タイ東北部・コラート郊外にあるピマーイウドムスック村。
高速鉄道建設や保護林指定の影響で、住む土地を追われた46軒の農家が集まってできた“仮設のような村”です。
行き場を失い、誇りを失いかけていた村の人たちが、
今、「完全オーガニックへの転換」と「自分たちの名前で誇れるブランドづくり」に踏み出しました。
しかし、その矢先に村を襲ったのは、雨季の大洪水。
畑も道路も、せっかく仕込んだ有機肥料も、魚やカエルの養殖池も濁流に流されてしまいました。
それでも、村人はこう言いました。
「オーガニックはあきらめない。洪水に負けずに前に進む。」
Yum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN は、現地に通い続ける“伴走役”として、
この挑戦に長期で寄り添うためのマンスリーサポーターを大募集しています。
12月の寄付月間に合わせて改めて募集させていただくことにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。
Story

土地を追われた46軒の農家が集まる、“共同体の歴史”が抜け落ちた村
ピマーイウドムスック村は、タイ東北部の玄関口、ナコーンラチャシマー県(通称コラート)郊外にあります。
中国が主導している「一帯一路」の高速鉄道建設や保護林指定などの影響で、
それまで住んでいた土地を追われた農家が、各地から集められてできた村です。

• 同じ村でも、出身地や来た理由がバラバラ
• 兼業農家も多く、比較的裕福な家と掘っ立て小屋のような家が並ぶなど暮らしの格差がある
• 作っているのは、どこにでもあるありふれた野菜ばかり
• ローカル市場には安価な野菜が溢れ、利益がほとんど出ない
例えるなら、日本で言う「震災避難のための仮設住宅が、そのまま村になった」ような状態。
生まれながらに持っているはずの「共同体としての歴史」が、この村にはありません。
私たちYum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN(ヤムヤム)が村と出会ったのは、コロナ禍のさなか2022年9月のことでした。
これまで活動の中心として継続してきたローカル紹介フードイベントの企画開催もできず、
ヤムヤム自身も2012年から続けてきた活動が止まりかけていた時期。
「住んでいた土地を失い、生計を立てられず、人としての誇りさえ奪われている人たちがいる」
その状況は、私たち自身の停滞した状況とどこか重なって見えました。
こういうことも、タイミングも何かのご縁、
「一緒に打破していきたい!」
そう思って始まったのが、この村との挑戦なのです。
275人のクラウドファンディングが開いた“最初の扉”

READYFORで実施した8年ぶりのクラウドファンディングには、思いがけず275名もの方が参加してくださいました。
おかげで、初年度の支援として、
• 村の現状を知るための聞き取り・対話の場づくり
• 村民が必要としていた農産品加工のための施設や機器の購入
• 支援者のみなさんの現地訪問ツアー
などを約束通りに実現することができました。
実際に日本からもたくさんの方が村を訪れ、自分の目で現地を見て、村人と食卓を囲みながら、様々な話をしてくれました。
その時間は、村にとってもヤムヤムにとっても、かけがえのない学びの連続でした。
しかし、クラウドファンディングの仕組み上、プロジェクトには実施期間があります。
けれど、当然ながら村の営みには期限はなく、その先も続いていきます。
一度関わって関係性が生まれた以上、「一年で終わり」にすることはどうしてもできませんでした。
そこで私たちは、今日までの二年半にわたる伴走支援を、ほぼ自己資金のみで続けてきました。
二年半の伴走支援で見えたこと
二年半の伴走支援中は手探りでした。
村民のやる気を尊重し、あくまで村民のやる気を削がないようにサポート中心で動いてきました。
しかし、どうもうまく進まない_。
タイ特有なのか?支援されることに慣れてしまっている、どこか人任せなところがある。
現地に通い続け、膝を突き合わせて話を重ねる中で、はっきりと分かったことがあります。
■「支援物資」や「施設建設」だけでは、村は何も変わらない
■ 村の未来を動かすのは、村民自身である
加工施設や機材を整えることは、単なるスタート地点にすぎません。
そこに「どう生かすのか?」という明確なイメージと、チャレンジする意思がなければ、続かないのです。

