私たちの取り組む課題
NPO法人「わんぱくクラブ育成会」は、障がい児・者とその家族が豊かな人生を送れることをめざして、1987(昭和62)年から東京都世田谷区で活動してきました。現在は、小学生から高校生までの障がい児が放課後や長期休暇中に集団で遊べる場を提供する「放課後等デイサービス(放デイ)事業」に加え、ひとりでは余暇を楽しむことが難しい成人の障がい者の余暇活動の支援や、育ちを支える必要がある就学前の子どもを対象にした発達支援など、幅広い事業を展開しています。
障がい児の親が集まり、学童クラブ「わんぱくクラブ」をつくったことが出発点でした。以来、30年余り。障がい児・者の保護者と職員が協力して運営を続けてきたところが私たちの大きな特徴です。「放デイ」は2012年4月に児童福祉法上の事業に定められ、近年では民間企業の参入が相次いでいますが、私たちはこうした事業活動を、政府が法律で認めるずっと前から続けてきました。2000年にNPOの認可を受け、現在の会員は140世帯を超えています。幼児から40代の成人まで、幅広い年齢層の障がい児・者のゆたかな暮らしを支えるために、日々力を合わせて活動しています。
なぜこの課題に取り組むか
放課後に学童保育に通う小学生は、学校や家庭とは違う「第3の居場所」で、集団で遊ぶ時間を通して日々成長していきます。安心して子どもたちを預けられる場所があることで、家庭と仕事を両立することができる保護者の方々もたくさんおられます。
ちょっと想像してみてください。障がいがある子どもたちは、どんな放課後を過ごしているのでしょうか。
障がい児は、健常児のように学校で約束して自ら遊びに行くことが難しく、学童保育や習い事にも受け入れてもらえないことが多いのです。友だちと遊んだり、ゆたかな人間関係を作ったりできる機会はけっして多くはありません。このため、子どもが放課後を過ごす場所に悩む保護者が少なくないのです。
でも、障がい児やその家族にとっても、ゆたかな放課後を過ごせる「第3の居場所」が必要です。そんな居場所を見つけることがとても難しかったので、私たちは自らの手で「第3の居場所」を立ち上げ、30年以上にわたって守り続けてきました。
障がい者が学齢期の先の長い人生を歩んでいく上でも、それぞれの家庭と就労先などとは異なる「第3の居場所」が必要だと私たちは考えています。高校を卒業した後の障がい者が、平日の夕方や週末に、学齢期に培った仲間たちと集まって余暇を楽しむグループ活動の場「ひかり」も自ら立ち上げ、活動を続けてきました。メンバーは週1回、仲間と会うことを楽しみにしています。仲間と過ごす時間の中で自分の存在を確認し、その時間が明日への活力になっているのです。
こうした大切な「居場所」がいま、危機にさらされています。福祉サービスの事業報酬が昨年4月に見直され、大幅な減収を強いられて存続の危機に直面する事業所が出てきています。今回の改定は、利潤を追求する一方で、保育の質が低い事業所が増えているという批判にこたえたものでしたが、減収によって手厚いケアをしてきた事業所までが苦境に立たされるという本末転倒な事態が起きています。
さらに、成人期の余暇活動を支える公的な支援はもともと十分ではありません。かけがえのない「居場所」をこの先も守っていけるのか。私たちはそんな不安を抱え、不安定な事業運営を強いられています。
障がい児・者と家族のゆたかな暮らしを支え、もっと笑顔を増やしていくために――。私たちの活動を応援してくださいませんか。
寄付金の使い道
私たちはこのような課題に直面しながら、保護者と職員が力をあわせて事業運営の努力を続けています。
いただいたご寄付はわんぱくクラブの運営を継続し、障がい児・者と家族のゆたかな暮らしを支え、もっと笑顔を増やしていくための事業運営費として活用させていただきます。