ファクトチェック専門団体のリトマスです。東日本大震災の直後からTwitter(現X)で情報検証の発信を続けてきた大谷友也編集長を中心に、地道にファクトチェック活動に取り組む市民が集まって立ち上げた独立系ファクトチェック団体です。
多くの方々のご支援のおかげで、『国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)』加盟団体として国際認証の取得を達成しました。一方で、リトマスはまだまだ以下のような課題に直面しています。
■まだまだ記事本数が少なく、出回っている誤情報に検証が追いついていない
■即時性だけを重視するのではなく、より影響力の大きい言説を検証していかなければならない
IFCN加盟を機に、次の目標に向け、これを実現するために継続的に支援してくださるサポーターのさらなる募集を行います!
■ 年間100本(毎月8本前後)のファクトチェック記事を継続して発表できる体制をつくる
■ これまで重視してきた「新型コロナ」「ウクライナ戦争」「選挙」「SNSで拡散した動画・画像」のファクトチェックに加え、「生活・経済に関する情報」「地震などの災害」「歴史問題」「政治や国際問題」といった分野も強化していく
リトマスは「誤情報を信じる人を減らしていくために、みんなでつくるファクトチェック団体」をモットーにしています。ぜひ、継続的なご支援をよろしくお願いいたします!
Story
増え続ける誤情報、ファクトチェックはますます重要に
ファクトチェックとは、ネット上で拡散されるなど社会的影響の大きな情報・言説について、その内容が事実に基づいているかどうかを客観的に検証する活動です。
近年、ファクトチェック活動の重要性は世界各国で認識されており、専門団体が数多く誕生しています。
最近では「Stable Diffusion」や「ChatGPT」といった生成AIの登場で、誤情報の判別が今まで以上に難しくなることも懸念されています。日本でも昨年、AI画像で作成された災害に関する誤情報が広がり、話題を集めました。
また、ロシア・ウクライナ戦争では「ブチャ虐殺はウクライナ側の演出」等の誤情報が多数広がり、各種メディアが対応に追われました。フェイクニュースがいわゆる"情報戦"の道具として用いられているとされ、誤情報を取り巻く状況はどんどん複雑化しているといえます。
国内でも、昨年の参議院選挙の際には、様々な誤情報がSNS上で出回りました。事実と異なる情報が政治家からも多く発信される一方、とても全てを検証するには至りませんでした。
ファクトチェックの重要性はますます高まっている中で、日本は世界に比べてまだ大きな遅れをとっており、日々拡散される誤情報に対する検証がとても追いついていない状況です。
昨年、ファクトチェック推進団体『ファクトチェック・イニシアチブ(FIJ)』が収集した真偽不明情報のうち、ファクトチェックが行われたのは1割程度にとどまりました。実際にはもっと多くの誤情報が存在しており、検証されないままになっているのが実情だと思われます。
リトマスは独立系メディア
私たち『リトマス』も2022年1月から日本初のファクトチェック専門団体としてスタートし、活動を行ってきました。
『リトマス』の特徴は、従来のメディアの経歴をもたず、地道にファクトチェックに取り組みたい市民がメンバーとなり、大企業の支援も受けずに一からスタートした団体であるという点です。
6万人を超えるX(旧Twitter)フォロワーをもつ大谷編集長の下に、ファクトチェックに関心のあるメンバーが集まって、それぞれの出来ることを持ち寄りながら編集作業を行なっています。現在も独立系メディアとして、個人からの寄付によって運営が成り立っています。
IFCN加盟団体としての国際認証を取得
日本もファクトチェックをするメディアが増えてきましたが、まだ世界の動きから大きな遅れをとっており、国際的基準に基づく認証を受けた団体がなかなか現れない状況が続いていました。
『リトマス』は活動当初からIFCN加盟を一つの目標とし、国際的基準に則ったファクトチェック活動を行いながら、加盟申請の手続きを進めてきました。2022年6月にIFCN審査申請を行なってから何度もやり取りを行い、ついにこの度、認証取得が実現しました。
国内では今年に入って「InFact」「日本ファクトチェックセンター(JFC)」の2団体がIFCN加盟を果たしており、『リトマス』は国内で3つ目のIFCN加盟団体となります。
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)とは
