全国に広がったホームホスピスの原点「かあさんの家」も長いところで18年経ちました。
あちこち手入れも必要になっています。電化製品の買い替えやお風呂、トイレ周りの改修もそろそろ考えなければなりません。災害に備えた対策も更新しなければなりませんし、ベッドや車椅子スロープなどの介護用品や事務処理を効率的に行うためのパソコンなども新しく導入したいと考えています。
また、スタッフも余裕のない人数でがんばっていますが、仕事の幅を広げるための資格の取得なども団体としてサポートしたいと考えています。
ホームホスピスは制度事業ではなく、自立した生活が困難な方のケアは一軒当たり5〜6人が限界のため、運営に十分な収益を上げることが難しいのが現状です。
そのために、毎月定額でご支援いただく「マンスリーサポーター」を募集いたします。
今回のこのプロジェクトで集まったご寄付で、まずは緊急性の高い箇所の修繕や福祉用具の導入、更新を行い「もうひとつの自宅」として安心・安全な環境を届けたいと考えております。皆さんのお力をお貸しください。
「まず、1年だけでもやってみようか」という方もご登録いただけると嬉しいです。止めたい時期にご連絡いただきましたら解除も可能です。
【募集概要】
◆主催:認定NPO 法人 ホームホスピス宮崎
◆期間:2023年5月29日(月)〜6月30日(金)
◆目標:50人
どうぞよろしくお願いいたします。
Story
ホームホスピスとは?
ホームホスピスとは、自宅で生活していくことが困難な終末期などの方々5〜6人が、民家にシェアハウス形式でともに暮らす住まいで、訪問介護や訪問看護、訪問診療によって、24時間その暮らしをサポートする仕組みです。
住み慣れた地域で、なじみの人たちに囲まれて《その人らしく》人生を全うすることを望む方々の、施設でもない自宅でもないもうひとつの『居場所』 となっています。
ホームホスピスが存在する意義は?
医療的なケアがなければ生きていけないけれど病院ではなく「生活の場に戻りたい」。
一人暮らしでがんになり、孤立や孤独の不安を抱えている。
家族に看取りの経験がなく、最期をどのように支えたら良いか分からない。
最後の時期を自宅で過ごせない理由はたくさんあります。
そのような方々を受け入れて自宅のように暮らすことができるのがホームホスピスです。
ホームホスピスが生まれた背景は?
その当時、宮崎県には、積極的な治療ができないがん末期の方などを受け入れるホスピス(痛みを緩和する緩和ケア病棟)がなく、その建設のための活動を行うことを目的に、市民団体「ホームホスピス宮崎」が結成されました。そして、1998年に「宮崎市にホスピス病棟を作ってください」という要望書を宮崎市議会や医師会に提出したことが活動の始まりでした。
ホームホスピス宮崎は、2000年4月にNPO法人となり、2001年12月に宮崎市郡医師会病院に緩和ケア病棟が開設されて地域のかかりつけ医との連携が図られ、宮崎市は「家に帰りたいと思えばいつでも帰れる街」になりました。
しかし、数年後に、緩和ケア病棟の医師から「地域で往診してくれる医師や看護師もいるのに家族で介護しきれず、また病棟に戻って来られる方がいます。自宅で暮らせない人の居場所はできませんか?」と相談があり、「家に帰れなければ、もう一つの家に住んでいただき、24時間生活をサポートしながら在宅ホスピスケアのチームを派遣すればいい」と考えて、普通の民家を借りたホームホスピス「かあさんの家・曽師」を作りました。
これが2004年6月のことで、この「かあさんの家・曽師」が全国で初めてのホームホスピスとなりました。
ホームホスピス宮崎の活動について
ホームホスピス宮崎の活動の柱
がんになっても、認知症であっても、障がいがあっても、一人暮らしであっても、住み慣れた地域で、安心して暮らせるまちづくりを活動の柱にしています。
ホームホスピス宮崎の事業(活動)
私たちは次の各事業を展開しています。
ホームホスピス事業
今から18年前の2004年に宮崎市内から始まりました。現在、宮崎市内3ヶ所で「かあさんの家」を運営しています。病気があって一人で生活できない方など5〜6名に、空き家になった民家で一緒に暮らしていただき、介護士が訪問介護+24時間の生活支援という形で、生活全般(日常の動作含めた食事、入浴、排泄など)を支えています。
民家で少人数だからこそ、精神的に安心できる環境と一人ひとりに応じたケアが提供できていると思います。また、必要に応じて訪問看護や訪問診療を利用し、医療的なケアも受けられるようにしています。
相談事業
病気や介護に関する相談や支援を提供する事業です。専門的なアドバイスや情報提供を行い、利用者の心のケアやストレス解消なども支援します。
ふらっとカフェ(県の委託事業)は、宮崎県のがん患者さんとそのご家族が対象
ひだまりカフェは、認知症の方々やそのご家族が対象
ゆるりサロン(暮らしの保健室)は、地域にお住まいの方が対象
お薬相談(HALEたちばなカフェ)は、主にカフェ利用者を対象
在宅療養でんわ相談(宮崎県委託事業)は、相談内容に応じて専門の機関に繋げたり、施設などを紹介
福祉型短期入所事業「レイレイ(leilei)」(主に医療的ケア児対象)
