Issues we are working on
長年にわたるフェミニズム運動によって、日本における女性の地位は徐々に向上してきました。近年は、ネット社会におけるSNSの影響下において、#MeToo運動に端を発する個人の小さな声が社会に大きなインパクトを与える現象も見られます。しかし残念ながら、その動きをかき消そうとするバックラッシュの影響もあり、真の意味での男女平等の社会は道半ばです。国際機関「世界経済フォーラム」が2023年に公表したジェンダーギャップ指数では、対象146か国のうち、日本は125位という結果でした。
わが山形県においても、県議会議員や企業の役員・校長などのトップに立つ女性の存在が全国平均と比べても低い状況にあり、まだまだ女性の意見が多くの分野において反映されにくい現状があります。三世代同居率が高いことによって子育てなどを親世代に手伝ってもらいやすい半面、旧来の「家制度」や「家父長制」が温存されやすい環境にもなっています。家庭や職場の中で、ハラスメントを受けても自分が悪いと思い込まされ、声を上げにくい状況があるということも、山形の女性たちが地域の中で活躍できにくい一因です。また、性的マイノリティとされる人々も地域の女性たちと同様に旧態依然としたジェンダー秩序の中で生きにくさを抱えており、連帯していく必要があると考えます。
そこで、女性の問題を切り口として多様性が受け入れられる社会を構築していくため、地域の中のさまざまな人々が自由に自分らしく語り学びあう〈場〉を創出する必要があると考えます。多様化する価値観を認め合い、多様な生き方をエンパワメントし、お互いにつながって行動する組織としてSisterhood(シスターフッド)は活動しています。
Why we are tackling this issue
代表の小笠原は、20年にわたり公立学校で学校司書として勤務していました。2021年に男子校でのハラスメント体験をきっかけに退職することになったのですが、その被害を職場で受け止めてくれる人がいなかったことにとても深い失望を感じたのです。同じような思いをしている人がこの地域にも多くいるはずなのに、さまざまなハラスメント被害体験や女性特有の悩みを語る<場>が山形にはほとんどありませんでした。職場や家庭の中で理不尽な経験をした際、それを言語化して整理し、エンパワメントにつなげていく回路が必要ではないのか。行き場のない思いを抱えている中で、自分がその役割を担う他ないと決断し、2022年に女性応援NPO 「Sisterhood」を立ち上げました。
また、当団体では2023年度より、困窮する女子学生の食料支援と居場所づくりを行ってきました。困難を抱える学生と接する中で、その『困難』には経済的な困窮だけにとどまらず、様々な要因が潜んでいることに気付いたのです。コロナ禍で助け合える友人関係の構築が難しかったこと、困窮の原因が保護者の病気でありずっとヤングケアラーとしての役割を担ってきたこと、地方特有の問題として『ブラザーペナルティ(男兄弟がいる女性は、姉妹をもつ女性よりも学歴や収入に格差が生まれる傾向がある、という学説)』が存在しているということ。何よりの問題は、それらが複合的に存在しているのに、自身もふくめ、近くにいる誰もがそのことに気付いていないことが問題です。そこで、2024年度からは「若年女性支援」に着手し、山形市内に常設の「居場所」を開設します。
ジェンダー不平等が地域社会のなかで温存されていることにより、女性や若い人々が望まない役割を担わされ、自分の時間・自分の人生を生きられないのは問題です。私たちは、地域社会のなかの差別構造を洗い出し、当事者の声を聴き、それを世の中に届けることですべての人々が自由に安全に生きられる社会を作っていきたいのです。
How donations are used
2024年5月より、Sisterhoodは「困難を抱える若年女性のための居場所」づくり事業を行います。
これまで、困窮する女子大学生の「夜ごはん会」や生理用品の配布、食料支援なども続けてきましたが、それだけでは何ともならない困難(ヤングケアラー、ネグレクト、発達障害など)が背景に見え隠れしています。
18歳〜という年齢がネックになって、「子ども、児童」の枠からはみ出た彼女たちは、さまざまな支援から取りこぼされています。
実家からの仕送りもなく、600万円もの奨学金という借金を抱え、それでも「学びたい」「家族のために少しでも良い就職先に」という思いで大学に通っている学生たちです。
綿密な生活費の計算をしていても、コロナや思いがけない病気で、あっという間に生活が経ちいかなくなってしまった人もいます。それでも「大学生」というだけで、生活保護も受けられず実家にも頼れず、大学生協から支給されたお米だけで我慢している学生もいました。
生活が厳しいと車も持てず、割りの良くないバイトにしかつけません。学食やランチに出かけられるような人たちからも距離を取り、孤独を抱えるケースが多いです。家族のことや、自分のことで問題を抱えていても「助けて」を誰かに伝えることも困難になります。
また、学生以外にも、職場や家庭でハラスメントを受けたり「居場所がない」と感じている女性もたくさんいます。親や兄弟のケアラーとして、家に閉じ込められる生活を余儀なくされている人、その困難を伝えるすべがない人…
そこで山形市内に常設の「居場所」を開設し、家庭や学校や職場に居場所を見つけられない若年女性たちが安心して過ごせるセーファースペースを作りたいと考えましたt。
そのための助成金は獲得でき、場所も良いところが見つかりました。
あとは継続的するための運用費用(家賃光熱費、食料品費等)が安定的に得られるようにする必要があります。
そこで、みなさま方のお力をお借りし、居場所を継続していく費用を確保したいと考えております。
ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。