Story
広島・平和記念公園の足元に、かつて町がありました。
映画館があり、旅館があり、誰かの暮らしが確かにありました。
広島きっての繁華街、中島地区。
被爆地に生まれ育った私たちでさえ、その町の詳細を知らないことが多いように思います。
けれど、そこにも確かに「日常」があり、そこで生きた人々がいました。
歴史の大きな流れの中で埋もれてしまう、小さな出来事や哀しみ。
演劇は、そうした「ひとかけら」を見つめ、描き、舞台の上から語りかけ、客席と語り合う営みです。
その手法をもって、原爆、戦争、そして人間を描きたい。
私たちは「消えてしまった町」に焦点を当てました。
五色劇場『新平和』。
コロナ禍や経済的な事情で実現できなかった「広島での再演」を、2026年夏に、いま改めて実現します。
この作品を30年後も残していくにはどうしたらいいのか。俳優・演出家・主催が改めて向き合い、継承のかたちを探る第一歩に繋げるための公演です。
未来へつなぐ道筋を、ぜひ一緒に創っていただけませんか。

(舞台写真:井上嘉和)
五色劇場『新平和』は、どんな劇なのか
五色劇場『新平和』は、原爆投下前の中島地区…つまり現在の平和記念公園一帯に確かにあった、「暮らし」に焦点を当てた演劇作品です。俳優自身が資料を調査し、聞き取りを行いながら、創り上げてきました。

歴史の中で語られにくい小さな出来事や、それぞれの哀しみ。
そうした「ひとかけら」を舞台の上で見つめ、客席とともに受け取り直していきます。
そうすることで、ヒロシマを伝承していく方法を、私たちは模索してきました。
「考え続けることそのものが作品」
この作品は、結論を提示するための作品ではありません。
観てくださった皆さまと同じ時間を過ごしながら、「考え続ける」ための場をひらきたいと願っています。
作品は2017年、2018年と2度の試演会を重ね、2019年に本公演『新平和』を上演しました。2021年度には俳優たちにより再創作を実施し、東京・京都・宮崎の3都市公演を行いました。演劇雑誌『テアトロ』に劇評が掲載されるなど(2022年6月 高橋宏幸『今月選んだベストリー』)、各地で反響もいただきました。

(舞台写真:井上嘉和)
京都、東京、宮崎。それぞれの劇場で、公演アンケートへ多くの声をお寄せいただきました。
「この作品が今後50年先も100年先もそのずっと先も、もう誰も原爆が投下されたヒロシマ、ナガサキのその日のことを知る人がいなくなっても、ずっとずっと先も関わる人を変えながらでも沢山の人に観られるものになっていってほしい。」
「文化は無力ではない。本当にそうですね。綺麗事ではない本当に私たちが生きていく上での大切なことを見せていただきました。」
そんな大切な言葉が、いまも私たちの手元に残っています。

(舞台写真:井上嘉和)
一方で、コロナ禍という社会状況や経済的な事情で、2021年度に再創作された『新平和』の「広島公演」は実現できませんでした。
ツアーが終わったあと俳優たちはそれぞれの活動に戻り、この作品は約5年間、動けない時間が続きました。
いま、この作品を上演すべき理由
そして2026年。私たちは、考え続けています。
今も世界のどこかで、力によって壊されている誰かの暮らし。
乱暴な言葉によって引き裂かれていく関係。
昨日まで当たり前だった日常が、簡単に消え去ってしまう現実。
原爆劇の創作に携わってきた私たちとして、そうした出来事に触れるたび、感じることが多くありました。
「知りたい」「目をそらしたくない」と思っても、どう動けばいいのか分からない…そんなもやもやを抱える人もいます。
だからこそ、知っていくことを続けよう。そのためにも、まずは再び上演しよう。
「2021年に断念した広島公演を、いま実現したい」。その思いは、いまの私たちの時間の中で、いっそう強くなっています。
被爆から81年目を迎えようとしている、今。
俳優たちと再び対話を繰り返しながら、広島でこの作品を“再起動”させたいと考えています。

