いわさきちひろ 「にじの はし」 1963年
子どもの幸せを願い、生涯、子どもを描きつづけた画家いわさきちひろは、1974年8月8日に55歳でこの世を去りました。ちひろ美術館は、「世界中のこども みんなに平和としあわせを」という言葉を遺したちひろの願いをひきつぎ、未来につなげる活動を続けています。そして、ちひろがこの世を去った8月8日を毎年「ちひろ忌」として、子どもの幸せと平和を考える日としています。
Story
赤い花を持つ少女 1969年 『あかちゃんのくるひ』(至光社)より
ちひろ美術館は、特に日常的に美術館を訪れたり、絵本を愉しんだりすることが困難な状況に置かれた子どもたちに、もっと絵本や美術を楽しんでもらえる活動を充実するために、このちひろ忌から1か月間、アニバーサリー・ギフト(寄付)を募集します。
終息の見えない感染症の広がりは、世界中で差別や貧困等の問題を顕在化させました。日本でも子どもたちをめぐる文化の貧困、教育の貧困の問題が深刻化しています。そのような状況だからこそ、ちひろ美術館は、だれもが安心して生活でき、豊かな文化に親しめる社会への希望をつなぐ存在でありたいと、さまざまな子どもたちに楽しんでもらえる活動をさらに広げていきたいと思います。
■ 寄付金の使いみち
アニバーサリー・ギフト(寄付)は、病院での院内展示(来館が難しい患者やその家族、医療関係者を対象に、病院内でちひろの複製画を展示したり絵本を貸し出したりする、絵と絵本を楽しんでいただく活動)のために使わせていただきます。
東京女子医科大学病院で飾りつけの様子(2008年7月)
昨年(2021年)は、お寄せいただいたご寄付を元に、あらたにピエゾグラフ作品17点を制作することができました。これにより、季節にあわせた展示作品の入替えがしやすくなり、新しい作品をお楽しみいただくことができるようになりました。
現在、長野県立こども病院、東京女子医科大学病院、国立成育医療研究センターなど計8か所で院内展示を実施しています。いわさきちひろのピエゾグラフをあと80点制作すれば、季節に合わせて作品の入れ替えを行いながら、お貸出可能な病院を全部で10か所に増やすことが可能となります。
「病院という独特な空間にやさしい彩を添えてくれるちひろの絵画。毎日頑張る親子を包み込むように、いつもそっとやさしく見守ってくれているかのよう、日常生活に溶け込み、いつの間にか患者様だけでなく職員も癒されます。絵画を通じてご支援くださった皆さまに感謝申し上げます。」(長野県立こども病院 ボランティアコーディネーターさまより)
■いわさきちひろとちひろ美術館
自らも戦争体験を持つちひろは、「世界中のこども みんなに平和としあわせを」と願って絵筆を握り続けました。ちひろ美術館・東京は、ちひろの死後、遺族から作品のすべてと著作権の一部の寄贈を受けるとともに、ちひろの絵を愛する人たちからの寄付をもとに、ちひろの死後3年経った1977年、東京都練馬区下石神井の自宅兼アトリエの一角に設立、1997年には、長野県北安曇郡松川村に、安曇野ちひろ美術館を開館しました。
ふたつのちひろ美術館(公益財団法人いわさきちひろ記念事業団)は、「子どものしあわせと平和」「絵本文化の発展」を理念に掲げて活動しています。絵本は、ことばや文化、国や民族の違いを超えて、0歳から100歳を超えるあらゆる世代が楽しめる文化財です。世界中で、未来を担う子どもたちが絵本に親しみ、豊かな心を育むことを願って、ちひろ美術館は日々活動を続けています。
また、ちひろ美術館は、子どもたちが人生で初めて訪れる美術館「ファーストミュージアム」として親しんでいただけるよう、全館バリアフリーで、ベビーカーで入館できます。国内外の絵本をそろえた「絵本の部屋」、靴を脱いで遊ぶことのできる「子どもの部屋」、授乳室、小さい子ども用のトイレやベビーシートなども整備しています。ぜひお子さんとごいっしょにお越しください。
※当公益財団へのご寄付については、他の公益財団法人や認定NPO法人等ともあわせて、2022年1月1日~12月31日までの期間内に合計2,001円以上の寄付をされた場合に「税額控除」または「所得控除」のいずれか有利な方法を選択して、寄附金控除を受けることができます。控除を受けるためには、確定申告が必要です。詳しくはお住まいの管轄の税務署にお問い合わせください。
※ちひろ美術館の活動の詳細は、ちひろ美術館公式サイトをご覧ください。 → https://chihiro.jp/