山梨の街では、毛玉に覆われ動けなくなった地域猫、食べ物も水もなく痩せ細った工場の猫、違法罠で両脚を失った「イブ」、山奥に捨てられた黒猫「福ラッキー☆くろみつ」など、助けを必要とする命が後を絶ちません。
私たち「ねことも・やまなし」は2014年から、野良猫の保護・治療・譲渡、そしてTNR(捕獲・避妊去勢・元の場所へ戻す)活動を続け、猫と人が安心して共に暮らせる地域づくりを進めてきました。現在は約188匹の保護猫が4つのシェルターで暮らし、「ねことも診療所」では月1回の手術や治療を行っています。
しかし物価や医療費の高騰で、シェルター維持や傷病猫の保護が難しさを増しています。これからも一匹でも多くの命をつなぎ、猫と人の幸せな物語を広げるため、皆さまのご支援を心よりお願いいたします。
Story
「この街に、猫と人の幸せな物語を増やしたい」
私たちの街では、毎日のように「助けを必要とする猫たち」の物語が生まれています。
たとえば――
毛玉に覆われ、命の危機にあった地域猫のこと
2025年8月、40度近い猛暑の中で「毛玉だらけで動けない猫がいる」とレスキューの依頼が入りました。
その猫は、10年以上地域で見守られてきた臆病な長毛の地域猫。深夜まで粘った捕獲、突然の豪雨、酷暑……。ようやく保護できたとき、刈り取られた毛は45リットルのゴミ袋の3分の1にもなりました。
いつ熱中症で亡くなってもおかしくない状況でしたが、治療を経て無事に仲良しの兄弟のもとへ戻っていきました。
食べ物も水もなく、痩せ細った食品工場の猫たちのこと
↑この猫ちゃんは「ぐりこ」ちゃん。捕獲後、横隔膜ヘルニアの手術が必要であることが発覚しました。手術は困難なもので費用も高額でしたが、ボランティアさんからのご支援により無事に手術を受けることができ、現在綿半の譲渡会に参加中です。
2025年1月、ある食品工場の周辺で30匹以上の猫が痩せ細り、汚水を飲み、餌を求めて徘徊しているという相談がありました。
氷点下の寒さの中、突風に耐えながら深夜まで続いた捕獲。保護された猫たちは痩せすぎ、怪我や病気を抱えた子も多数。
「戻せば生きられない、でも保護する場所もない」――そんな苦しい現実の中で、ボランティアや預かりさんと力を合わせ、命をつなぎました。
違法罠で両脚を失った「イブちゃん」のこと
2023年12月、山中の施設で後ろ足を負傷した猫が発見されました。違法罠で両脚が損傷し、骨がむき出しになっていた「イブ」。
両足の切断手術を受け、一命をとりとめました。
1年後の「イブ」はふわふわの体を取り戻し、少しずつ人に心を開き始めています。
(中見出し)山奥に遺棄され、飢えと寒さに震えていた「福ラッキー☆くろみつ」のこと
2025年2月、甲府の山奥で段ボールの中に遺棄されていた黒猫。
骨と皮だけに痩せたその体、人への強い不信感。名前は「福ラッキー☆くろみつ」。
ベテランボランティアの愛情に包まれ、臆病な彼は甘えん坊へと変わりました。
そして4月、新しい里親さんのもとで、再び“家族の物語”が始まっています。
(中見出し)あなたの街にも、こんな物語があります
毛玉の猫も、工場で飢えていた猫たちも、「イブ」も、「くろみつ」も。
彼らの姿は決して特別ではなく、私たちの暮らす街のどこにでもいる猫たちです。
猫の命を守ることは、地域の安心を守ることでもあります。
だからこそ私たちは2014年から山梨県内で野良猫の保護と譲渡、そしてTNRを継続してきました。
TNRとは、T(トラップ=捕獲)・N(ニューター=避妊去勢手術)・R(リターン=元の場所に戻す)の一連の活動を指します。
この取り組みにより、2014年から2023年までに約3,700匹の猫に不妊・去勢手術を実施。
さらに2024年は276匹、2025年は8月までに345匹の手術を行いました。
また、シェルターで保護した猫たちのうち2024年には38匹、2025年は8月までに45匹が新しい家族のもとへ。
