寄宿舎小学校キニティウを巣立ち、学び続けたいという子どもたちが、中学校へ進学・進級するのをサポートするキャンペーンを立ち上げました。
私たちと共に、子どもの成長を支えるファミリーになりませんか?
Story
バングラデシュにおいてマイノリティという境遇、国内紛争の歴史、辺境地に暮らす理由などで、就学率・進学率が国内で最も低く、教育格差の他多くの問題を抱えているチッタゴン丘陵地帯の子どもたち。
チョトベラは、2019年、この地域で夢の一つであった小学校運営を開始しました。
しかし、同年、小学校を卒業する子どもたちが次のステップへ進むのに壁が立ち塞がり、路頭に迷う様子を目の当たりにしました。子どもたちが、この地域の当たり前や親に従って、色々なことを諦めているのを感じました。小学校運営を始めたかったのは、チッタゴン丘陵地帯の子どもたちの大切な子ども時代を守り、いつかこの子たちが地域のために活動する存在となっていくまで応援する、家族のようになりたいと思ったからなのに、小学校でおしまいなら、活動の意味がなく、家族とも言えないと思いました。
そして、私たちは、進学に不安を抱えている子どもたちの支援も、できる限り行っていくことにしました。
寄宿舎小学校キニティウスクール
キニティウスクールは、チッタゴン丘陵地帯のバンドルボン県にある寄宿舎小学校です。生徒は、チッタゴン丘陵の少数民族、11コミュニティの中でもさらに少数派のクミ族とムロ族です。クミ族は国内にたった3000人程と希少な彩を持ち、ムロ族は原始的な生活や装い、アニミズムの儀礼を行うなど、世界でもその美しさを評価されています。スタッフも、チャクマ族、マルマ族、トリプラ族と多様であり、できるだけ政府の学校のようにベンガル化されない、当地域の風土に合った学校にすることを目指しています。毎年、およそ50人がキニティウに集い、10人くらいは裏の村から通っていますが、ほとんどの生徒は親元を離れ、寄宿生活を送りながらここで学んでいます。就学前教育(クラス0)から初等教育(クラス1-5)の全6学年で、年齢は5~12歳の子どもたちです。
もし、キニティウがなければ、当地域で教育にアクセスできずに、子ども時代を送ったであろう少数民族の子どもたちはもっと多く存在しました。キニティウの生徒たちには兄弟姉妹が5~8人くらいいて、学校にいる子たちでさえ家族に選ばれた一人です。子どもたちの親は、良く言えば、自然と共生し、原始の人間のように美しい暮らしを送ってきた世代です。学校に行かなくても、彼ららしい子ども時代や人生はあるかもしれないと思うけれど、属している国の政府・軍・マジョリティによる入植や開発などが進み、変わらずにいることはとても困難です。生き残って、彼ららしく変化していくためにも、やはり「教育」は必要なものとなります。人口を増やして民族を存続させようといった親世代の考え方では、悲しい思いをする子どもたちが増えるばかりです。ここで、教育の他色々な機会にアクセスできた子どもたちが、第一世代となり、マジョリティと対等に闘ったり、繋がっていったりできるように、私たちはキニティウスクールの運営を行っています。
チッタゴン丘陵地帯の子どもたちの教育事情
国土の南東部、インドとミャンマーとの国境沿いに位置するチッタゴン丘陵地帯。バングラデシュのマジョリティであるベンガル人とは異なる人種、言語、宗教、文化を持った11の少数民族がここで暮らしています。11コミュニティは総称して「パハリ」(山の民)や「ジュマ」(焼畑する人)と呼ばれ、先祖伝来の土地で、先住民族として生活を営んできました。
少数民族の子どもたちは、学校に通い始めるまで、それぞれの民族語(母語)で育ち、学校へ行って初めて、国語のベンガル語(母国語)で学ばなければいけない壁にぶつかります。
政府は、バングラデシュの初等教育就学率は100%に達したと言っていますが、チッタゴン丘陵地帯には学校がたりず、未就学やドロップアウトせざるを得ない境遇の子どもたちががまだたくさんいます。パハリの子どもたちにとって、初等教育(義務教育)の就学・進級さえあたりまえのことではなく、近くに通える学校がないために教育を受けるには寄宿を余儀なくされ、家族が病気や障害を抱えると代わりに働き手となって休学・退学せざるを得なくなります。キニティウはそうした子どもたちのよりどころとなるために、寄宿費も学費もごく僅かで、強制しておらず、地域の事情※で閉校となり行き場をなくした子どもたちも受け入れていますが、設立以来今日まで、初等教育五学年と就学前教育一学年のための学校で、中等教育からは別の学校に入らなければなりません。焼畑で生計を立てる当地域の家族にとって、キニティウから先の進学費を賄うことはとても困難なことです。
