Issues we are working on
Tansaが取り組む「探査報道」とは、暴露しなければ永遠に伏せられる事実を、独自取材で掘り起こし報じることです。犠牲者や被害者の置かれている状況を変えるため、原因となっている権力の不正を終わらせることを目的としています。取り上げるテーマは、犠牲者を救うために何を変えたらいいのかという視点で選んでおり、社会の流行りや読者の興味に合わせてテーマを選ぶことはしていません。また、ジャーナリストとしての倫理を最優先に、権力に遠慮せず、あらゆる手段を使って不正の事実と証拠を入手し報じます。
沿革
Tansaの前身であるワセダクロニクルは、2017年2月1日に早稲田大学ジャーナリズム研究所で誕生しました。「大学発メディア」として、ジャーナリズムの実践とジャーナリスト教育の両立を目指して発足したのが始まりです。創刊シリーズ「買われた記事」では、電通と共同通信による20年前から続くステマ記事の真相を暴きました。製薬企業から金を受け取った電通グループが、さらに共同通信グループに委託し、新薬の宣伝を「広告」ではなく「記事」として配信していたというスクープです。株主総会で問いただされた電通は社内規定の見直しを表明し、共同通信は対価を伴う一般記事の廃止を約束。東京都は製薬会社に改善命令を下しました。この報道により、日本外国特派員協会から「報道の自由推進賞」を授与されました。
2018年2月1日、NPO法人ワセダクロニクルとして早稲田大学から独立しました。シリーズ「強制不妊」でスクープを発信すると、他のメディアも追随。国会議員が超党派で被害者救済の法案作りに着手し、国会で議題に。安倍晋三元首相が被害者に謝罪し、救済法の成立が実現しました。この報道により、反貧困ネットワークの「貧困ジャーナリズム大賞」を受賞しました。
その後も探査報道シリーズや連載コラムを数多くリリース。2020年には、ジャーナリズム支援市民基金から「ジャーナリズムXアワード大賞」が授与されました。
また、ジャーナリスト教育に力を入れるという創刊当初の目標を引継ぎ、2020年11月に探査報道ジャーナリスト養成学校「Tansa School」を開校。多彩な講師を招き、オンライン授業と対面授業を併用した長期講座を実施しています。「市民をジャーナリストに」、「ジャーナリストを一流のジャーナリストに」をモットーに、全国の記者をはじめ、議員、投資家、NGO職員、学生などあらゆる受講生が集っています。
2021年3月、名称を「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」に変更しました。
Why we are tackling this issue
Tansaの目的は、犠牲や被害の原因となる権力の不正を終わらせ、新たな被害の発生を防ぐことです。
記者や運営メンバーのバックグラウンドはさまざまですが、ジャーナリズムの力で犠牲者を救いたいという強い思いがあります。また、他のメディアが報じない事実を明るみ出せる技術と覚悟を持っています。
さらにTansaでは、ジャーナリズムのグローバルスタンダードである世界規模での連携を重視します。探査報道が挑む国家権力や企業は、すでに国境を越えて広く活動しているからです。
2018年、Tansaは80カ国203の独立・非営利ニュース組織が加盟する「世界探査報道ジャーナリズムネットワーク(Global Investigative Journalism Network)」の公式メンバーに、日本で初めて加盟しました。報道機関としては国内で唯一の加盟組織です。
「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」というニューズルーム名で活動しているのも、日本・東京拠点の国際ニューズルームであることを意味しています。
★Tansa の活動とメンバーの思いがわかる動画:https://youtu.be/j-u57YwM5-I (YouTube)
How donations are used
Tansaでは、あらゆる権力から独立するために企業からの広告料を受け付けていません。スポンサーに影響されない立場を守ります。また、読者から購読料を一切とっていません。経済状況に関わらず、誰でも探査報道にアクセスできる社会にしたいからです。
Tansaの財源は主に3つあります。①個人からの寄付、②財団などからの助成金、③Tansa Schoolの受講料です。しかし、それぞれまだ脆弱です。みなさまから頂いた寄付は、以下のように活用します。
人件費・・・記者や事務スタッフの生活を支えるお給料になります。今は人件費が不足しており、記者や事務スタッフはTansa以外の仕事を兼業せざるを得ません。充分な人件費を払い、メンバー全員がTansaの仕事に専念できることを目指しています。
取材費・・・探査報道に必要な取材にかかる経費です。旅費交通費、リサーチ費、書籍・資料代などに使います。
事業費・・・記事を掲載するウェブサイトの維持費、データベース製作費、シンポジウム開催費などに使います。
その他・・・事務所の維持費や設備費、運営費などに使います。