私たちはこの15年間、社会的養護の子どもたち100人と向き合い、ともに「年齢の壁」や「制度のはざま」にある数々の困難を乗り越えてきました。しかし、その先にもなお、生きづらさや孤立といった「見えない壁」が立ちはだかります。
今回のクラウドファンディングでは、自立援助ホーム「あらんの家」「ミモザの家」、そして退居後の居場所「とらいあんぐる」の生活環境を整えるため、とりわけ「車両購入費」を中心にご支援をお願いしています。車があることで病院や役所への同行、食材の受け取り、行事開催などの支援の幅が今より広がり、子どもたちの「心の安全基地」としての役割をさらに果たせます。
15周年を迎えた今、これまで支えてくださった皆さまと共に、これからも子どもたちの未来に寄り添い、「見えない壁」を一緒に越えていきたいと思います。
応援メッセージ・ご寄付・シェア・どんな形でも私たちの力になります。どうぞよろしくお願いいたします。
Story
【ご挨拶】
私たちは、社会的養護の子どもたちとこの15年間、18歳の壁、20歳の壁、22歳の壁を乗り越えて、権利擁護のために取り組んできました。しかし、子どもたちは、なんとか壁を乗り越えても、新たに「見えない壁」があらわれます。見えない壁とは、子どもたちが抱えている生きづらさや制度のはざまで生じる様々な課題のことを言います。私たちは、このクラウドファンディングを通して、子どもたちの居場所と出番を作ることで「見えない壁」を皆さんといっしょに乗り越えていきたいと思います。これから1か月、ぜひ私たちといっしょに伴走してもらえたらうれしいです!
クラウドファンディングの目的~どんなことに資金が使われるの?~
自立援助ホームあらんの家&ミモザの家のホームの生活環境を整え、奈良市社会的養護自立支援拠点事業「とらいあんぐる」の環境を整備するためのご寄付をお願いいたします。これらの生活環境を整えることは、自立援助ホームの「入居者に安心感、安全感、満足感につながる環境を保障すること、入居者に丁寧にあたりまえの生活を保障すること、そして、入居者の主体性を尊重する」(こども家庭庁自立援助ホーム運営指針より)ために重要なことです。
今回、皆様にクラウドファンディングで主にお願いするのは、「車両購入のための寄付」です。「見えない壁」を乗り越えるために、車両を購入することで、子どもたちの安心感・安全感・満足感をはぐくんでいきたいと考えています。
私たちは、社会的養護の子どもたちと生活を共にし、主に就学・就労・退居者支援をおこなっています。市役所や高校などへの諸手続き・病院同行・就職先訪問などの支援に、電車やバスそしてタクシーを使っています。事業が拡大した今、私たちは初めて車両を導入して、子どもへの生活支援をより機動的に行いたいと考えています。また、ドライブを通じて、子どもたちと積極的にコミュニケーションを図りたいと願っています。出会った子どもが100人になると活動範囲もより広域になります。奈良県内は、公共交通機関を使えないエリアがあり、タクシー代金を節約できます。さらに、入居相談や緊急一時保護にも積極的に対応できます。季節ごとの行事の実施回数が増え、フードバンク奈良様やおてらおやつクラブ様からのお米などの食糧支援の受け取りも行きやすくなります。すでに、ある団体から、購入したい車両の半額まで助成金をいただく内諾を受けています。あと残り半分を皆様に支援していただきたいと願っています。
そのほか、この猛暑続きで、エアコンが故障しましたので、買い換えたい!畳が傷んできましたので新しく取り替えたい!アフターケアの子ども・若者の居場所にゲーム機とサブスクを導入したい!ハローウィンやクリスマス会、二十歳のお祝いなど行事を増やしたい!と願っています。どうかご寄付をよろしくお願いいたします。
これまで4回のクラウドファンディングの報告とお礼
今回のクラウドファンディングは、5回目となります。これまで4回にわたり実に多くの方にご寄付をいただき、あたたかい応援メッセージもいただいてきました。心よりお礼申し上げます。
これまでの4回は、おもに自立援助ホームを巣立った退居者のための居場所「とらいあんぐる」に関するものでした。皆様のおかげで「ゼロをイチにする!」ことができました。2023年秋に自主財源でスタートし、その実績をもとに奈良市社会的養護自立支援拠点事業を正式にスタートしています。心よりお礼申し上げます。また、前回いただいたご寄付では、あらんの家のダイニングテーブルや椅子、2階のエアコン設置とゆったりしたソファ、ミモザの家のオーブンレンジ、防災用品の購入などの当てさせていただきました。エアコンのクリーニングも実施しました。感謝いたします。(詳しくは、noteをご覧ください)
引き続き皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
100人の子どもたちを受け入れ、ともに生活してきました!