しかし当初のピマーイウドムスック村には、
• 村として目指す方向やコンセプト、共通の目標がない
• 村人同士で一つの方向に向かっていく文化がない
という、目に見えにくい課題がありました。
そして、ここになかなか気づけなかった。
せっかく新しい取り組みを始めても、次に村に行くと止まっている。
また別の案が持ち上がっては、根を張る前に消えてしまう。
その繰り返しでした。
だからこそ必要なのは、設備やモノではなく、村民一人ひとりの心の中に「見えない柱」を立てること。
私たちは、そう確信するようになりました。
「完全オーガニック」と「産地ブランド化」への大きな舵切り
そこで相談したのが、同じコラート県で1999年から完全オーガニック農業を独自に切り開いてきた、
ハーモニーライフ・オーガニックファームの大賀代表です。
• 化学肥料も農薬も一切使わずに栽培する
• 欧米や日本への輸出も行う、タイのオーガニックの先駆者
産地取材以来、ヤムヤムとは10年以上のお付き合いがあり、今回も親身になって相談に乗ってくださいました。
私たちは大賀さんと一緒に、村の未来の姿を描き直しました。

• 村の農業を完全無農薬・オーガニックへ転換する
• ピマーイウドムスック村でしか作れない、付加価値の高い農産物を育て、加工品を開発する
• 村の名前そのものを、誇りある「産地ブランド」にしていく
それは、「安い野菜でしのぐ」から「選ばれる農産物を育てる」への転換です。
この大きな舵切りを本気で進めるために、事前に村民全員で何度も話し合いを実施して、村人の代表6名を選抜し、
2025年7月末にハーモニーライフ・オーガニックファームでの、2日間の合宿研修を敢行しました。
研修で生まれた、“下を向いていた大人たち”のまなざしの変化
研修に参加したのは、ウドムスック村の中核を担う6人。
タイも日本同様、農村部は若者が少なく高齢化が進んでおり、村も同様にお年寄りが中心のメンバーです。
しかし研修室では、笑顔が溢れ、みんながまるで小学生のように目を輝かせていました。

• ノートをびっしり取りながら話を聞く
• 積極的に挙手をして質問する
• 昼食の休憩時間にも、出されたオーガニック野菜を食べながら議論が止まらない
「村に戻ったら、こうしてみたい」
「このやり方なら、自分たちでもできるかもしれない」
そんな言葉が、自然と溢れ出てきました。

この“気持ちの変化”こそ、最大の成果でした。
どことなく下を向いていた村が、グッと前を向き始めた瞬間でした。
一緒に研修に参加していて、胸が熱くなりました。
村に戻ってからは、村人たち自ら次の目標とアクションを決めました。

• 村の畑を段階的に完全オーガニックへ切り替える
• オーガニックタイランド認証を取得する(5年かかる見込み)
• 研修内容を資料化し、参加できなかった村民全員と共有する
• 手順書を印刷して全ての住民に配り、栽培指導を行う
• 雨季明けの本格シーズンに向けて、有機肥料・有機防虫剤を手分けして仕込む
新しいピマーイウドムスック村が、いよいよ動き出した!
まさにその矢先でした。
雨季の大洪水。すべてを奪われても、「あきらめない」と決めた村

2025年9月末、雨季の大雨が村を襲いました。
• 村の2km上方にある地区の溜池があふれて大量の鉄砲水が発生
• 未舗装だった村の中心道路は瞬く間に濁流の川に変わり
• 一晩で赤土はえぐられ、1mを超える大きな段差ができてしまった
家の中や村民の集会場にも濁流が流れ込みました。
村人総出で仕込んでいた有機肥料の作業小屋にも水が大量に入り込み、
村内にある溜池のティラピアや、養殖していた食用ガエルもすべて流されました。
「全部、やり直し。」
タイ赤十字の物資支援や地元行政の視察はあったものの、根本的な状況は変わっていません。
そんな中で村人たちは、私にこう言いました。
「オーガニックは決してあきらめない。洪水に負けずに前に進む。」

その言葉を聞いた瞬間、私も腹をくくりました。
「絶対に、この挑戦を続けるための土台をつくらなければならない。」
だから今、「マンスリーサポーター」という仲間を募ります
ピマーイウドムスック村の再生は、1年や2年で終わる話ではありません。
ブランドづくりも、完全オーガニックへの転換も、洪水対策も、すべて長期戦です。
そのプロセスに責任を持って伴走するには、
• 日本とタイを往復する旅費滞在費
• コラート市内から村までの車両費(ドライバー手配、往復のガソリン代)
• オーガニック栽培研修や勉強会の企画運営費
• 資料や手順書の作成・印刷費
• 洪水など緊急時の復旧をサポートするための対策費用
といった、「しくみ」を支える継続的なコストがどうしても必要です。
これまでは、事業収入の投入、代表・西田の自費提供でなんとかやりくりしてきましたが、
急速な円安進行や現地の物価高騰のダブルパンチもあり、同じやり方を続けることがかなり難しくなってきました。