過酷な環境で生きてきた猫たちが安心できる家庭で幸せな生活を始められることが、私たちの何よりの喜びです。
これまでの多くのご支援のおかげで、猫と人の幸せな物語を増やしていくことができました。
私たちは、皆さまからの温かいご支援に支えられ、命をつなぐ大きな一歩を重ねてきました。
2021年:多頭飼育崩壊から40匹の命を救った初めての挑戦
過去最大規模の多頭飼育崩壊が発生。
悪臭と汚物に覆われた二世帯住宅の一軒家で、約40匹の猫が助けを求めていました。
初めてのクラウドファンディングで437人から3,218,000円ものご支援が集まり、
全頭の保護と医療提供、家屋の清掃まで完了。
救われた猫たちは今も「白猫ハウス」でボランティアと共に元気に暮らしています。
2023年:150頭の保護猫に医療を届ける第二の挑戦
当時3か所のシェルターで保護していた約150匹の猫たちの半年分の医療費を確保するため、
2回目のクラウドファンディングを実施。
388人から5,177,000円のご支援をいただき、当初目標300万円を大きく超えて
第二目標の500万円も達成しました。
これにより、医療費の確保だけでなく、緊急保護が必要な猫のための費用まで備えることができました。
こうして積み重ねられたご支援が、今日も猫たちが安全に暮らし、新しい家族と出会う物語を生み続ける力となっています。
ねことも・やまなしの保護猫シェルターでは、2025年10月現在、188匹の保護猫たちのお世話をしていますが、地域にはまだまだサポートが必要な猫がたくさんいます。
私たちの4つのシェルターでは、毎日多くの猫たちが安心して暮らしています。
しかしその陰で、命を守るために避けられない臨時の出費や、医療を待つ猫たちがいます。
緊急保護のためのレスキュー用プレハブ移転費用
2023年、皆さまのご支援により緊急保護した20匹の猫のためにレスキュー用プレハブを設置しました。南アルプス市で居場所を失った地域猫や、中央市で虐待を受けた野良猫たちがそこで命をつないできました。
しかし設置先の敷地がガレージ建設予定地となり、2024年9月28日、同市内の新しい場所へ移転。中古プレハブのため床の修繕や電気工事、エアコンの取り外し・再設置などが必要となり、約数十万円の臨時費用を避けることができませんでした。
このプレハブは、寒さや暑さ、天候から命を守る緊急の避難所。今後も安全に維持するためには、皆さまのご支援が欠かせません。
苦しむ4匹の猫たちの口内炎治療費
現在、うめざわくん・いろはちゃん・シャムママ・オバマの4匹が、口内炎による激しい痛みで食事が困難な状態です。
猫の口内炎は、人間とは違い口腔全体に炎症が広がる重い病気で、食べたいのに食べられず、命を落としかねません。
痛みを取り除き、食欲を取り戻すためには奥歯の全抜歯手術(1匹あたり7〜8万円)が有効です。実際、今年すでに2匹がこの手術を受け、悲鳴をあげるほどの痛みから解放されました。
残る4匹も、一日も早く治療を受けさせてあげたいと願っています。
物価高騰でシェルターの維持が厳しさを増しています。医療費の負担も重く、傷病猫の保護が難しい状況です。
現在、4か所のシェルターで188匹の保護猫を世話しています。
順調に拠点を増やし、動物病院「ねことも診療所」も開設しましたが、その分、光熱費や家賃などの固定費は月21万円〜45万円に膨らみました。
猫たちの食費は月18万〜23万円、猫砂などの消耗品も月約7万円が必要です。
加えて、保護時点で健康状態が悪い猫や、長期保護が必要な猫が多く、年間約400万円にのぼる医療費が突発的に発生します。
特に近年は重い病気や怪我を負った猫の保護が続き、治療・手術・入院費が急増しています。
さらに、一度に十頭以上の保護が必要になる緊急案件も増え、結果として保護頭数が急激に増加。
こうした状況から、年間活動費は約600万円以上に達し、シェルターの維持と医療費の確保はこれまで以上に厳しくなっています。
