世界遺産登録記念日に思うこと1
2020/7/2 22:32
館長の仲野です。
今日7月2日は石見銀山遺跡が世界遺産に登録された記念日です。
石見銀山遺跡は2007年、ニュージーランド・クライストチャーチで開催された第31回の世界遺産委員会にて登録が決まりました。5月にはイコモス(国際記念物遺跡会議)の評価では「登録延期」との勧告を受けましたが、石見銀山での鉱山開発が自然と共生した点が認められて晴れて世界遺産となりました。
石見銀山の審議は6月27日から28日にかけて行われました。私は世界遺産委員会の審議の最中、7月2日に放送予定のTBS テレビ『世界遺産』の監修を依頼されていたためナレーション原稿の最終チェックチしていました。ディレクターからは登録されなければ放送は中止とのお話を伺っていたため気が気ではありませんでした。しかし、予想を覆して登録の決議となり 番組も無事放送となりました。オンエアーでエンドロールに名前があったときの感動は今でも記憶に残っています。早いものであれから13年が経ちました。
今年はコロナ禍の影響で、石見銀山の来訪者も少なく、寂しい記念日となりました。来年には多くのみなさんにお越しいただけることを期待したいですね。
ところで、このような時だからこそ石見銀山について考える意義があるように思います。なぜなら、コロナ禍はある意味グローバル化の影響と無関係ではないからです。中国で発生した新型コロナウイルスは地球規模の人の移動によりたちまち世界中に蔓延しました。新型コロナのパンデミックは、まさにグローバル化がもたらした結果といえるでしょう。
このグローバル化の端緒は16世紀であり、その推進力となったのが石見銀をはじめとする銀でした。つまり、私たち人類は銀という鍵を使ってパンドラの箱を開けてしまったのです。もう後戻りはできません。これを克服できるのは国や地域、人種・民族を超えて相互に理解し、協力し合うことだろうと思います。
世界遺産石見銀山の地から発信できるメッセージとは、このようなことだと考えています。
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