11/20で森ノオトは創刊15周年を迎えました。
2024/11/20 20:43

認定特定非営利活動法人森ノオト理事長の北原まどかです。
森ノオトは2009年11月20日にウェブメディアとして公開されました。この年の11月23日に寺家ふるさと村で行われた、自然農NPOの収穫祭でお披露目され、それから丸15年。横浜北部の足元にある地域のサスティナブルな暮らしに光を当てて、取材活動を続けてきました。
(2011年の森ノオト創刊2周年パーティー)
この15年で、社会は大きく変わりました。
2011年に東日本大震災と原発事故が起こり、わたしたちは暮らしを根底から見つめ直しました。安心安全な水、食料、空気が、あって当たり前のものではないということ。地域で助け合い、分かち合える関係性の大切さに気づき、SNSによって地域のつながりが密度濃くなっていった時期でした。
2020年から3年ほど、コロナ禍で人と人が集うこと、ふれあうこと、移動することに大幅な制限がかけられ、暮らし方、働き方を根底から見直す時期が長期間ありました。この期間、地域の足元にある自然、花や緑の豊かさに出会い直す方も多かったのではないでしょうか。
(2014年11月20日には旭区のこども自然公園でどんぐりパンづくりをおこなった)
子育ての現場を見てみると、保育園の「待機児童」が騒がれていた時代は過ぎ、今ではどうやって園児を確保していくかという経営課題に直面する園があると聞きます。森ノオトを始めた頃よりも、母親が育休から職場復帰するスピードが早まっており、一方で、公園や保育園、保護者会などにお父さんの参加が増えてきています。協働先の男性職員が「これから何月まで育休します」と言って、数カ月後に再開するのを何度も経験しました。育児環境はこの15年で大きく変わっています。
(2013年11月20日。初めての「あおばを食べる収穫祭」を控え、藤が丘駅前公園のバリアフリー環境を確かめる)
森ノオトで書くメンバーも多様化しました。創刊当初は、編集長と同世代の「30代の子育てママ」がメンバーのほとんどを占め、趣味や志向も同質性が高く、「森ノオト=ナチュラルママ」というイメージで見られていました。子連れ編集会議がスタンダードだったのですが、今は少数派。編集部の年齢層は幅広く、男性も女性もいて、ライフステージもライフスタイルもさまざまです。メディアとは、関わるメンバーそのもの。記事の幅も、子育て、まちづくり、農、食、文化、芸術、福祉、介護、ごみ、エコ、教育まで、かなり広がってきました。
(「持ち寄りパーティー」は森ノオトの得意技。創刊当時のライターさんがつくったパンが評判に!)
森ノオトの編集方針も変化しました。以前より森ノオトで大切にしていた「取材相手に対して記事の事前確認をしない」という編集方針を今年から転換し、ライターが事前に取材相手に記事を確認することを認めました。以前は「小さなメディアだけれどジャーナリズムはある。編集権の独立を守るためには、記事の事前確認はしない」と謳い、それを大切にしてきていましたが、この15年でメディアの世界は大きく変化したことを受けて、その方針を貫き続けることは困難である、むしろ取材相手とともに編集していくという「共同編集」の方針に切り替えようと判断しました。
誤解や偏見、フェイク、取材に基づかない情報がネット上に席巻し、情報に対する「信頼」が根底から揺らいでいます。取材に行かなくとも、ネット上にある情報をつなぎ合わせるだけの「こたつ記事」で収益を上げるメディアもあるなかで、森ノオトはそれとは真逆の編集方針と言えます。地域を歩いてネタを見つけ、人と直接会って相手と関係を築きながら、時間をかけて記事をつくっていく編集プロセスの中で、「ライター・編集者・メディア・取材相手の四者がともに記事をつくっていく」という「共同編集」が、これからのキーワードになると思っています。
「ともに記事をつくる」=「ともに見たい景色をつくる/ともに地域をつくる」ことだとこの15年で思い至りました。「編集=まちづくり」と広義でとらえ、編集のプロセスに多くの方に関わっていただくことを通して、この情報社会の中で、足元の地域を豊かにしていく一人ひとりの存在に寄り添い光を当てていく、その小さな営みを回転させていきたいのです。
(2014年11月20日には、家庭のエネルギーを見える化するワークショップに取り組んだ)
ジャーナリズムとは、日々発生する時事的な問題や権力を監視、批判し、報道していく機能であるとともに、小さな声を聞き、可視化し、光を当てていく行為でもあります。ライター自身が生活者で市民である、その当事者性をもって、生活の地平から体温のある声を届けていくことや、その集積から「今」を捉えていくことは、現代のネット社会の中でのジャーナリズムの一翼を担っているはずです。
(2019年11月20日、創刊10周年記念パーティーのもりたろうケーキににっこり)
私たち森ノオトは変化します。メディアとは、時代を映す鏡でもあり、編集部のあり方も、組織自体も、毎年、少しずつ変化し続けています。その変化が大きな時もあれば、縮退があるかもしれず、鋭利だったり優しかったり、さまざまです。
森ノオトでは、「私たちが暮らす地域の未来が、豊かであるように、足元を耕し続ける」ために、変化を厭わずに、発信し続けていきたいと思います。
皆様の応援が、森ノオトが活動を続けていく源泉になります。森ノオトが今後5年、10年と続き、横浜の未来がやさしく美しく、水も食も空気もおいしい環境であることに寄与できるよう、願っています。
森ノオトが今後続いていくように、みなさま、どうぞよろしくお願いします!
← Back to all activity reports

メディア運営継続のためのご寄付【お礼】めぐる布市ミニあずま袋
¥5,000
森ノオトのリユースファブリック事業「めぐる布市」オリジナルハンドメイドのミニあずま袋です。ここでしか出会えない柄をお楽しみください。
*寄付控除をご選択いただくこともできます。

メディア運営継続のためのご寄付【お礼】森ノオトオリジナル手ぬぐい
¥10,000
森ノオトオリジナル柄の手ぬぐいです。青葉区在住の手ぬぐい作家sometaeさんにデザインしてもらいました。
*寄付控除をご選択いただくこともできます。

メディア運営継続のためのご寄付【お礼】森ノオトいいかも市ローカルセレクションギフト
¥30,000
横浜市青葉区近隣の美味しいもの・暮らしを彩る品々をお届けしている森ノオトのマルシェ「いいかも市」より、【森ノオトセレクトのいいかも市セット】をお届けします。
*寄付控除をご選択いただくこともできます。

メディア運営継続のためのご寄付【お礼】ローカルセレクションDX
¥50,000
横浜市青葉区近隣の美味しいもの・暮らしを彩る品々をお届けしている森ノオトのマルシェ「いいかも市」より、【森ノオトセレクトのいいかも市セットDX】をお届けします。
*寄付控除をご選択いただくこともできます。

メディア運営継続のためのご寄付【お礼】森ノオトライター養成講座の運営インターン
¥100,000
ローカルウェブメディア「森ノオト」を15年にわたって運営する、森ノオト編集部の運営の舞台裏をご見学いただけます。市民ライター育成を行うライター養成講座や編集会議のノウハウを学べる運営インターンを受け入れます(ご参加1名に付き)。
*寄付控除をご選択いただくこともできます。