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私達は瀬戸内圏域で活動するアーティストネットワークとして、地域社会とアーティストの間に繋がりを創り出し、持続的な文化創造に寄与することを目指しています。

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展覧会の企画

展覧会の企画 Main Visual

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香川県高松市にあります瀬戸内海歴史民俗資料館・第1展示室2階を会場に、文化遺産と現代が交差する、 新たな芸術空間を創造する企画展『国讃めと屍-藏本秀彦・水谷一 美術展-』の開催を予定しております。

これまで民間芸術団体との協業は限定的であった当資料館ですが、民間の活力を公に活かすという観点から今回、試験的に私ども、瀬戸内アートコレクティブとのコラボレーションが実現、本企画スタートの運びとなりました。


【展示趣旨】

「海と鎮魂」をテーマにした「民俗と芸術」のコラボレーション企画です。常設展示された漁撈用具などの民俗資料とそれに触発された作家が創作した作品を同一空間でご覧いただき、資料館の新たな魅力を創造・発信します。あわせて、地域で活動するアーティストの支援にもなり、公と民が連携することにより資料館や地域の新たな魅力創出の機会にも資します。


【展示内容と作家】

- 沖つ波来よる荒磯を 敷きたへの枕とまきて 寝せる君かも -

展覧会名である「国讃めと屍」は、飛鳥時代の歌人、柿本人麻呂が瀬戸内海に浮かぶ島、現在は埋め立てられて陸続きとなっている沙弥島(香川県坂出市)を訪れた際、岸の岩場に倒れた亡骸を見て詠んだ歌の反歌「沖つ波来よる荒磯を 敷きたへの枕とまきて 寝せる君かも」から、2人の現代美術作家が「瀬戸内の海と鎮魂」などをテーマに着想したものです。

長歌では言葉を尽くして美しい讃岐を礼讃し、潮時の強風、沖の大波、岸に騒ぐ白波の描写がなされ、そして人麻呂は岩場に倒れ、荒波を枕にする亡骸を見て、その人の家や配偶者に思いを馳せています。鎮魂を意図し、人麻呂はこの歌を手向けの花としたのでしょう。

讃歌的表現は当時、「言霊信仰に支えられ、願わしいことの実現を目論む予祝的な表現といえると同時に、権力者の心に叶う表現」であった1)ようです。その一方この時、人麻呂が訪れた島では荒波があり、強く風が吹き、そして目に見える死がありました。そのイメージはどこかこのコロナ禍における私たちの世界に重なって来るようです。本展の標題はこの歌からイマジネーションを広げた出展作家二人により提案しました。

出品作家藏本秀彦(b1965)は、高松で教鞭を取り、次世代の教育に携わりながら精力的に創作・発表活動を継続して来たアーティスト。「TRUST」と題する、東日本大震災直後に描きあげた絵画により、現代における記憶や当事者性について言及します。

もう一人の出品作家水谷一(b1976)は、瀬戸内国際芸術祭や粟島芸術家村等、これまで国内外の様々な土地に赴き、多様な文化の表れを見つめ活動を行って来ました。そこで得た知見を踏まえ、新作インスタレーションに取り組みます。

いまだ終息の目途の立たない新型コロナウィルス流行に端を発し、厳しい世情の続く昨今、人麻呂がかつて死を見つめた情景を表題に込めた二人が描き出す「現代表現の今」に是非ご期待下さい。

   1) 参考:寺川眞知夫『狭岑嶋の石中死人を視て作る歌』万葉古代学研究所年報 第8号(2010年3月), 奈良県立万葉

文化館http://www.manyo.jp/ancient/report/pdf/report8_1_samine.pdf


【作家から展示に寄せて】

藏本 秀彦 (くらもと ひでひこ)

展示作品:絵画「TRUST11」、「TRUST12」(油彩)シリーズから約10点程度

『あれから10年が過ぎました。日本中が悲しみに沈んだ時、アートは即効性を持たず、その場で役に立たないことを突きつけられ、無力さを実感した瞬間でもありました。その時、やや決心にも近く記憶を風化させないというひとつの点においてのみ作品を作り続けようと思いました。 それと当事者性を獲得するということ。

震災や原発をモチーフとして制作するということ自体に我々は尻込みしたし、批判の対象にもなりました。しかし福島にしても世界のテロルにしても当事者性を少しでも獲得しようとする姿勢が必要であると感じています。つまり想像する、イメージすることが、声高らかにではないかもしれませんが表現の使命だとも思いました。当時から信頼できない情報をテレビやモニターの表面から受け取り、日々の生活から思考停止される私達への警鐘として実際にある風景ではなく心の中の絶望を描いた「TRUST」は存在しています。