今回の寄付募集では、シェルターで188匹のねこが安心して生活できる状態や、傷病猫の保護ができる状態を目指したい
こうした厳しい環境でも、私たちは一匹でも多くの命を守りたいと考えています。
今回の寄付募集では、以下の実現を目標とします。
- 現在188匹が暮らすシェルターを安定的に運営できる状態を保つこと
- 傷病猫を毎月受け入れ、必要な治療を提供できる体制を整えること
例えば、1,000円のご寄付は1匹の猫が1か月食べるご飯代になります。
いただいたご支援は、光熱費や食費、猫砂などの基本運営費に加え、突発的な高額医療費や緊急保護費用に充てられます。
今後のビジョン
災害がいつどこで起こるか分からない今、山梨県にはペットと一緒に安心して避難できる場所がありません。
私たち「ねことも・やまなし」は、日々のシェルター運営費の確保すら厳しい状況が続いていますが、だからこそ未来への備えを諦めません。
将来的には、有事の際に飼い主と猫が安心して避難し、暮らしを立て直せる拠点をつくることを目指しています。
その第一歩として、日常の保護活動を安定させ、継続的な寄付による基盤づくりを進めます。
あなたのご支援は、今日を生きる猫たちの命を守るだけでなく、有事のときも、大切な家族と猫が共にいられる未来への架け橋となります。
代表メッセージ
寄付の使い道
皆様からのご寄付は猫たちのために大切に使わせていただきます。
5匹の子猫との出会いから始まった、私たちの物語〜”ねこともやまなし”とは?〜
2014年7月。益田代表のもとに、5匹の子猫が持ち込まれました。
ボランティア団体に相談すると、こう言われました。
「全てを保護していたら団体は破綻してしまいます。皆さんも、何か協力できることを考えてくれませんか?」
猫に触れたことすらなかった益田代表は、それでも「目の前の命を救いたい」と決意。
数時間おきのミルクやり、里親探しを手探りで始めました。
――これが「ねことも・やまなし」の原点です。
不幸な命を増やさない──TNRと地域猫活動
野良猫の殺処分や交通事故など、過酷な現状を変えるため、私たちはTNR活動を続けています。
2016年、山梨県庁で野良猫が芝生を荒らし、苦情が相次ぎました。
「地域猫活動」という概念が浸透していなかった当時、猫を元の場所に戻すことには反対の声もありました。
そこで私たちは「登録ボランティア制度」を提案。手術後の猫の世話や清掃を担う仕組みをつくり、県庁の猫を「地域猫」とする活動がスタートしました。
この事例は新聞やテレビで大きく報道され、山梨で「地域猫」という言葉が広がるきっかけになりました。このことがきっかけとなり、「猫と人が共生する手段」としての地域猫活動を、私たちは今日まで積極的に推進しています。
「NO MORE ALLEY CATS」から「ねことも・やまなし」へ
2020年まで「NO MORE ALLEY CATS」として活動していましたが、より親しみやすい団体名を目指し「ねことも・やまなし」と改称、同時にNPO法人格を取得しました。
現在も甲府市、笛吹市、甲州市の3箇所ににて、自治体のアドバイザーとして講演・相談対応も行っています。
188匹を守る4つのシェルターと「ねことも診療所」
現在、私たちは4か所のシェルター(多頭飼育崩壊の現場から続く「ホワイトハウス」を含む)で188匹を保護しています。
さらに2023年には「ねことも診療所」を開設。県外獣医師の協力を得て、TNR手術や治療を月1回実施しています。
全てを救いたい。でも、救いきれない現実
私たちのメインの活動は「TNR活動」です。
本来TNRは「元の場所に戻す」のが基本。
しかし、傷病猫や多頭飼育崩壊から来た猫は、重篤な疾患があったり怪我をしている子も多く、そのままでは命を落としてしまいます。
だからこそシェルターで保護し、里親につなげています。
ただ、「全てを保護していたら団体は破綻してしまう」という言葉が、今も重くのしかかっています。