IFCNは米国ポインター研究所によって2015年に設立された国際機関で、ファクトチェックの国際標準として知られる原則綱領を定めており、綱領に基づいた加盟団体の審査を2017年から開始しています。
綱領では「非党派性と公正性」「情報源の基準と透明性」「資金源と組織の透明性」「検証方法の基準と透明性」「オープンで誠実な訂正方針」の5つの原則が示されており、それぞれに詳細な基準が定められています。
現在、IFCNには「AFP通信」や「PolitiFact」等をはじめ、100を超える団体が加盟しています。
またIFCNは世界中のファクトチェック関係者が集まる国際イベント「GlobalFact」を毎年主催しています。『リトマス』も今年6月に韓国で開かれた「GlobalFact10」に参加し、海外の関係者との交流や、最新の動向などを共有することができました。
https://litmus-factcheck.jp/news/2140/
『リトマス 』これまでの活動の成果
『リトマス』は、新型コロナ、ウクライナ戦争、参議院選挙など、様々なジャンルのファクトチェックを行なったほか、大手マスメディアの記事の検証も行い、1年目は60本、合計で80本以上の記事を発表することができました。
新型コロナ関連のファクトチェック
大手マスメディアを検証した記事の例
https://litmus-factcheck.jp/2022/03/50/
SmartNewsなどへの配信も実現し、15万人以上に読まれた記事もありました。活動が海外にも認知され、『リトマス』は世界のファクトチェック団体のデータベースにも登録されています。
また大谷編集長のインタビューやコメントがメディアにも掲載されています。
「ファクトチェックアワード2023」大賞を受賞
今年6月には、『ファクトチェック・イニシアチブ(FIJ)』が主催する「ファクトチェックアワード2023」にて、『リトマス』の記事が最高賞である大賞に選ばれました。
https://litmus-factcheck.jp/news/2075/
ファクトチェックアワードは「社会的関心の高い事柄に関して人々を誤解させるおそれのある情報を検証し、正確な事実を共有することに貢献した作品を顕彰し、その社会的意義を広める」ことを目的に、今年初めて開催されたものです。
『リトマス』では、サポーターの皆様から頂いた投票も参考に、いくつかの記事の自己推薦を行い、そのうちの1本が大賞に選ばれました。
大賞に選ばれた記事は、毎日新聞の報道を「正確」としつつ、その内容がネット上で誤って理解されている状況に注意喚起を行うものとなっています。審査では「誤った解釈による混乱を防止しようとした取り組みとして、ファクトチェックが果たしうる役割の一面を示した」として高く評価されました。
大手メディアの候補もある中で、こうした評価を頂けたことは、私たちにとって大きな自信となっています。
『リトマス』がこだわるポリシー
リトマスは、当初からファクトチェックの質と信頼性にこだわってきました。
1つの案件に必ず3人以上が関わって丁寧にファクトチェック記事をつくりあげる編集体制も、そうした取組みの一つです。
そして、IFCNの国際基準を満たすように、フェアで透明性の高い活動ポリシーを掲げて活動してきました。
https://litmus-factcheck.jp/policy/
ファクトチェック本数がまだまだ足りないのが課題 年間100本の体制づくりを進めます
ついにIFCN加盟を果たしたことで、ファクトチェック専門団体として求められる最低基準はクリアできていると思います。
一方で、次のような課題も浮上してきました。
・まだまだ記事本数が少なく、出回っている誤情報に検証が追いついていない
・即時性だけを重視するのではなく、より影響力の大きい言説を検証していかなければならない
そこで、『リトマス』は年間100本のファクトチェック記事を安定的に発表していくことを目標として掲げています。
また以下のようなジャンルのファクトチェックも強化していきます。
■ 生活・経済 … 物価高、少子化など私たちの生活をとりまく社会的関心の高いテーマ
(例)https://litmus-factcheck.jp/2023/03/1638/
■ 地震など災害 … いつ起きてもおかしくない災害に関する不確実な情報
(例)https://litmus-factcheck.jp/2023/06/2003/
■ 歴史問題 … 過去の歴史的事実をねじ曲げたり、誤った認識を広めかねない情報