■100人の子どもたちの背景と特徴
私たちは、2025年9月1日現在、自立援助ホームあらんの家で68名、ミモザの家で32名、合わせて100名(実人数)の子どもを受け入れ、生活・就学・就労の支援、退居後の支援を続けてきました。
受け入れてきたのは、奈良県内の子どもだけではありません。大阪・京都・兵庫等近畿圏の子どもたちを多く受け入れてきました。また、東京・愛知・四国など遠方からの子どもも受け入れています。
入居者は、身体的虐待やネグレクト(育児放棄)・心理的虐待、経済的虐待、性的虐待という被虐待歴、中卒・高校中退という低学歴、気づかれなかった発達障害もしくはグレーゾーンや知的ボーダーなどの特徴があります。入居理由は、児童労働、高校に通学させてもらえない、ヤングケアラー、家出、いじめ、非行、施設内暴力、施設不適応、妊娠・中絶など若年出産にかかわること、18歳で婚外子出産、保護者の精神疾患、保護者との関係不全、保護者との不和、保護者の行方不明等、多岐にわたっています。
■100人の子どもの「見えない壁」
冒頭述べたように、私たちは、社会的養護の子どもたちとこの15年間、18歳の壁、20歳の壁、22歳の壁という制度上の困難を乗り越えて、権利擁護のために取り組んできました。自立援助ホームの生活の中で、大切にされる経験の保障、あたりまえの生活保障すること、主体性を尊重すること、真剣に向き合う姿勢を重要な活動の柱としてきました。また、国の社会的養護の制度も少しずつ改善されてきました。しかし、子どもたちは、なんとか壁を乗り越えても、新たに「見えない壁」があらわれます。
第1の「見えない壁」とは、子どもたちが抱えている生きづらさが周囲からは発見されにくいことです。虐待などの影響からうつ病、境界性パーソナル障害、希死念慮、自傷行為などの課題を抱えている子どもがいます。また私たちは、少年犯罪、ギャンブル依存などの依存問題、愛着障害、迫害体験によるPTSDなどのケースにも対応してきました。最近は、自死企図を経験した子どもや長期間ひきこもり傾向にある子どもの受け入れも増えています。さらにLGBTQなどセクシャルマイノリティであることから生きづらさを抱えている入居者もいます。
第2の「見えない壁」とは、制度のはざまで生じる様々な課題のことを言います。例えば、失業して住むところを失っても、出産することになっても、子どもたちは「一人で頑張って生きて行くんだよ」って放り出されてしまいます。子どもたちのしんどさの背景には、虐待によるトラウマ、親や家庭をたよることができない、失敗することや立ち止まることができない、低学歴で資格がない、退居後の支援が十分ではない、という「見えない壁」があります。自立援助ホームは、退居した後も継続した支援が求められているのです。
私たちの活動は満15周年を迎えました!~自立援助ホーム あらんの家&ミモザの家とは?~
■自立援助ホームって?
「なんらかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった原則として15歳から20歳まで(状況によって22歳まで)の子どもたちに暮らしの場を与える施設です。生き生きと生活できる場、安心して生活できる場を提供し、大人との信頼関係を通して社会で生き抜く力を身に付け、子どもたちが経済的にも精神的にも自立できるように援助する事を目的としています。」(全国自立援助ホーム協議会より)各ホーム6室の個室を提供し、生活・就労・就学支援・退居者支援・社会的自立の促進をおこなうこども家庭庁の社会的養護・児童自立生活援助事業です。全国には354ホーム(2025年4月1日現在)子どもシェルター機能も備えています。
■奈良県で初めて自立援助ホームを開設
私たちは、家族から虐待を受け、安心して家庭で生活できない子ども、児童養護施設等を退居したものの、直ちに自立できずに生活に困っている子ども、いろいろな事情により家庭から見放され帰るところのない子どもに寄り添ってきました。子どもが自分自身を確立するために、必要な安定した衣食住を提供し、子どもが自らの力で社会の中で生きていけるように支えていきたい、と考え、2013年5月1日奈良県で初めての自立援助ホームを開設しました。
■奈良に自立援助ホームができるまで
自立援助ホーム開設を準備し始めた2010年当時奈良県には、児童養護施設等を退所した子どもたちの居場所が近畿で唯一ありませんでした。公的な支援が届かない子どもたちをどうにか助けたい、という思いを強くもつ仲間が集まって、2010年8月31日任意団体をつくり活動を始めました。2012年11月に「あらんの家」を運営するNPO法人「青少年の自立を支える奈良の会」(友廣信逸 前理事長)の認証を奈良県から受けました。
■自立援助ホーム開設を担った人たち
特に主力となったのは「奈良つきあかりの会」という奈良県内の「非行」と向き合う親の自助グループの女性たちです。奈良県は保守的な風土で、非行の子どもをもつ親、兄弟は、地域から「あの子の親」「あの子の兄弟」と白い目で見られることがあり、地域活動から疎遠になることがありました。どの家庭も、子どものあり方を何とかしようと焦り、子どもを責め立て、家庭環境や親子関係がますます悪化していくという悪循環を抱えていたようです。そういった背景の「非行」の子どもを持つ親たちが定期的に集まり、学習会を開いて現状の子どもへの対応について反省したり、子育てを振り返ったりしてきました。彼女たちは「今はこのような状況ではあるが、未来は明るい」という希望をもって子どもと接することで、親子関係がよい方向に変化することがあると信じて取り組んでおられました。あらんの家の設立は、児童相談所関係者、児童養護施設や児童自立支援施設のスタッフ、家庭裁判所調査官、弁護士、大学教員とともに、こうした当事者である保護者の願いがエネルギーとなって実現できたのです。
■あらんの家(男子ホーム)
2013年、男子6名を受け入れる施設として開設。名称は「NARA」を後ろから読んで「あらんの家」と名付けました。英語のunlearn(あらん)=学び直し・生き直しという意味も込めています。創立メンバーの一人は、自身の子育てを通して彼らの実状を知り「友人の家を転々としたり、路上生活をしたりするなど居場所のない少年たちを放っておけなかった」と振り返ります。これまで68名の子どもたちが生活し、巣立っていきました。
■ミモザの家(女子ホーム)
2020年5月には、新型コロナ禍のなか女子ホーム(定員6名)を同じく奈良市内に開設しました。名前は「ミモザの家」。ミモザは、3月8日の国際女性デー(ミモザの日)に女性に贈られる、シンボリックな花。これから出会う女性たちの権利を保障したい、そんな願いを「ミモザの家」という名前に込めました。5年間で32名の子どもたちがホームで暮らしました。
■新しい仲間ができました!ゼロが5つに!
昨年から今年にかけて、奈良県内に新たに3つの自立援助ホームが誕生しました。さらにもう一つ自立援助ホームを準備中!という便りもきいています。奈良県にゼロだった自立援助ホームが5つになりました。15年前、「非行」の子どもをもつ親たちが始めた「ゼロをイチにする!」活動が、いろんな人から人へとバトンタッチされて、こんなにもひろがっていきました。
私たちは、新しい自立援助ホームの仲間とネットワークを作るとともに、県内の児童養護施設・乳児院・母子生活支援施設、そして里親会の皆様とますます連携していきたいと思います。
とらいあんぐる(奈良市社会的養護自立支援拠点事業)の誕生
■100人の子どもたちが巣立った先は?
