ことばのおくりもの(前半)
2020/9/29 20:53
4歳の時、息子はまだ意味のある言葉を話せなかった。
「クリスマスにサンタさんから何をもらいたい?」
すると……、
「ことば……ことばのおくりもの」
とはっきり言った。耳を疑った。
質問を理解し、自分が本当に欲しいと願っているものを言ったのだ。自分には「言葉」がないことに気づいていたのだ。
うっかり涙が出そうになった。
「もらえるといいねー。きっともらえるよ」と答えた。
実際は息子はたくさんの言葉を持っていたと思う。ただ口に出して言うことができなかったのだ。
読書の量は子ども図書館がが開けそうなほどだったし、好きな本は何度も読んで(ながめているだけだと思っていたが)暗記していた。それに気づいたのは幼稚園に入ってからだった。
某大学のT先生が息子に絵カードを使った時だった。まず先生が1枚の絵カードを出して、その絵の様子を説明した。
そして息子に「これは何の絵かな?」と言うと、
息子「男の子がポテトチップスの袋を開けています」……。んっ?
……何が起きているのか分からなかった。
最終的には提示した絵カードに描いてある様子をほとんど言葉で説明できたのだ。
本当に驚いた。息子は言葉を持っていたのだ!
(後半に続く)
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