再演により目指すこと
今公演では、宮崎県都城市を拠点に地域に根ざした活動を続ける「劇団こふく劇場」の俳優4名とともに創作します。より強度のある作品を生むことを目指します。
俳優たちによる資料調査やフィールドワーク、被爆者によるオーラルヒストリーを経て創作された本作。
地力のある演劇作品として評価された本作の鑑賞機会をつくるとともに、いま改めて「ヒロシマを伝承していくとはどういうことだろうか」という問いかけを社会に発信します。
そしてもうひとつ。今回の再演をきっかけに、私たちは考えたいのです。
どうしたらこの作品が、30年後も残っていくのだろうか。
演出家が変わっても、俳優が入れ替わっても、作品が引き継がれていくにはどうしたらいいのか。
何をすればいいのか、まだ決まってはいません。だからこそ、まずはやってみる。
上演という実践の中で、次に何をすべきかを見つけていきます。
この広島公演は、その第一歩です。
皆さまへのお願い
読んでくださった皆さまに、お願いがあります。
五色劇場『新平和』の創作を、ご寄付で支えていただけないでしょうか。
2019年公演、2021年度のツアーは、関係者との共同主催の形で実施してきました。
今回は、舞台芸術制作室 無色透明が主催として広島での上演を成立させる挑戦です。
いただいたご寄附(手数料を除く)は、創作に係る交通宿泊費、委託費(照明、音響)の一部として大切に活用いたします。本活動外には使用いたしません。
皆さまのご寄附は、広島での上演を成立させるために必要な「人」と「技術(照明・音響)」を支える力になります。
ご寄付いただいた方々には、活動報告書と、主催より御礼のお手紙をお届けします。

(舞台写真:井上嘉和)
広島に確かにあった日常を。壊されてしまった誰かの暮らしを。
未来に伝えつないでいくために。
再び走り出した私たちのプロジェクトに、ご一緒いただけませんか。
企画概要
令和8年度アステールプラザ芸術劇場シリーズ[レジデンスコレクション]
五色劇場『新平和』
●作・演出・構成/柳沼昭徳(烏丸ストロークロック)
●出演・スタッフ/小林冴季子 高山力造 深海哲哉 松陰未羽 山田めい
かみもと千春 濵沙杲宏 有村香澄 池田孝彰
●制作/岩﨑きえ(舞台芸術制作室 無色透明)
●会場/J M Sアステールプラザ 多目的スタジオ
〒730-0812 広島県広島市中区加古町4−17
●日時/2026年 7月24日 (金)19:00
7月25日 (土)13:00・19:00
7月26日 (日)13:00
●料金/一般前売3,000円(当日3,500円)、25歳以下前売2,500円(当日3,000円)高校生以下前売500円(当日1,000円)、65歳以上前売1,500円(当日2,000円)、障がい者及び原爆手帳割 1,000円
●主催/一般社団法人舞台芸術制作室無色透明
●共催/(公財)広島市文化財団 アステールプラザ
●お問合せ/舞台芸術制作室 無色透明 info.musyokutoumei@gmail.com
これまでの上演記録
2017年6月 広島アクターズラボで生まれた五色劇場の試演会『新平和』 東区民文化センター舞台芸術促進事業
2018年6月 広島アクターズラボで生まれた五色劇場の試演会②『新平和』 東区民文化センター舞台芸術促進事業
2019年6月 広島アクターズラボ 五色劇場演劇公演『新平和』広島公演 東区民文化センター舞台芸術促進事業
2019年8月 広島アクターズラボ 五色劇場演劇公演『新平和』福岡公演 サザンクス筑後平和事業
2021年12月 烏丸ストロークロック×五色劇場 新平和 リーディング 広島 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
2021年12月〜2022年3月 烏丸ストロークロック×五色劇場『新平和』京都・東京・宮崎 3都市ツアー 芸術文化振興基金助成事業
【3,000円】上演に係る交通宿泊費・委託費として大切に活用します
¥3,000
いただいたご寄附は、五色劇場「新平和」に係る交通宿泊費、委託費(照明、音響)の一部として大切に活用いたします。本活動外には使用いたしません。ご寄附いただいた方への御礼として活動報告書と主催より御礼のお手紙をお届けします。

