パン菓子工房oui(ウィ)〜シェア工房のこと
2020/6/12 18:45
南三陸町にパン・菓子工房ouiをオープンしたのは2017年2月のこと。ウィのパンの製造販売と同時に、製造販売にチャレンジをしたい人・グループが、利用者として登録したうえ、時間決めで利用できる工房として運営しています。
このシェア工房プロジェクトは、この町に暮らす女性の「美味しいカンパーニュ*を食べたい」のひとことから始まりました。この町では当時、カンパーニュは買えませんでした。
ないなら自分でつくればよい、つくるなら上手につくりたい、いずれは販売もしてみたい。そんな思いで集まった女性たちとパンのスキルアップ教室を開催したのが2015年のことです。
多くの皆さんのご協力によって工房ができるまでのストーリーは、ぜひ、こちらを読んでください。(話したいエピソードは沢山ありますが、長くなりそうなので。もっと詳しく聞きたい人はぜひ声をかけてください。)
https://womenseye.net/oui-project
2017年2月に工房をオープンしてからこれまでに23名が工房に利用登録しています。パン・菓子・饅頭など、それぞれが得意なものをそれぞれの屋号で製造・販売しています。年数回イベント出店しているグループや、自分のお店を開く前に1、2回利用した人、1年以上通ってパンを焼き、今では自分の工房をもった人もいます。みんなそれぞれのペースで真剣にパンや菓子づくりに取り組んでいます。工房では、そんな利用者さんにスキルアップ教室の開催や、材料の量り売りなどで事業継続のサポートをしています。
私は、この工房で女性たちが輝く瞬間に何度も立ち会ってきました。やりたいことに向かっていく時の、喜びと期待と緊張混じりの表情は本当にキレイだなと思います。
ただ、一歩踏み出した先にはいろんな試練があります。特に、女性たちを見ていると自分の覚悟だけではどうにもならないこともあり、家族の理解と協力が欠かせません。そして、続けていくためには、お金ともうまくつきあっていかなくてはいけません。コトを起こすことは、大変なことが沢山ありますが、自分で決めることの繰り返しの中でしなやかな強さを身につけていくような気がしています。
自分のやりたいことが見つかった時、それをカタチにしていくためにチャレンジできる・実践の場があるかないかの差はとても大きいと思います。自分の暮らす地域にそのような場がない時の選択肢は、外にでるか、諦めるかになりがちですが、一人ではできないことも誰かとシェアすることや工夫次第で可能性が広がります。工房は、パンや菓子などの共同加工場として、一歩踏み出す人たちをこれからも応援していきたいと思っています。
(栗林美知子)
*カンパーニュ=田舎風フランスパン
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