まるゼミの歴史2020(第1章)
2020/8/3 19:21
代表の加藤拓馬です。
今日から何回かに分けてまるゼミの歴史を振り返ってみようと思います。
歴史と言ってもたいした年数はないです。4〜5年ほどでしょうか。
この前…コロナが流行する前なので、いつだっただろう…お酒の席で、地元気仙沼の若手経営者の方にこう言われました。
「たくまの何がすごいって、その歳でその“退き際”だよね」
何から退いたっけ…
「いつ間にか観光事業から教育にテーマ変わってたよね。ツェルマットまで行って」
いやぁ、なんかすみません。
「ちがうちがう、褒めてるの」
やりたいこと、やるべきことを見据えて、周りに流されずに、自分の道を行くのはすごいことだよ、と褒めてもらいました。
そうそう、教育事業まるゼミのスタートは実は観光プログラムでした。
かずまる親分とツアーのプログラムづくりを始めたのは2014年から。
「30年後、このまちで魚とるヤツぁいねくなるぞ」
飲みにいくたびにそう警鐘を鳴らす親分の眼は本気でした。
どこの船にも後継者はいねぇ、そもそも漁師の親は子どもに漁師を勧めねぇ、と。
そんなときでした。
忘れもしません。
2014年、東京の大企業から出向してきた市長直属部隊、通称エキスパート!の森ナルさんと、まだあんときは仮設店舗だったな、とんかつを食べに行ったときです。
「唐桑で漁師体験やらへんか」
「唐桑半島は気仙沼の観光のダークホースになる」
観光。当時はヨソから大学生を受け入れてはしょっちゅうフィールドワークを実施していたので、あまり抵抗はありませんでした。
何より、ヨソものが来ることで漁師たちが自分たちのくらしの価値を再発見してもらえれば。副収入につながれば。
それは事業継承の意欲へとつながるはずだ。
すぐ、かずまるの親分ん家を訪れました。
「漁師のくらしをそのまんま半日体験できるプログラム、つくりましょう」
こうした始まった漁師体験を発展的に実施するため、2015年法人格をとりました。
私は市役所で復興支援員もやってたので、当時はいくつも事業をやってたんですが。
それがまるオフィスだったのです。
はー、そうだったのね。そうだったんです。
戦略とかは特に無し。財源も無し。一本の助成金頼み。今考えると無謀の極みです。
なんだかんだひーひー言いながら黒字目指していろんなことに挑戦してました。
気仙沼の観光をどう魅力的にしていけるか。いろんな漁師と協働しながら、ツアーの受け入れを進めていました。
そしたら2016年、また森ナルさんに声をかけられます。しかも2つ。
1つ。経営未来塾。
復興を担う経営者人材をゴリゴリ鍛え直すプログラムに起業したばかりの私が入塾することになりました。
もう1つ。その前に3月、スイスに行かないか?と。
市の観光戦略として「DMO」と呼ばれる組織体制づくりを目指していた市は、観光人材10名を選抜して、世界的な観光先進地ツェルマットに視察に行かせるという計画を立てていました。そこに唐桑半島から選ばれたのです。
平成の遣欧使節団です。
3食チーズ、チーズチーズという極限状態で、私たちは夜な夜な議論を繰り返しました。
このスキーリゾート地は確かに何かが違う。
観光地の「経営」と「マーケティング」が成されている。どう気仙沼に持ち帰れるか。
帰国が近づき、他の9名が帰国後の役割も見い出しつつあるころ、私はあることが気になっていました。
それは「地域教育」です。
ツェルマットの地元の若者のUターン率は驚異的で、いなかの小さなまちでも人口が減っていません。
地元人材が教育に関わるのは当たり前で、例えば学校に呼ばれて授業をしたとしても「名誉ある負担」として対価など求めません。
この「地域教育」がしっかり成されているから、みな高校、大学進学で他地域に出て行ったとしてもそれはあくまで修行のためで、将来は帰ってくるのです。
持続可能な観光地の根っこにあるのは、地元の「カネ」だけじゃなく「ひと」が還流する仕組みだったんです。
そこにわくわくしちゃった私は、帰国後、観光事業から抜けることになります。
つづく
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