【シリア北西部:大地震に対する緊急人道支援報告(2) 】
2023/2/25 19:39
【緊急支援:続報】
この度SSJのシリア北西部の大地震に対する緊急支援にご協力頂いた皆様、誠にありがとうございます。私たちStand with Syria Japan(SSJ)は2月6日の大震災の発生を受けて、シリア現地スタッフを持つ唯一の日本のNPOとして早急に被災地の状況調査、ニーズの調査を行いました。その結果、最も被害が甚大で国際社会からの支援が届かない、シリア北西部非政権支配地域のアレッポ県ジュンダリス、イドリブ県ハーレムを支援地域として定め、緊急人道支援をいち早く実施しています。
写真1のように家々が跡形もなく崩れ去ってしまったような地域で被災者の方々は、はじめ路上で避難生活を送ることを余儀なくされていました。このような状況であっても国連をはじめとする国際社会からの支援は遅れ、ほとんど届かず、避難者の方々の命は非常に危険な状態でした。そこでSSJは皆様から頂いた義援金をもとに迅速にテントや毛布、食料などを配布し、被災者の方々の命と尊厳を守るべく、現地スタッフ・日本スタッフ総出で支援を展開しています。物質的な支援はもちろんですが、たび重なる危機で特に子どもたちは心理的なショックを抱えています。そのため現地スタッフは支援物資を各家庭に届けるときは必ず子どもたちに声をかけ、必要であれば一緒に話を聞いたり遊んだりすることで子どもたちの心理的な傷に向き合っています(写真2)。今回は前回の活動報告のときには公開できなかった、新たな支援活動を中心に報告させて頂きます。
写真1 ©︎Stand with Syria Japan
写真2 ©︎Stand with Syria Japan
【緊急支援:テントの配布・設置】
上述したように被災地では多くの建物が全壊してしまい、人が住めるような状態ではなくなってしまいました。そのため地震発生直後、被災者の方々は路上に着の身着のままの状態で避難生活を送り、氷点下を迎えるシリアの冬の中、凍えながら支援を待っていました。この状況にいち早く対応すべく、SSJでは皆様からの義援金が届く前から資金備蓄をすべて緊急支援に回し、現地にてテントを購入・配布・設置までを行いました。皆様からの義援金が続々と届いてからはさらに現地スタッフを動員、配布する数も増加させ、被災者の方々に少しでも安らぎの場を与えられるよう、支援を届けています。まだ余震が現地では続いているため、倒壊した建物が多くある街の中心部から少し離れた場所にテントを設置しています。
写真3 ©︎Stand with Syria Japan
写真4 ©︎Stand with Syria Japan
【毛布・マットレスの支援】
皆様はシリアの冬がどれくらい寒くなるかご存知でしょうか。シリアの冬はなんと氷点下を迎えることもあり、基本的に経済的に余裕がない国内避難民の方が多く住む、非政権支配地域では、冬を無事超えることが人々の毎年の心配事でした。しかしそのような人々が身を寄せ合って暖をとってきた建物は完全に地震で崩壊してしまいました。このような状況に対応するためには住む場所を提供するだけでなく、被災者の方々が暖を取れ、安心して眠れるような支援が必要不可欠です。私たちは各家庭に必要分の毛布・マットレスを配布し、テントの中でも眠れるよう、支援しています。
写真5 ©︎Stand with Syria Japan
写真6 ©︎Stand with Syria Japan
【貯水タンクの支援】
被災者の方々が尊厳のある生活を取り戻すためには、飲み水は必要不可欠ということで、避難所に給水タンクを設置しました。安全な飲み水にアクセスできることは、どんな状況にいても侵されてはならない権利であり、SSJはこのような非常事態の時こそ、被災者の「尊厳の回復(Restoration of dignity)」につながる支援を続けていきます。前回報告させて頂いたトイレの設置も含め、我々が避難所にこのような生活・衛生インフラを整備していったことを聞きつけ、遠くからも多くの避難者の方々が訪れているそうです。
写真7 ©︎Stand with Syria Japan
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