シリア支援の難しさとは?
2023/2/15 23:16
こんにちは。Piece of Syria代表理事の中野貴行です。
プロジェクト開始から1週間が経ち、373名の皆さんから、480万円を超える、ご支援が届いています。本当に、ありがとうございます!
(家が壊れたり、地域外から避難してきたり、家を失った人たちも多く、寒さを防ぐためのテントを配っています)
日本の友人の5歳の娘さんから「寄付したい」と500円をお預かり、それをシリア人スタッフに伝えたところ、「嬉しくて泣きそうだよ」と返事が来ました。
皆さんからのご寄付は、温もりを持って、現地に届いています。
(テント・食料・毛布などの配布を実施しています)
シリアは長引く戦争の中で、経済制裁や2年で8倍にもなる物価高騰のなかで、地震が起こる前から「戦争が始まって以来、最も生活が厳しい」という声が届いていました。
さらに戦争によって建物が脆くなっており、地震の後には多くの建物が壊れたものの、シリア全土で重機が足りておらず、救助活動ができない状況になっていました。
国際社会が支援が必要な状況です。
しかしながら、シリア北西部は反体制派・トルコ軍が支配しており、ルートはトルコからに限られています。そのルートが地震で遮断され、かつトルコも被災し余裕がありません。さらに政府に対して敵対しているテロリストがいるため、シリア政権は支援に慎重になりました。
そこで、地域のボランティアなどが中心となって救助活動にあたりました。
(幼稚園があるのは、シリア北西部のトルコ支配地域)
一方、シリア政権下は、経済制裁の影響によって、国際社会が支援を躊躇しました。
シリアの赤新月社など、国内のNGOが救助活動に当たっています(シリアに住む友人のFacebookで確認しました)。
今月9日、アメリカが経済制裁の180日間の停止を発表し、10日にJICAも緊急援助を発表、13日にシリア政権も反体制派に支援を届けることを閣議決定しました。
今後、国際社会からの支援が反体制派も含めた、シリア全土に届けられる傾向が見受けられます(その一方で、シリア政権に懐疑的な目もあります)。
(シリアの隣国ヨルダンの難民キャンプ。実は国の外に逃れた難民よりも、国内で避難している国内避難民の方が人数が多い。撮影:中野貴行)
元々、他の地域から逃れてきた避難民も多く、状況が厳しかったことに加えて、まだまだ支援が届きにくいのが、支援先であるシリア北西部。
反体制派が、あえてシリア政権からの支援を拒むことで、政権批判の道具として政治利用している状況もあります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd5dd60454fbca4342079fdf79b658b7b702dba9
支援を道具化することなく、「必要な人に、必要なものを届ける」というのは、現地で教育支援を長く共に活動してきた仲間がいるからです。
シリアでは緊急支援の物資配布と並行して、心のケアのためのアクティビティが実施されました。
「子ども達にまた教育を受けてほしいんだ。子ども達の当たり前の日常を取り戻したい」と現地スタッフのハッサンは話します。
大人も子どもも、皆が心に傷を負っている。だからこそ、テント・暖房・食事だけでなく、こうした心のケアも大事な活動で、幼稚園の再開にも意欲的です。
是非、そうした支援にこれからも応援の手を差し伸べていただけたら幸いです。
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