啓発を大事にしている理由
2020/9/3 19:03
私が佐伯代表と知り合ったのは子どもの幼稚園でした。学年が違うにも関わらず共通の友人を介して仲良くなったことがきっかけで一緒に活動をすることになりました。
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder 以下ASDと表記)の子どもたちを取り巻く環境のこと、なかなか理解してもらえない生きづらさを知り、なんとか力になれないだろうかと強く思ったからです。
NPO法人あっとオーティズムではこれまでにいろんなイベントを開催してきましたが、ひとつ忘れられない出来事があります。
阪神間で有名なパン屋さん(ブーランジェリーというらしい)の若手シェフたちに協力してもらい、ASDのある子どもたちのための『親子パン教室』を開催した時のこと。
後から聞いたのですが、生まれてから1度もパンを口にしたことがない子が参加してくれていたのです。アレルギーは無く、パンの存在は知っているのになぜ口にしないのか全く分からなかったそうです。
教室でシェフたちが小麦粉に水を加えてこねるところから実演して見せてくれ、その後子どもたちも一緒にこねました。発酵、成形、ベンチタイムを経てオーブンで焼きました。待っている間はパンにまつわるクイズなどをして楽しく過ごしました。
パンが焼き上がり、みんなの前へ置くと、なんと!手を伸ばしてパンを取り普通に食べたそうです。おそらくパンがどんな材料で出来ているのか、どうやって作られているかが分からないために食べられなかったようなのです。
この話を聞いて、奇跡的な光景を見逃した!と残念に思ったことを覚えています。 これからもASDのある子どもたちが他人の目を気にせず、気軽に参加できるイベントを企画したいと思っています。また、ASDのある子と、そうでない子とがごちゃ混ぜになって楽しめるイベントも企画してみたいと思っています。実現させるためにはまずASDのことを知ってもらう必要があります。(私たちの団体名にあるオーティズムは自閉スペクトラム症を意味します)
毎年、国連が定めた世界自閉症啓発デーである4月2日に、シンボリックな場所や建物を青く照らす『LIGHT IT UP BLUE』というキャンペーンがアメリカ発信で行われています。日本では2011年神戸の3ヶ所からスタートし、今では全国約240ヵ所に広がっています。 もし、どこかで青くライトアップされているのを見かけて、『自閉症の啓発かな?』『ASDって何?』と知るきっかけになってくれたらと願っています。障がいが有る無しにかかわらず、みんなが安心して暮らせる社会を目指して、地道に活動を続けていきたいと思います。
NPO法人あっとオーティズム 雲井律子
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