パラグアイからの報告~現地サポーター川端マリより~
2020/6/22 12:25
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パラグアイでミタイ・ミタクニャイ子ども基金の現地サポーターとして活動してくださっている川端マリさんからのパラグアイ農村部の様子についての活動報告を掲載します。
はじめに、自己紹介をしたいと思います。
私は川端マリといいます。ミタイ基金の現地サポーターとして、特にパラグアイのラ・コルメナ市周辺における活動を調整しています。
直近で取り組んでいる活動は「みんなの鍋(Olla popular)」(=炊き出し)です。
現在世界中で話題にされているように、新型コロナウイルスはパラグアイでも大きな問題となっています。残念ながらこのウイルスはあらゆる地域において様々な物資の不足やそれに伴う混乱を招きました。
パラグアイ政府はウイルスの流行を防ぐために迅速な対応をとりましたが、その結果、人々の仕事に大きな影響を与えました。
この対応は3月10日に実施されましたが、他人との接触や人々が密集するのを避けるための政策が採られていたことにより、多くの人が失業することとなりました。
失業した人たちの多くはチパなどの食品の販売やマテ茶やテレレに用いる薬草の販売、畑仕事、家政婦やハウスクリーニングなど、いわゆる日雇い労働者であり、その稼ぎで生活を送っていたため、各家庭において収入が不足する事態が起きました。
このような状況において、パラグアイ人は「みんなの鍋(Olla popular)」を実施します。
さて、「みんなの鍋」とは何でしょうか?
Olla=鍋
Popular=人気な
直訳すると「人気な鍋」とも言えますが、つまり、炊き出しのことです。
個人もしくは、政府、自治体、協会などの組織が希望者から食材(米、肉、麺、野菜など)を集め、一つの大きな鍋で調理を行い、職を失った人々に配ります。
食べ物を受けとる人はそれぞれ家族の人数に合わせた分の容器を持っていき、食事を受け取ります。
現在私たちは三ヵ月間、外出禁止令の中過ごしており、十分に働くことが出来ないでいる状況です。そして今は、段階的に経済活動を再開しつつあります。
現在の状況は以下の通りです。
ラ・コルメナ市のあるパラグアリ県においては、新型コロナウイルスの陽性者は現在までに89名ほどが確認されています。
最も影響を受けている都市はサン・ロケ・ゴンサレスで、60名の陽性者が確認されています。この地区は、感染の中心地でした。このサン・ロケ・ゴンサレス市はラ・コルメナ市から80km程の場所に位置し、パラグアイ軍は家庭を訪問し、様々な対応を実施しました。一方、同県におけるカラペグア市では5名、パラグアリ市では3名、ジャグアロンでは2名、ウブクイ市においては1名の陽性者が確認されました。これが、現在の状況となります。
スマート外出規制(一般的な隔離予防の段階的な引き下げ計画)
公衆衛生の緊急事態の枠組みにおいて、社会環境・経済・労働面における予防対策が講じられてきました。これは、新型コロナウイルスが社会に与える影響を軽減することを目的としています。
9番目の県であるパラグアリ県に住む私たちは一時、第三フェーズまで規制が緩和されましたが、現状では緩和をするべきではないと判断され、再度第二フェーズに後戻りすることとなりました。
このような状況によって、多くの人々は仕事を再開することが出来ずに苦労しています。これはとても悲しいことであり、両親が仕事に行けないため子どもたちは食べ物を十分に得ることが出来ないでいるなど、家庭の状況は悲惨です。
また、このパンデミックは教育にも影響を与えています。中心街から離れた農村部などに住んでいる子どもたちは必要な教材のコピーに支払うお金を持っておらず、またお金を稼ぐ手段もない状況です。
授業はオンラインで実施されていますが、彼らにはインターネットの通信も必要であるばかりか、印刷するために教材をダウンロードするような携帯電話も必要になるなど、あらゆるものが足りておらず、大きなニーズが生じています。
他にも、例えば三人の子どもがいる家庭では、携帯電話が一つしか無いために全員が授業を十分に受けられなくなっているケースもあります。また他にも、見るに堪えないような現実が存在しています。
このような状況の中で「みんなの鍋」(炊き出し)は実施されました。各地区、もしくはコミュニティにおいて、特に子どもたちの空腹を満たすことを目的として実施されました。
より多くの善意を持った人々が、このような素晴らしい人道的な手助けを引き継いでいくことを願っています。食卓に一つでも多くの料理が並びますように。
(翻訳:大橋怜史)
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