事業の目的
AMDA国際医療情報センターでは、外国人の方が医療機関を受診する必要があるときに、症状や状況に合わせて適切な医療機関を選択して案内します。英語・中国語・韓国語・タイ語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・フィリピン語で相談ができます。相談料は無料です。
2020年代半ばの現在、スマートフォンの翻訳アプリや翻訳機の性能も上がってきていますが、日本の医療機関を検索しようとするときには、やはり日本語を使わないとうまく検索できません。言葉の壁は検索時だけではありません。病院やクリニックの受付で日本語が十分にできないと、通訳環境が整えられていないため日本語のできる人と一緒に来てほしいという理由で診療を断られることがあります。
外国人の方々は、日本の医療制度についてよく知らないことによりうまく受診できないことがあります。日本では症状に応じて自分で診療科を選ぶことが必要です。また日本では大病院の混雑を緩和するため、軽症者や慢性疾患の継続受診などはクリニックを受診するように機能分化が進められており、大きな病院を受診する際には紹介状が必要となります。こうした日本の仕組みを知らないで病院の受付に行ってしまい、紹介状がないために受診できないと言われたり、クリニックに行ったものの、症状に合う診療科がないために受診できないということが起っています。
日本の医療のしくみでは、救急医療体制についても出身国の体制と異なることでうまく受診できないことがあります。日本の救急医療は「生命に関わる状態かどうか」で受診できるかどうかを判断されるため、救急受診は救急車でしかできない病院もあります。いっぽう、一般的には「急な発熱」「転んで足をくじいた」なども救急で受診が必要と認識されることがあります。このため救急外来を受診できると期待したであろう外国人が、病院の受付で受診できないと言われて困るということが起っています。
日本語ができるかできないかに関わらず、どの医療機関でも受診できる体制が整えられることが理想ですが、残念ながら現在の日本はそのようにはなっていません。外国語の堪能な医師がいる、外国語の話せる受付や医療スタッフがいる、医療通訳者を置いている、通訳業者と契約している、翻訳機を準備しているなど、何らかの通訳体制を整えている医療機関を探して受診するほうが外国人の方々にとっては受診しやすいというのが日本の現状です。しかし、どのような通訳体制をとっているかは医療機関によってさまざまです。スタッフの勤務によっては通訳を利用できる日が限定されていることもあります。そのような情報を外国人の方々は自分で得ることが難しいことがあります。AMDA国際医療情報センターでは、相談者が話しやすい言語で症状や医療機関に行きたい理由を聴き取り、なるべくその方の最寄り駅近くで適切な診療科に、日本語にハンディがあっても受診しやすい医療機関を探して相談者にお伝えする、ということを医療相談事業として行っています。