そこで今回、「マンスリーサポーター」という形で、継続的に応援してくださる仲間を募ることにしました。
これは、モノや施設を買うための支援ではありません。
村の人たちが自分たちの力で立ち上がるための生活基盤づくり、
“土台(しくみ)”の構築を一緒に支えるための支援になります。
マンスリーサポーターになった方へのお約束
マンスリーサポーターとして仲間になってくださった方には、以下の形で村の歩みを共有します。
• タイから帰国するたびに「マンスリーレポート」(毎月一回)メルマガをお届け
〜現地での出来事を、良いことも悔しいことも含めて、支援者の方のみに包み隠さずお伝えします。
〜SNSでは書けないような、生のエピソードも含めて限定共有します。
• オンライン報告会・現地報告会へのご招待(不定期)
〜現地で撮影した写真や動画を交えながら、村の「今」を直接お話しします。
• タイ現地訪問の優先案内
〜日程が合えば、実際にピマーイウドムスック村をご案内します。

日本から応援してくれる、我々ピーマイウドムスック村のことを知ってくれている方がいること、
日本の支援者の存在を感じることは、村の人たちにとって何よりの心の励ましです。
現在すでに、60名を超える仲間が、マンスリーサポーターとしてこの取り組みに加わってくださっています。
これからも、一人ひとりと一緒に、村の変化を見守り、村の生活を再建し、育てていきたいと思います。
こんな方に、ぜひ「仲間」になってほしいです
• モノではなく、プロセスやしくみを支える寄付に関心がある方
• 農業、オーガニック、食、フェアトレードなどの分野に関心がある方
• タイや東南アジアと日本をつなぐ取り組みに関わってみたい方
• READYFORでのクラウドファンディングに参加し、「その後」が気になっていた方
• 「誰かの誇りを取り戻す挑戦」に、長く伴走したいと思ってくださる方

あなたの毎月のご支援は、「できない理由」を数えるのではなく、
「どうすれば実現できるか」を一緒に考え、実現していく村を育てていくことに繋がります。
この村のストーリーそのものに共感し、この村を応援したいから買いたい!
数ある産地の中から、選んで買ってもらうための仕組みづくりです。
この過程の中から、村民自らの存在価値を、村民自身が証明していくことは、
現代社会からドロップし、よりどころを無くした人たちの心に、
しっかりとした自信や誇りを取り戻すことにつながると思います。
この一連の流れをこれからの伴走支援を通じてサポートし、必ず実現していきたいと思います。
また、タイ国内で同様の課題を抱える村や地域は多く存在します。
少しでもここで自ら得た知見を有効活用して、他の地域でも課題解決に役立ちたい。
ヤムヤムがタイで今後も活動継続していくべきローカル支援の姿は、まさにこれだと考えています。
代表メッセージ 「これは、私ひとりの夢物語ではありません。」
相談を受けて最初にピマーイウドムスック村を訪れたとき、
私は、「この挑戦は自分ひとりの夢物語かもしれない。」と不安でした。
• タイのローカルの村で本当に課題解決ができるのか?
• 期待に十分に応えることができるのか?
• 果たしてこれまでの経験が通用するのか?
なぜなら、ヤムヤムの活動は日本国内のローカル支援の取り組みが中心でした。
そんな中で、8年ぶりに挑戦したクラウドファンディングを通じて、
新たな仲間と繋がることができ、自分自身もヤムヤムの活動への期待感を再確認することができました。
また、即答で「村にも行きます!」と、遠路はるばる現地まで来てくれた支援者の方々がいました。
あのときのスピード感と熱量は、村にとっても、私自身にとっても大きな心の支えでした。
「これは、自分ひとりの夢物語じゃない。」
「ちゃんと一緒に動いてくれる仲間がいる。」
心の奥底でそう思えたからこそ、二年半もの間、熱意を持ち現地に通い続けることができました。

またしても、洪水で多くを失っても村人たちは「オーガニックは決してあきらめない」と言いました。
その言葉に応えるために、私も覚悟を決めています。
どうか、マンスリーサポーターとして、この挑戦の“仲間”になってください。
ピマーイウドムスック村がもう一度、自分たちの名前を誇りを持って名乗れるように。
その日まで、一緒に歩んでいただけたら本当に嬉しいです。
特定非営利活動法人 Yum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN
代表理事 西田誠治