2025年4月に、私たちは新たに「とらいあんぐる(奈良市社会的養護自立支援拠点事業)を始めました。きっかけは、15年間活動を続ける中で、あらんの家やミモザの家の巣立った子どもたちがどんどん増えてきたことです。巣立った子どもたちは、自分が抱える生きづらさを理解されず、制度のはざまで生じる様々な課題と格闘していました。
私たちは、退居した子どもたちに、何かできることはないかとアフターケア事業を自主的に行ってきました。例えば、毎年定期的にお米などを実家代わりに送っています。「おせっかいBOX」と呼んでいます。この9月には35名の子ども若者に送る準備をしています。卒業生の中には30歳になる若者もいます。送り先の住所を確認するといつものアパートではなく、引っ越ししていることや失業していることがわかることがあります。いつも連絡来なかった若者が急に「とにかくお米を多めに送って!」と何度もLINEが送られてくるため、返信すると、独身だった卒業生が結婚して赤ちゃんが生まれ、生活費に困っていることが明らかになったりします。スタッフみんなで寄せ書きをして宅急便で送ると、「届いたよ。まるで宝箱みたいでめちゃうれしい」と返信を送ってくれます。いつもは、スマホや家賃滞納の請求書が届くだけなのかもしれません。食材や生活用品をおくることで、社会的養護で育った子ども・若者の退居後の様々な課題が見えてきます。
■アフターケア(退居者支援)
私たちは、「インケア(入居中)も大切だけど、退居してからが本番」「継続した支援をしながら『ゆらぎ』に寄り添う」「待つ支援から『おせっかい』支援」をキャッチコピーにして、退居者支援が自立援助ホームの重要な支援の柱として位置づけてきました。複合的な課題を抱えている利用者にとっては、実社会の中にすぐに定着することは容易なことではありません。様々な困難に遭遇した時、誰にも相談できず孤立感を深めると、犯罪に巻き込まれたり、生きる希望を失ったりするにもなります。問題解決への支援や希望につなげる意味においても、自立援助ホームが「心の安全基地」として機能することが重要だと考えてきました。「自立力」というのは、自分で何でもできる力ではなく、適切に依存し依存されることができる力と言えます。退居者支援は、利用者が退居前からスタッフと気軽に相談できる関係性を築くことが大切であり、ホーム全体が、困った時、疲れた時にいつでも相談にのる用意があることと、いつでも心を休めるために立ち寄って良いという安心感を醸し出していることが重要です。『こども家庭庁 自立援助ホーム運営指針』より
とらいあんぐるは、私たちが自主財源で行ってきた退居者支援を、安定的に継続して実施するために、奈良市子どもセンターに対して事業を提案して、採用されたものです。
■とらいあんぐるとは?
とらあんぐるは、奈良市から巣立った社会的養護出身の若者などが利用できる事業です。一人ひとりの気持ちを受けとめ、いっしょに揺らいでくれるスタッフや仲間と出会える場所です。 利用対象者は、児童養護施設・自立援助ホーム・里親家庭など、社会的養護を巣立った若者、また虐待などの理由から、親や家族を頼ることができない人です。
「奈良市社会的養護自立支援拠点事業」を奈良市から受託して、2025年4月~3年間、事業を実施することとなりました。皆様のクラウドファンディングなど自主財源で実施してきた「とらいあんぐる(アフターケア事業)」を児童養護施設出身や里親家庭出身の子ども・若者に対象をひろげて、相談・交流、ショートステイ事業をおこないます。新大宮駅前の居場所「とらいあんぐるサロン」に加えて、1LDK(住所を秘匿)を借りて新規事業を4月から開始しました。
■どんなこと相談できるの?
いっしょに仕事を探したり、仕事を始めるための準備を一緒に行います。住む家を探すため、不動産会社に同行して、物件探しや賃貸契約をサポートします。金銭管理習慣をつけるため、毎月の収支を一緒に考えたり、トラブルを解決するようお手伝いします。公的な手続きなどをサポートしたり、市役所などに同行します。ゴミの分別やお掃除など、一人では難しいことをサポートします。
「とらいあんぐるサロン」では、ゴロゴロ、まったりできます。個別相談をSNSや電話を窓口として、直接スタッフと会って相談することができます。訪問相談として、あなたのおうちや家の近くでスタッフと話すことができます。希望があれば、市役所や病院にスタッフが同行します。車両はそのためには必要となります。 緊急的な支援として、食べ物や日用品を届けたり、その他必要な支援を行います。
100人の子どもたちと見えない壁を越えて、彼らのこれからを支えて下さい!
私たちは、15年間で100人の子どもたちと向き合い、「見えない壁」を一緒に超えてきました。彼らが自分の足で歩み出すその瞬間を、そっと支えられる場所でありたいと願っています。そして、これからもどんなに困難な状況にあっても「ここに帰ってこられる」と思える場所であり続けたいと切望しています。
でも、それは私たちの力だけでは叶えられません。これまでの15年間という時間を積み重ねてこられたのは、これまで応援して下さった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
これからも、継続して子どもたちが安心して過ごせるためにもこの1か月間、私たちと「見えない壁」を共に超えていく仲間になり、伴走してくださるとうれしいです。
応援・ご寄付・シェア・どんな形でも私たちの力になります。どうぞよろしくお願いいたします。
※ご支援くださった皆様へささやかではありますが、感謝の気持ちをお届けします。
✿5000円以上のご支援→栞
✿10000円以上のご支援→栞+ストラップ
発送は11月上旬頃を予定しております。返礼品の詳細・内容は活動報告にてお伝えします!
温かいご支援、心よりお待ちしております。
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