Story
■ 警察・検察・裁判所が三位一体となって、労働組合を弾圧
「人質司法」という言葉を耳にしたことがありますか。
被疑者を長期間にわたり勾留することで、自白を引き出そうとする行為です。数々の冤罪の原因となりました。事件から58年を経て無罪が確定した袴田巌さんも、人質司法の被害者です。
取調べをするのは警察官と検察官、勾留を認めているのは裁判官です。人質司法はシステムとして機能しているので、常態化しています。
国連・拷問禁止委員会などの国際機関は、日本政府に対し、人質司法をやめるよう繰り返し指摘しています。しかし日本の権力機構は、このシステムを手放そうとしません。
人質司法をこれまでにない規模でフル稼働させ、権力機構が潰しにかかっている組織があります。ミキサー車の運転手らでつくる労働組合、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」です。通称「関生(かんなま)支部」です。
関生支部の組合員たちは、湯川裕司委員長の644日をはじめ、長期間勾留されました。第2次安倍晋三政権の2018年から始まった摘発で、逮捕者数は延べ87人に上ります。警察は、大阪府警、京都府警、滋賀県警、和歌山県警が一斉に動きました。
深刻なのは、警察と検察が、ストライキや経営側との団体交渉など労組の活動を「犯罪」として扱っていることです。労組の活動は憲法28条で認められた権利です。堂々と捜査機関が憲法に反しているのです。
人質司法のもとで、罪にならないことを罪として仕立てあげる。捜査機関がなりふり構わない暴挙に出ているのは、なぜでしょうか。
新シリーズ「人質司法 なぜ労組は狙われたのか」を始めます。
非正規雇用が4割に上るこの国で、労働者の声を封じる国家権力に切り込みます。本シリーズの取材にかかる費用を募ります。
■ Tansaについて
Tansaは、「探査報道」を専門とする報道機関です。当局発表を右から左に流す「記者クラブ報道(発表報道)」とは違い、暴露しなければ永遠に伏せられる事実を、独自取材で掘り起こし報じます。従来は「調査報道」と呼ばれてきましたが、単なる調査ではなく、さらに膨大な労力と高度な技術が必要なため「探査報道」という言葉を使っています。
暴露するのは、政府や企業、犯罪集団組織などが隠蔽する不正です。問題の構造に切り込み、今被害に遭っている⼈の状況を変えることと、将来の被害を防ぐのが⽬的です。
記事や動画は、Tansaの公式サイトからご覧いただけます。経済状況にかかわらず誰でも良質な記事にアクセスできるよう、購読料は取っていません。広告もつけていません。
GIJN加盟の国際ニューズルーム
Tansaはジャーナリズムのグローバルスタンダードである、世界規模での連携を重視します。探査報道が挑む国家権力や企業は、すでに国境を越えて広く活動しているからです。Tansaは2017年、世界中の探査ジャーナリズム組織でつくる「探査報道ジャーナリズム世界ネットワーク(GIJN)」に日本で初めて加盟し、公式メンバーとなりました。報道機関としては国内唯一の加盟組織です。2025年2月現在、95カ国251組織が加盟しています。また、英紙ガーディアンや組織犯罪を専門に報じる国際ネットワークOCCRPなど、世界各国の報道機関との共同取材も行ってきました。
報道の成果
2017年の創刊以来、様々なインパクトを生んできました。一例はこちらです。
あらゆる機関からも評価を受けています。
2025年:『終わらないPFOA汚染』隆祥館書店「2024年下半期ノンフィクション本大賞」入賞
2023年:メディア・アンビシャス「2022年メディア・アンビシャス大賞【活字部門】優秀賞」、ジャーナリズム支援市民基金「第4回ジャーナリズムXアワード大賞」
2022年:一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ「PEPジャーナリズム大賞&課題発見部門賞」/ジャーナリズム支援市民基金「第3回ジャーナリズムXアワード大賞」
2020年:一社オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構「最優秀賞」/ジャーナリズム支援市民基金「第1回ジャーナリズムXアワード大賞」
2019年:Linked Open Data チャレンジ Japan 2019 アプリケーション部門「優秀賞」
2018年:反貧困ネットワーク「貧困ジャーナリズム大賞」
2017年:日本外国特派員協会 「報道の自由推進賞」
■ なぜ寄付が必要なのか
Tansaは、独立非営利のメディアです。権力から独立した立場を守るため、行政・企業からの広告費を一切受け取っていません。
活動を支えるのは、市民の皆さまからの寄付です。編集に一切介入しない財団の助成金も探していますが、そう多くはありません。特に本テーマにおいては、国家権力や経団連をはじめとする財界を相手にしているため、申請すらできない助成金ばかりでした。
寄付の使い道
本シリーズの取材経費は年間約160万円を見込んでおり、加えて記者や動画編集者の人件費がかかります。まずは、この内の150万円を募ります。
具体的には、旅費交通費(取材現地への新幹線代や宿泊費)、調査費(データベース利用料や情報公開費)、動画制作費(撮影機材や編集ソフト代)などがあります。詳細は、下図をご覧ください。
市民が支える探査報道メディア
探査報道の目的は、事態を変えることです。必要な取材費は出し惜しみせず、暴かなければ埋もれてしまうファクト(事実)を掴むことで、力強い報道を生み出すことができます。
Tansaは小さな報道機関です。今回のテーマである、政府・行政・大企業が巨象だとすれば、Tansaは小さな蟻です。もし訴訟が起きてTansaが負けてしまうと、賠償金は払えないでしょう。アリンコがゾウに立ち向かうには、緻密な取材が必要です。何が起きても負けないよう、手間ひまを惜しまず、費用を削らず、決定的な証拠を掴まねばなりません。そのための資金を皆さまにサポートいただきたいです。
寄付を通じて、共に社会の不条理と闘う仲間になってもらえませんか。寄付のご検討をお願いいたします。