※国連の某機関や大規模NGOが教育プロジェクトを点在させて、支援や管理などを怠り無人化していたり、最近では軍が特定の民族の村に攻め入って、その民族のコミュニティスクールが閉校したりしている。
進学・進級を支援して願う未来
パハリの人々が望む、自治権の拡大と先祖伝来の土地の保護。しかし、チッタゴン丘陵地帯の問題は、これまで述べてきたように複雑困難です。私たちは、政治的な介入やすべての解決が難しくとも、この地域がパハリの存在と共に育ち、文化・歴史を持って、国内や世界の大切な一部として認識され、愛されてほしいと願います。それを、未来を築くパハリの子どもたちと一緒に叶えていきたいと思っています。彼らがこの場所で教育にアクセスでき、自分たちの地域と自然を理解し、アイデンティティを確立し、知恵と底力を発揮して、色々な表現方法で闘い、多文化共生社会を実現する。
政府や軍、ベンガル人入植者といったマジョリティの影響で、日に日に失われる故郷の土地や自然、独自の文化や地域性を守れるように、それ以上に、堂々と存在し、強く築いていけるように、子どもたちは学び続け、闘っていかなければなりません。
「キニティウファミリー」
2019年度にキニティウを巣立った子どもたちから、中学校への進学支援を行い、現在11人の成長を支えています。とても幼くしてキニティウで寄宿生活を始め、また、両親のどちらかを既に失っている子どももいて、私たちスタッフは家族のような思いで、当時から、卒業後も、子どもたちを見守っています。これからも年々増えていく、キニティウの子どもたちとその卒業生という存在を、私たちだけでなくより大勢であたたかく見守り、支えていけたらと、里親さんと支援者さんも含めて「キニティウファミリー」と呼びたいと思いました。
里親になる※と、里子からプロフィールや写真、年に数回お手紙、絵、手作りのプレゼントなどが届きます。同じように、里親さんは里子へ応援メッセージなど届けることができます。
私を含む現地スタッフが 2~3ヶ月に一度、進学先へ出向いて子どもたちと面会しています。
キニティウファミリーとなって、この子たちの未来を共に楽しみにしませんか?
※里親さんには、クラス9以下の子ども一人以上を、支援開始日~クラス10(中期中等教育)終了まで
支援者さんには、子ども一人以上を、一ヶ月~一年間で応援していただきたいと思います。
進学先の中学校と費用の詳細
学校名 モノゴール
場所 チッタゴン丘陵地帯 ランガマティ県 ランガパニ村
設立年と運営形態 1974年 NGOスクール
人数と学年 毎年およそ1300人程 初等教育(クラス 1-5)、前期中等教育(クラス 6-8)、中期中等教育(クラス 9, 10)の全10学年※
※中等教育(日本の中学校と高校にあたる)は7年間あり、前期中等教育・中期中等教育・後期中等教育(クラス 11, 12)に分けられます。
民族と宗教 チッタゴン丘陵地帯の少数民族11コミュニティ他バングラデシュの少数民族 仏教、ヒンドゥー教、キリスト教、アニミズム、クラマ
進学・進級費[2024・現地通貨タカ]
①寄宿費 26,700タカ ②学費 10,580タカ 合計 37,280タカ(2024年1月の換算レートで 48,846円)
❶内2,700タカは年間の保健費や施設の維持管理費などとなっている。一日3食。大部屋に15~20人程ずつ寄宿。
⭐︎モノゴールを選ぶ理由
モノゴールとは、少数民族チャクマ語で「丘の家」を意味します。チッタゴン丘陵地帯で生まれ育ち、境遇を同じくした少数民族11コミュニティから1000人以上の子どもたちが集います(寄宿は800人程)。ベンガル化を免れ、少数民族の伝統を引き継ぐための、また、未来を築くための各クラスや文化活動も盛ん。世界各地からの教育支援や訪問者も多く、子どもたちのコミュニケーション能力がここで養われたり、国公立の大学まで進み、故郷のために活動しようという意識の高い卒業生たちを輩出したりしている。
また、現地の寄宿舎学校では平均的な費用です。
2015年に私が制作した5分の映像です。モノゴールのことがもう少し分かります。
モノゴールの他に、チッタゴン丘陵地帯には国公立の学校もありますが、寄宿舎がない、寄宿舎があってもシート(ベッド)の空きがない、伝手がないといった理由などで選ぶことができません。軍が運営する学校(わりと裕福な家庭で、塾や家庭教師の元でも学ぶような子どもが通う傾向)、キリスト教会運営のミッションスクール(学費無料や、寄宿費含む教育費無料の場合も)、両親がいないか片親であることが入学条件の学校なども存在します。伝手があったり、無料であったりすれば、チッタゴン丘陵地帯の外どころか500km以上離れた遠隔地の学校へ進学させることを選ぶ親もいます。
