実際の保護の様子①
2020/12/5 15:35
『一般社団法人こちねこ』として最初に保護した猫たち。それは地域猫の親子でした。
ある日、こちねこの施設の敷地(こちねこの施設は本円寺というお寺の中にあります)に、しっぽだけが完全な茶トラ柄の珍しい、地域猫であるサビ猫ミーちゃんと、その周りをうろちょろする小さな4匹の子猫が遊びに来るようになりました。
ミーちゃんはそれほど人間に慣れているわけではありませんでした。しかも、子猫がいる状態なので、近づこうとするとすぐに子猫を連れて逃げてしまいます。これでは捕獲も出来ないし、出来ても慣れさせるのにはかなり時間がかかりそう。そう思って保護を前提に、その日から少しずつ餌付けをするようにしました。
早速いつも遊んでいる場所にケージを設置し、ご飯をあげることにしました。
何故餌付けが保護の為になるかといいますと、
1、猫たちを人間に慣れさせる。
2、子猫の離乳を早める。
3、時間を決めて餌付けする事により、捕獲器等の使用を効果的にする。
の3点が大きなものと思っています。
毎日同じ場所で餌付けをし、そして様子をうかがっていました。
1週間以上同じことの繰り返し、そろそろケージの中にいる時間も増えたし、大丈夫かなと判断し、捕獲を試みました。
ケージの扉に細い紐を付け、遠くからでも扉を閉められるようにしたのですが、野生の勘か、それとも仕掛けを細工しているところを見られたのか、いつものようにケージの中でご飯を置いておいても、いつの間にか食べて、ケージの上でくつろいでいるという状態になってしまいました。
あまり外での生活を長くさせても日に日に野生が強くなってしまう為、捕獲器を使用することにしました。捕獲器は餌付けしてある猫には非常に強力な武器です。
ただ、捕獲後に恐怖心を与えてしまいそうで使うのをためらっていました。実はそんな事無いんですけどね。捕獲後に速やかにケージに入れ、暖かくしてあげたり視線を妨げたり、工夫が必要ですけどね。
捕まえやすいように、二番めによく遊びに来ていた玄関の所に匂いの強い餌を付けた捕獲器を設置し、タオルを掛けてしばらく待ちました。
ガチャン!
1時間もしないうちに、捕獲器のフタが閉じる音がしました。
ウキウキしながらタオルを取ってみると、そこには白黒の巨体がありました。強面の顔、ガッチリとした体、まさしく地域猫のヅラ男(ヅラオ)君でした。
今回はお前は関係ないよと言いながら捕獲器から出し、そして再度設置。
ガチャン!
再設置から1時間もしないうちに、捕獲器の閉まる音。またヅラ男君じゃないかと疑いながら見てみると母猫のミーちゃんが中に入っていました。ミーちゃんは暴れることもなく大人しくしておりました。
ミーちゃんを玄関内のケージに入れ、子猫を呼んでもらうことにしました。
ミーちゃんはケージの中で鳴いています。子猫を呼んでいるのかそれとも危ないからこっちに来るなとか、どちらかはわかりませんが子猫は必ず寄ってきます。
警戒しているのか、最初の子猫を捕獲するのに少し時間を要しました。しかしお腹のすく時間くらいになると、次々と捕獲器の中に入ってくれました。
一匹捕まえケージに入れる。そして再設置。また捕獲できたらケージの中に入れる。そして再設置。
入れ食いとはこういう状態なのだなと不謹慎ながら思いました。
その日のうちに4匹の子猫たち全員捕獲することが出来、初任務は終了です。
母猫のミーちゃんはその後ワクチンやノミダニ寄生虫除去薬を投与、避妊手術を施しリリースを致しました。
今でも地域猫として元気に暮らしています。
最後までお読み下さいまして、ありがとうございました!
一般社団法人こちねこ代表 草切榮隆 拝
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