木曜日〜月曜日に、障がいを持った方(主に医療的なケアが必要なお子さん)をお泊まりでお預かりするサービスです。普段、訪問看護で在宅に伺っているお子さんも多いので、ご家族も安心してご利用いただいています。現在、5名の定員を受け入れています。
日中一時支援事業「オハナ(ohana)」(主に医療的ケア児対象)
月曜日〜金曜日に、障がいを持った方(主に医療的なケアが必要なお子さん)を日中にお預かりするサービスです。短期入所事業同様、普段、訪問看護で在宅に伺っているお子さんも多いので、ご家族も安心してご利用いただいています。現在、10名の定員を受け入れています。
訪問診療「みつばち診療所」
自宅や施設で療養する方々に、訪問医療を提供する事業です。0歳からご高齢の方まで、年齢を問わず在宅での療養生活をサポートしています。訪問看護とも連携して「かあさんの家」や医療的ケアが必要な方のご自宅などに医師と看護師が訪問し、必要な医療を提供しています。
2021年10月に宮崎大学医学部と連携して開設しました。
訪問看護事業「ぱりおん」
0歳からご高齢の方まで、年齢を問わず在宅での療養生活をサポートしています。ご本人とご家族の気持ちを尊重し、在宅において可能な限り自立した生活が営めるように、また安心して両方できるように、訪問看護師がお手伝いします。かかりつけ医やいろいろな介護サービス事業所と協力しながら、多職種でつくるプロのチームが、ひとり暮らしの人も最後まで支えます。
コミュ二ティカフェ事業「游椿」
「レイレイ」や「オハナ」が入っている建物「HALEたちばな」の1階で「游椿(ゆうちん)」というコミュニティカフェを運営しています。現在は「kiki」さんというカフェに運営を委託していますが、誰でも使える多目的トイレやケアルームを備え医療的ケア児のママたちが作ったクラフト作品の展示販売も行なっています。
研修・講座・啓発事業
ホスピスに関する知識や技術を広めるため、研修や啓発活動を行う事業です。ボランティアや医療従事者などに向けた研修や、一般の人々に向けた講演会などを開催しています。
これらの各事業を通じて、認定NPO法人ホームホスピス宮崎では、病気や障害、また老齢による身体的な苦痛や孤独感を抱える方々やそのご家族が、自分らしい生活を送ることができるようにサポートしています。
運営上の課題
今、全国21都府県で67軒に広がっているホームホスピスは、ここ宮崎で18年前に始まったときと同じような地域課題を解決しようと生まれてきました。また、これからも増えようとしています。
しかし、ホームホスピスは国の制度事業ではないため、みな開設から運営・維持の方法を工夫しながらやっています。そのように運営に苦労は多いのですが、制度事業ではないからこそ民家の利用に建築的な制限もほとんどなく、自宅の延長のように暮らすことができるのです。
ただ、制度事業ではないことと、自立した生活が困難な方のケアは、一軒当り5〜6人程度の少人数が限界のため、運営に十分な収益を上げることが難しいのが現状です。
ホームホスピスかあさんの家では、1日に2〜3時間程度の訪問介護ケアとそれ以外の時間の「生活支援ケア」で、おひとりお一人の生活を支えています。1日の大部分の生活を支える「生活支援ケア」は、入居されている方の自費となりますが、行き場がなくて「かあさんの家」にたどり着いた方を一人でも多く受け入れたいという思いで、生活支援費も多くはいただいていません。
「かあさんの家」も長いところで18年経ちました。あちこち手入れも必要になっています。電気製品の買い替えやお風呂、トイレ周りの改修もそろそろ考えなければなりませんし、災害に備えた対策も更新しなければなりません。ベッドなどの介護用品や事務処理を効率的に行うためのパソコンなども新しく導入したいと考えています。
また、スタッフも余裕のない人数でがんばっていますが、仕事の幅を広げるための資格の取得も団体としてサポートしたいと考えています。それが「かあさんの家」のケアの質を保つためにも必要ですし、この活動を継続するためには、福利厚生の充実や処遇の改善でスタッフのやりがいを保っていくことも必要だと考えています。
今後の展望
ホームホスピスを利用するのに、病気の種類や年齢などの条件はありません。これまでに入居された方も治療のできないがんや認知症、難病や障がい…など年齢に関係なく人生の最後の日々を「もうひとつの自宅」であるかあさんの家で過ごされました。
これからホームホスピスの新たなご利用者として想定されるのは、日常的に医療的なケアが必要な障害を持った比較的若い方々です。
背景には、そのようなお子さん(医療的ケア児)が統計的に増えている(10年で約2倍)現状があります。家族がケアできなくなったときに生活する場が必要です。
そのような方々が安心して生活できる場としても、ホームホスピスの社会的な役割は益々大きくなってくると考えています。
介護保険事業は、原資となる介護保険料を払う世代がどんどん減っていく中で、利用したい人はもうしばらく増えていきますので、今後利用者一人当たりにかけられる費用を増やすことは難しいと推察できます。
しかし、ホームホスピスが実践している「一人ひとりに合った個別ケア」は、少ないスタッフで多くの利用者のケアを行うスタイルで実現することはできません。
ですので、ホームホスピスを継続するには、社会に支えていただくことがますます重要になってくると考えています。