(例)https://litmus-factcheck.jp/2022/09/636/
■ 政治・国際問題 … 加熱して分断を広げかねない政治や国際問題に関する言説
(例)https://litmus-factcheck.jp/2023/04/1904/
SNSなどで急浮上したわけでなくても、長く流布しているような言説にも取り組み、影響力の大きい誤情報に対して、より幅広く検証を行なっていきます。
サポーター特典
『リトマス』は「みんなとつくるファクトチェック専門メディア」を掲げており、サポーターの皆様の寄付と協力によって成り立っています。
サポーターに登録頂いた方には、編集長・大谷によるメールマガジンをお送りしています。内容には力を入れており、一ヶ月間の活動報告や、良かった記事への投票企画、誤情報やファクトチェックに関する動向について学べる記事などが配信されます。
また今後、『リトマス』に関わりたい方向けの情報をメルマガで発信することも考えており、様々な形で私たちの活動をサポート頂くことが可能です。
編集長・代表理事の大谷の想い
『高い独立性を保ちながら、質の高いファクトチェックを多くの人に届けたい。ご支援を切にお願いいたします』
誤情報や偽情報への対策としてファクトチェックの重要性はよく言われることですが、その時いつも議論になるのが、ではそのファクトチェックは誰がしているのか、ファクトチェックをやっている人や団体は信用できるのかということです。皆さんの中にも、同じことが気になっている方は多いことでしょう。
このたび、リトマスは設立当初からの重要目標の一つであるIFCN加盟を達成することができました。これは、リトマスが公正・公平で質の高いファクトチェックを行うのにふさわしい団体であると国際的に認められたことを意味します。
IFCNの認証を獲得するためには、発表されるファクトチェック記事の質はもちろんのこと、政治的な中立性、資金源の透明性など、組織そのものが信用できるかどうかも厳しい審査が行われています。リトマスはこれらの基準を全てクリアしていると認められ、さらに今後も1年ごとに基準からの逸脱が無いか定期的に審査が行われることになっています。
リトマスの大きな特徴は、大手メディアの所属経験の無い市民メンバーによって構成された組織だという点です。これは国内外を通じても珍しいことで、ジャーナリズム出身の記者が創設したり、マスメディアの一部門として作られたりすることの多い他のIFCN加盟団体の中にあっても、異色の存在と言えます。
こうした高い独立性を保ちながらも、私たちが行うファクトチェックの品質は大手メディアにも決して引けを取っていません。先日の「ファクトチェックアワード2023」における大賞受賞は、それを証明しています。
このように、ファクトチェックメディアとして着実に成長を重ねてきたリトマスですが、資金の面から言うと未だに大きな不安を抱えています。IFCNに加盟しても、アワードで大賞を受賞しても、賞金が出るわけではありません。独立系メディアの弱みでもありますが、企業の後ろ盾を持たないリトマスの運営資金は常に綱渡りの状態が続いています。
ファクトチェックという活動は膨大な手間や時間がかかるのに対し、出来上がった記事はなかなか注目を浴びにくく、直接的に収益に結び付けるのも難しいものです。リトマスを支えているのは、このような活動が必要だと思っていただいた一般の皆様からの温かいご支援なのです。
より多くの人たちに向けて、より多くの、そしてより質の高いファクトチェックを届けたい。そんな私たちの願いに賛同してくれる方々からのさらなるご支援をお待ちしております。
(大谷のX(旧Twitter)アカウント)
https://twitter.com/jishin_dema
寄付金の使途
寄付金は、年間100本のファクトチェック記事を発表する体制づくりに、調査・取材の経費、記事制作費用、人材育成費用として使わせていただきます。
『リトマス』は皆さんとともに一歩ずつ成長します
私たちは、幅広い市民からの信頼と支持を得ながら、一歩ずつ成長していきたいと考えています。
より多くの人がファクトチェックに親しみ、御情報・偽情報を信じる人を減らすことで、正確な情報に基づく前向きな対話が広がる社会を『リトマス』は目指しています。
「サポーター」の皆さんのご意見も聞きながら、継続して活動できる体制をつくっていきたいと思っていますので、ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。