11月イベント「蔵の図書館」&蔵書紹介「流れる」
2025/1/29 18:56

2024年11月24日(日)千葉県四街道で「蔵の図書館」イベントに出店。
颯爽と現れたワイルドな理事の姿を見て、
なぜか女性版ハードボイルド文学を思い起こしたわけで…。
幸田文「流れる」
(情報ステーション広報誌記事「最強読書日記」より)
「没落しかかった芸者置屋」の日常を住み込みの女中の目から「詩情豊かに描く」と新潮社版の惹句は言いいますが、
「どぶのみじんこ、…」の出だしから、これが孤独な女主人公の都会派ハードボイルド小説であることに気づきます。
「女中の休息というものは寝ているときを休息とは云えない。寝ているのだからである。…醒めて床のなかにいるあいだはこれが休息である。」
主人公は四十過ぎの未亡人、裕福な家の主婦であった過去を微塵も見せない家政婦。
彼女は徒手空拳で、人に対する余分な優しさなど欠片も持たない芸者たち、そして彼女らに群がる徹底した利己主義の悪党たちと渡り合います。
鋭い洞察と機転、行動力は切れ味よく、しかも目立たないでおく用心深さも合わせもつ。生き残りと復活を賭けて戦う女を抜群の文章が追います。
そう、確かに「詩情豊か」なハードボイルドです。
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