なっています。町の発展とともに、地域に残る小さな農家は次々に農業をやめていきます。どうして経済発展とともに零細農家のしごとや生活文化は失われてしまうのでしょうか。技術と経済の2つのアプローチ(バイオガスダイジェスターと直売所運営)で、昔ながらの零細農家のくらしや文化を守り、発展させていく活動をしています。
なぜこの課題に取り組むか
困難を分かち合い、豊かさを学び合う国際協力をめざして
ミャンマーの活動背景
ミャンマーで活動をはじめたきっかけは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)でした。90年代初頭、当時もラカイン州北部では大量の難民が発生しており、90年代半ばごろから本格的に帰還が始まった頃でした。UNHCRは一緒に帰還民の再定住を支援する活動をしてくれる日本の団体を探していました。当時(今もですが)軍事政権のミャンマーで、二つ返事で請け負う団体はいませんでした。BAJは当時まだ立ち上がったばかりの頃。現場も見ないうちからやらないと判断することはできないと、設立メンバーたちが直接現場に出向き、同地の非常に困難な状況を目の当たりにし、誰もやらないなら自分たちがやると決断したことで現在まで続くミャンマーでの活動が始まりました。
ミャンマーはインフラがまだまだ未整備な社会です。村落部を中心に徐々に活動が広がっていきました。私たちの団体はミャンマーの人々とともに成長してきました。お互いに学びあい、その地域のためになることを第一に考え、活動を進めてきました。ますます混迷を深めていくミャンマーにおいて、あくまでも地域の人々の現場に寄り添っていく我々のようなNGOが果たす役割はまだまだ大きいという使命感を感じています。
ベトナムの活動背景
BAJの原点はベトナムです。設立者の学生時代にさかのぼります。ベトナム戦争の時代です。当時、設立者はベトナム人留学生の支援運動に関わっていました。ベトナム戦争が終結し、戦後復興支援を個人的に細々と行なっていましたが、いらぬ誤解も受けるようになり(儲かってるから支援していると勘違いされる時代であり)、団体を設立することにしました。
ベトナムの社会はこの数十年で大きく変わってきました。BAJは最初は行政関係者へ日本の公害経験を伝える活動や、ごみ収集車両の寄贈、障害者施設への支援などをおこなっていましたが、徐々に都市近郊の貧困層に対する支援活動に移っていきました。いまでは貧困地域も再開発が進み、今度は経済発展でしわ寄せを食ってしまう地域の自然環境や小さな農家をいかに守って発展させていくかという、まちづくりや持続可能な地域社会を人々と一緒につくっていく活動に変化しています。私たちのヴィジョンは、異なる背景を超えて、相互理解と信頼のこころの架け橋をつくることです。信頼関係の維持は生態系の維持と同じで終りがありません。よりよい社会をつくっていく市民レベルの地道な泥臭いチャレンジに、国や地域をこえて共感し合うこと。それが国際協力の、私たちの原点だと考えています。
寄付金の使い道
いただいたご寄付は、上記のミャンマーとベトナムの活動資金として活用いたします。