これまでの活動、進学支援状況
バングラデシュの学校年度は1月に始まり12月に終わります。国公立や街の学校と、NGOやコミュニティ運営、村の学校とでは、始業・終業が数日~数週間異なります。少数民族の子どもたちが多く進学する村の学校では、12月上旬の年度末試験後に終業(中旬に寄宿舎からそれぞれの実家へ帰省)、1月中下旬に始業することが一般的です。キニティウでも、毎年12月の年度末試験後、最高学年(クラス5)の子どもたちの進路について面談(親・子・私とキニティウスタッフ)を行います。子どもたちは皆揃って進学を望みますが、「進学のためのお金は一切ない。進学させられない」と子どもの前ではっきり言う親もいて、子どもたちが涙ぐむのを目の当たりにしてきました。
私たちは、1月中も、入学手続きが終了している学校へ連絡などをし、子どもたちがどうにか進学できるように尽力します。
2019年12月、キニティウの卒業生はクミ族の女の子5人でした。2人はチョトベラが支援し、モノゴールへ進学。2人は他の寄宿舎学校※へ親が進学させ(後に1人ドロップアウト)、1人は親が進学させずに結婚させることを決めました。
※の寄宿舎環境が劣悪だったため、2022年にチョトベラが寄宿舎環境整備の支援を行いました。
2020年度はコロナ禍で進学・進級なし。
2021年、2022年度も同様に、卒業生は4~5人。1人はチョトベラを通して里親さんが見つかり、モノゴールへ進学。2~3人は※など他の寄宿舎学校へ親が進学させ、1人は親の意志で進学を見送ることとなりました。
2023年度の卒業生は、これまでで最多の7人でした。6人がモノゴールへ、チョトベラの支援と里親さん(2人分)と、親もできる限り協力するということで進学。1人は他の寄宿舎学校へ親が進学させました。
チョトベラが進学支援を一度始めた子どもへは、本人がドロップアウトを決める以外、5年間(前・中期中等教育終了まで)継続して支援するように努めています。
2019年 クミ族の女の子2人とチャクマ族の男の子1人 → 2024年 クラス10
2021年 ムロ族の男の子1人 → 2024年 クラス8 の途中でドロップアウト
2022年 ムロ族の女子1人 → 2024年 クラス7 【日本(長野県)にファミリー】
2023年
ムロ族の男子4人 → 2024年 クラス6
ムロ族の女子1人とクミ族の女子1人 → 2024年 クラス6 【日本(東京都)にファミリー】
ムロ族の男子1人 → 2024年 クラス5 *親とチョトベラ支援のハーフサポート
【ファミリー】の記載がない子どもは、現状、チョトベラ運営費からのサポートとなっています。
⭐︎クラス10の子どもたちは、今回がサポートラスト。来年(2025年夏)に後期中等教育(日本の高校にあたる)へ進む予定です。
■ NPO法人チョトベラ
チョトベラは、バングラデシュのチッタゴン丘陵地帯で、現地に根を張って活動する団体です。チョトベラとは現地語で「子ども時代」のこと。
2015年、個人による映像制作の活動から開始し、少数民族の子どもたちの学校や、自然災害の支援ボランティアを行い、2018年、移動映画館の活動を始める際、ChotoBela worksとして団体を立ち上げました。
また、日本から現地を支え、一歩ずつ、相互性ある繋がりとなっていくことを目指して、NPOチョトベラを設立。
取り組む事業は 同Syncableのページ https://syncable.biz/associate/chotobela をご覧ください。[2024年9月更新]
■ 今回のキャンペーンのセカンドゴール
世界中の各地で、自然的・人為的な、たくさんの問題があり、今回のファーストゴールさえ目指すのが難しいだろうと思っていますが、少しでも協力を得られることを願います。もし、その先も願えるならば
小学校でおしまいなら意味ない!とキャンペーン冒頭で書きましたが、どうしても、キニティウ卒業後の進学を支援したり、成長をずっと見守ったりできない子どもたちもいます。だからこそ、子ども時代の大切ないっときをキニティウで送ってほしいと思います。
今回、ストレッチゴールは、キニティウの学級菜園の土地購入費を募る設定をすることを考えています。再建した台所・食堂に隣接する土地を学級菜園とし、給食の自給自足、2食→3食とすること、キニティウコーヒーファームを整備して収益事業をしていきたいと思っています。ストレッチゴールの設定に至らずとも、本件の方により関心を持ってくださる方がいましたら、ぜひご連絡ください。 chotobela.jp@gmail.com