こんにちは。NPO法人 青少年の自立を支える奈良の会です。
私たちは2013年4月に奈良で初めての自立援助ホーム「あらんの家」を開設しました。現在は「あらんの家(男子ホーム)」に加え「ミモザの家(女子ホーム)」の2つの事業を柱に、様々な理由で家庭に居場所がなくなった青少年(原則15歳~20歳)の自立を支援する活動に取り組んでいます。
そして、現在、11年目のプロジェクトとして“ホームを巣立った子どもたちが「ただいま」と帰って来られる「新しい居場所」”を作るために準備を進めています。今年の2月から3月にかけて行った前回のクラウドファンディングでは、この居場所作りの第一歩を踏み出すためのサポートをお願いしました。様々な形で支援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
皆さまの支援のおかげで現在、居場所となる拠点は着々と準備が進んでおり、改修工事などが終了しました。ホームを巣立った子どもたちが、すでに居場所の様子を見に来てくれたり、デザインや家具について意見をくれたり、と子どもたちと一緒に準備を進めています。
しかし、私たちの活動のほとんどが自主財源でまかなっているのが現状です。子どもたちが継続して安心して帰ってこられるためにも、継続的な支援を頂きたく、今回はマンスリーサポーターの募集をいたします。皆さまの気持ちが集まって様々な形で応援していただくことで子どもたちのライフイベントごとの様々な「助けて!」に提供できる支援の幅が広がります。ご協力どうぞよろしくお願いいたします。
Story
私たちは“子どもたちが生きいき暮らす奈良”を目指し自立援助ホーム「あらんの家」と「ミモザの家」の2つの事業を柱に活動しています。
自立援助ホームとは虐待や貧困、非行など様々な理由で家庭に居場所がなくなり、働かざるを得なくなった原則として15歳から20歳の子どもたちに暮らしの場を提供する施設です。
【私たちの取り組み】
■自立援助ホーム「あらんの家」と「ミモザの家」
私たちは10年前の2013年4月に奈良で初めての自立援助ホームとなる「あらんの家(男子ホーム)」を開設しました。その後、コロナ禍の2020年に女子ホームとなる「ミモザの家」を開設し、男女合わせて72名の10代後半の子どもたちをあずかってきました。子どもたちの居住期間は数か月から1年半と様々です。 親の虐待が原因で路上生活をしていた少年を保護し、就労をサポート、その後、アパートを借り、ホームを出て自立の道へ歩む子。高校を一旦中退してしまったけれど、再度、通信高校に編入してホームから通う子。スタッフに心を開かず就職の面接でネガティブな発言を繰り返す子や、ホームを家出する子。最近では、リストカットやOD(オーバードーズ)を繰り返す子など子どもたちの表現・傷つきは様々です。
■退居者支援
そして、私たちが最も大切にしていることが「退居者支援」です。この10年間で男女合わせてすでに、65名の子どもたちがホームから巣立ちました。「ホームを離れて生活する」という子どもたちにとって本当の自立のスタートラインに立った時、「困ったときはいつでも相談に来ていいよ!」と子どもたちの「心の安全基地」になれるよう、転職・進学・恋愛・結婚・子育てなどのライフイベントに伴走した「退居者支援」が出来るように子どもたちと繋がり続ける努力をしています。現在、
私たちは以下の3つの柱を軸に退居者支援を行っています。
①相談事業→仕事等が忙しくなかなかホームに行く時間はないけれど相談したいことがある。そんな時にLINEや電話等で相談が子どもたちから寄せられます。
②おかえり事業→「悩みごとを聴いて」とやってきたり、お米などの食材をとりに来たり、夕ご飯を食べに来たり、と実家代わりに、子どもたちはホームに時々帰ってきます。
③アウトリーチ(訪問)→大学の諸手続きに同行したり、1人暮らしの様子を見に行ったりと、こちらから子どもたちのもとへ行くこともあります。たまに家が凄いことになっていて、スタッフがおせっかい心から掃除に行くこともあります。
その他、おせっかいボックスと名付けた、食料や日用品の仕送りを年に2回行ったり、誕生日や就職のお祝い、成人式のサポートなども行っています。
【活動を通して見えた課題と新たな挑戦】
■退居者をとりまく社会的背景
平時においてすら不安定な生活を強いられている子どもたちは、新型コロナウイルス感染拡大による、政府からの自粛要請などによって、2020年の2月末の早い段階から住み込み就労先を追われたり、失業やトラウマによるダメージが再発したりと一気に顕在化しました。そして、急激な物価高も重なり、ホームを退居した子どもたちの就労・就学など生活全般に大きな影響を及ぼしています。おせっかいボックスを送るために連絡すると、暮らしていた町を離れ、転々としている事が分かったり、野宿する子も増加しています。
また、結婚、子育てと新たな人生が始まっても子どもたちには、トラウマがふとした時に再発します。我が子の泣き声をあやしながら自分の幼少期に受けた虐待がフラッシュバックしたり、ホームでは順調に貯金が出来ていても1人暮らしになったとたん寂しさからお金を浪費して借金をしてしまう子もいます。
ホームを卒業したら終わりではなく、家族と暮らすことを奪われた子どもたちにとって、自立援助ホームは子どもたちの様々なライフイベントごとの「人生の課題」に関わり続けることが必要とされています。
