2020年度からは、データベースの製作を医療ガバナンス研究所に引き継ぎます。それに伴い、現在実施している寄付サイト「Syncable」でのキャンペーンは5月31日正午をもって終了いたします。いただいたご寄付は、これまでに要したDBの製作費に使用させていただきます。
6月1日以降、製薬マネーデータベース作成のためのご寄付は、医療ガバナンス研究所宛てにお願いいたします。
これまで多大なるご支援をいただき、誠にありがとうございました。
かかりつけ医がいつも処方している薬は、効果と安全性の面で自分にとって最良なのだろうか。著名な医師が薬や病気についてメディアで語る内容は信じられるのだろうかーー。
そんな疑問を持ったことはありませんか。
医師による薬の処方やメディアでの発信を監視するため、医師と製薬会社との利害関係を「透明化」するデータベースを作成しています。データベースを公共財として作り続けるために、皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。
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6月1日以降、製薬マネーデータベース作成のためのご寄付は、医療ガバナンス研究所宛てにお願いいたします。
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米国では、製薬会社から医師への2,000円ほどの飲食の提供で、その医師の処方が変わるという研究結果もあります。探査報道を専門としたニューズルーム「Tansa」と医師や看護師のチームである「医療ガバナンス研究所」は、共同プロジェクトとして、製薬会社が支払ったお金の額や支払い先を検索できるデータベースを作成しています。これまでに2016年度・2017年度・2018年度と3年分のデータを公開しました。
▼データベースはこちら
■ 製薬会社にとっての客は医師
製薬会社の売り上げの約9割は、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」です。製薬会社が利益を増やすには、医師に処方箋を書いてもらう必要があります。薬を「消費」するのは患者でも、製薬会社にとっての「顧客」は医師という関係性があります。
日本では特定の医師が受け取った金銭を製薬会社間で比べられるデータベースが、これまでありませんでした。10社から合計で1000万円受け取るのと、1社から1000万円受け取るのとでは利害関係の強さがまるで違うのに、比較ができないのです。
日本学術会議は2014年3月、製薬会社でつくる日本製薬工業協会(製薬協)に対して、データベースを作成するよう提言しました。医師が薬を処方する権限を持ち、人の命と健康を左右する公人である以上、当然の提言だと思います。
しかし製薬協はデータベースを作成していません。厚生労働省など公的機関もデータベースを持っていません。
私たちが作っているのは「日本で唯一の」データベースです。製薬各社のホームページには、データを取り込みにくくする障壁があり、作業は困難を極めました。初年度は作成に3000時間超を要しました。
■ 赤字で継続に危機が迫っています
これまで3年分のデータベースを作成しましたが、毎年十分な資金が集まらず、赤字の状態が続いています。かかる費用は①データを集め、チェックするための人件費②手で打ち込む必要があるデータ集めを業者に依頼する費用③サイト制作費④サイトの維持、管理費⑤シンポジウムやイベントの開催費などです。
製薬会社の公開方法が少しずつ変わり、作業の難易度は下がりつつあります。一方で、データを公開する会社の数が増え、作業や金額の負担はあまり減っていません。
現在は主に4人の実務作業者と2人の管理者の計6人を中心に作成しています。非営利での活動であるため、それぞれが別の仕事を抱えながら、日々時間を削り出して作業をしています。
2018年度は合計で約223万円の費用が発生しました。昨年クラウドファンディングですでに集めた100万を差し引いた不足分として、150万円の目標を設定しています。ですが次年度以降のデータベース作成費用はまた集める必要があります。syncableを通じで、できるだけ多くのご支援をいただけますと幸いです。
■ 患者さんのために
「かかりつけ医が、処方している薬の製薬会社からどれくらい報酬を得ているか患者側が調べられたらいいな」と感じたのが、データベースを作ろうと思った動機です。
病気をすると気が弱くなったり不安になったります。しかも医師と患者とでは、持っている情報量に圧倒的な差があります。家族が病院にかかって大量の薬をもらって帰ったとき、本当に必要なのか?と不思議に思っても、専門的な知識もなければ医師の言うことを素直に聞くしかありません。
もし多額をもらっていたら、本当にその薬が自分にとってベストなのか医師に聞いてみるといいと思います。報酬を得ること自体は問題ではないので糾弾する必要はないですが、患者の側が情報を持つことが大切です。これまでにない医師とのコミュニケーションを取れるようになります。もちろん、面と向かっては言えないという人も多いでしょう。その場合は、他の病院に行ってみて自分の薬について相談するのもいいと思います。
■ これまでの成果
2019年、文部科学省は、この製薬マネーデータベースを調査に使用しました。その結果、2016年度に2,000万円以上を得た大学教授は7人いたことを発表し、国会で大学に対して医学部医師の兼業規定や倫理規定の見直しを求める考えを表明したのです。
同年、日本医学会は私たちの発表した医学論文を取り上げ、それぞれの学会で利益相反を適切に管理・開示することなどを、日本医学会連合加盟学会に要請しました。
また私たちはジャーナリストや医師として、データベースを使い取材、研究した結果を記事や論文で公開してきました。ぜひ以下のリンクから併せてお読みください。
▼Tansaのシリーズ「製薬会社と医師」記事一覧
https://tansajp.org/investigativejournal_category/docyens/
▼医療ガバナンス研究所の論文一覧
※ご寄付は銀行振り込みでも可能です。下記口座にお振り込みいただいたあと、contact@tansajp.org宛にメールをお願いいたします。メールには「製薬マネーデータベースへの寄付」ということを必ずご明記ください。
三井住友銀行 浜松町支店(679)普通預金 7775859 トクヒ)タンサ
ゆうちょ銀行 一三八支店(138)普通預金 1910105 トクヒ)タンサ