■増え続ける退居者と新たな挑戦
私たちはこの10年間で男女の両ホームを合わせて、65名の退居者支援を行ってきました。そして2022年度はあらんの家で978件、ミモザの家で415件の退居者支援を行ってきましたが、その活動のほとんどが自主財源でまかなってきました。また、現在の入居児の居場所であるホームだけでは物理的環境、人的環境にも限界が来はじめていました。
その中で、今までの私たちの活動が認められ、今年度から自立支援担当職員加算というものを受けられることになり、あらんの家では正職員1名、ミモザの家では非常勤職員1名を退居者支援専属の職員として迎えることが出来るようになりました。
また、今年の2月から3月にかけて11年目の挑戦として行ったクラウドファンディングでの皆さまの寄付のおかげで退居者にむけた「新しい居場所」も一歩を踏み出すことが出来ました。
多くの方々のご支援に感謝いたします。本当にありがとうございます。居場所の進捗状況はnoteにて随時報告させて頂いております。是非、ご覧ください。(奈良の会noteのページはこちらから→https://note.com/naranokai/)
【ご寄付の使い道】
皆さまのご支援のおかげで11年目の挑戦に向け、日々着々と前に進んでいますが、その活動のほとんどが皆様から頂いた寄付などの自主財源でまかなっているのが現状です。新たな居場所はすでに何人かの退居者が興味を持ってくれています。実家代わりのように、子どもたちのライフイベントごとの“人生の課題”に寄り添い続けられる居場所になるためにも継続的な支援を必要としています。
今回のマンスリーサポーター募集で私たちが、多くの方々にご支持頂いているのだという事が改めて形になると、今後の活動の後押しとなります。 頂いた寄付金は私たちNPO法人 青少年の自立を支える奈良の会の活動の為に大切に使わせていただきます。加えて、現在、私たちは寄付額が税額控除の対象となる認定NPO法人化に向けて準備を始めています。認定要件である100名の3000円以上の寄付者の皆さまを募り、認定取得を目指しております。
皆さまの、ご協力・ご支援よろしくお願いいたします。
【最後に】
こんにちは!「NPO法人 青少年の自立を支える奈良の会」のミモザの家の職員をしている高栖望と申します。私は新卒で作業療法士・介護職として介護施設に勤務したのち、2021年に、ミモザの家に入職し、入居児や退居児と関わりながら、主にnoteやこうしたクラウドファンディングなどの広報の担当をしています。私たち、奈良の会のページを訪れてくださり、ありがとうございます。
少し、個人的な話になりますがお付き合い下さい。
私は高校生のころ、神経性無食欲症といういわゆる拒食症を発症しました。闘病中は身長163cmにして体重が30kgにも満たないのに自分に病気の自覚はありませんでした。何度も入退院を繰り返しましたが今のように生きいきと趣味のボルダリングをしたり、仕事をしたりするなんて考えられない程、「無」の状態でした。楽しいも、悲しいも、何も感じない日々でした。
そんな私が、いまこうして、皆に楽しそうだねと元気に過ごしているのは「人との繋がり」のおかげです。
高校の担任が見捨てず3年間病院にお見舞いに来てくれ、「一緒に」卒業する方法を考えてくれたり、母親も「一緒に」どうしたら私が安心して病気を手放せるか考えてくれました。人生の中で色んな大人に会う中で大人たちの人生の失敗談や笑い話を聞く度に、「人は迷惑をかけるものなんだ」「なんだか大人って楽しそう」と思うようになり、「一緒に」考えてくれる大人が増えるたびに自然と「助けて」が言えるようになっていきました。そしていつの間にか拒食症は手放せていました。私にとって自立とは頼り先を増やすことでした。
思春期のどうにもならない不安・言葉にできないものが私は「拒食症」という形で表出されたと思っています。言葉にできない色んなものが押し寄せて、「不登校」という表出をする子、前職の介護施設でも認知症で上手く言葉にできず、その表出が「暴力」や「暴言」として出てしまう方…。
今、ミモザの家で関わっている子たちのそれぞれの表出にも「何か意味があるんだろうな」「何か思いがあるんだろうな」そんな風に思う時があります。
それぞれの課題は自分自身でしか乗り越えられないけれど、その手伝いができればと日々ミモザの家で子どもたちと過ごしています。その中で、ホームが安心・安全の場になるのはもちろんですが色んな大人にあって、色んな繋がりをもってもらえたらと思います。
よく、法人の理事長である浜田理事長は「フック」に喩えてその話をします。趣味や仕事、経験・知識など社会と繋がる「フック」(話題や居場所)が多いほど、誰かと繋がれる、出会えるきっかけは多くなります。私にはボルダリングや旅行等の趣味、ミモザの家で働いていること、好きなアーティストの話や色々な「フック」を持っています。そんな「フック」が誰かと繋がるきっかけになります。
新たな居場所も、子どもたちが休む場はもちろん、講師を呼んで色んな講座を開いたり、子どもたちと色んな経験ができる場、子どもたちがそれぞれの得意を表出できる場、そして、子どもたちのフックを沢山作れる場になったらいいなと思っています。
子どもたちが安心して生活できる環境を作るため、そして安心して社会に参加できる社会を実現するために皆さまのご協力をお待ちしています。