 それとは別に希望や悲しみの上にも、見えない不安の上にも同じく木漏れ日は降り注ぐ。「それでも木漏れ日は」という絵画には、とてつもない遠い未来に向き合う誇りと精神の錨を投げる決意と強さを込めました。2つの切り口の絵を描くことが僕にとってのバランスでもあったわけです。

作家略歴

 筑波大学大学院芸術研究科修了。学生の頃より和歌山版画ビエンナーレ、西武版画大賞展、クラコフ国際版画トリエンナーレ、ブダペスト国際展など版画領域で独自な手法が注目される。その後「毎日現代展」に連続出品。「安井賞展」「VOCA」「ACRYLAWARD」「FACE」「ARTOLYMPIA」や「CROSSPOINT」(香川県立ミュージアム「高松市)美術館コレクション+木村忠太とこぼれる光の中で」(高松市美術館)などに出品。県内ではKinco.hostel+café、あーとらんどギャラリーなどで個展開催。その他、蝉丸(山海塾)、梅津和時(sax)、岩下徹(ダンス)、高橋芙美(渋さ知らズ)、usaginingen(artist)などコラボレーションも多い。

【​ウェブサイト】 https://kura-moto.wixsite.com/kuramotohidehiko



水谷 一(みずたに はじめ)

展示作品:インスタレーション「自問に自答する事は本当に可能なのか(仮)」(ミクストメディア)


『寂しさもロマンも不在から生まれます。博物館の展示品 ー 遺物のそれぞれはいずれもかつての誰かの気配であり、遺物それぞれを使ったり作ったりした方のほとんどはもうこの世にはいません。彼/彼女らの生きた時代を私達は生きていません。実在の伴わない気配を不在と呼ぶとすれば、博物館は不在で溢れています。

 瀬戸内海歴史民俗資料館、第1展示室2階、瀬戸内ギャラリーの床に海面の広がりを想像してみて下さい。静かで鏡のように凪いだ海です。階下には大きな船舶を始め、この地域に人が生きた手触りのような沢山の遺物が並んでいます。ギャラリーの床を水面とすれば、1階の展示空間は水面下、つまり水中遺跡に見えて来ます。高く位置する海面はまた、あの災害にも連想は及ぶかも知れません。或いは、階下を過去=古い地層と捉えるなら、2階のギャラリーに今=現代層を感じる事も出来るかも知れません。

 かつて瀬戸内海に浮かぶある島では、新盆に灯籠、そして菓子や果物といった供物を乗せた小舟を海に流し、故人を偲ぶという風習がありました。今でもそれは形を変えて残っています。しかし時代と共に、岸から遥か沖に消える小舟を見届ける、そうした時間は消えてなくなりました。実在はもうそこに存在していないのです。寂しさもロマンも不在から生まれます。博物館の展示品 ー 遺物のそれぞれはいずれもかつての誰かの気配であり、遺物それぞれを使ったり作ったりした方のほとんどはもうこの世にはいません。彼/彼女らの生きた時代を私達は生きていません。実在の伴わない気配を不在と呼ぶとすれば、博物館は不在で溢れています。

 瀬戸内海歴史民俗資料館、第1展示室2階、瀬戸内ギャラリーの床に海面の広がりを想像してみて下さい。静かで鏡のように凪いだ海です。階下には大きな船舶を始め、この地域に人が生きた手触りのような沢山の遺物が並んでいます。ギャラリーの床を水面とすれば、1階の展示空間は水面下、つまり水中遺跡に見えて来ます。高く位置する海面はまた、あの災害にも連想は及ぶかも知れません。或いは、階下を過去=古い地層と捉えるなら、2階のギャラリーに今=現代層を感じる事も出来るかも知れません。

 かつて瀬戸内海に浮かぶある島では、新盆に灯籠、そして菓子や果物といった供物を乗せた小舟を海に流し、故人を偲ぶという風習がありました。今でもそれは形を変えて残っています。しかし時代と共に、岸から遥か沖に消える小舟を見届ける、そうした時間は消えてなくなりました。実在はもうそこに存在していないのです。』

作家略歴

​ 定住化の影響、人や動物の認知過程、社会変化、死生観の変遷について思考し、国内外で滞在制作を行う等、様々な機会、状況との影響関係の中で表現の実態や実体を問う。2000年代始めに高速道路を思わせる鳥瞰的風景画でキリンアートアワード(奨励賞、2003年)等、コンペティションを中心に発表を重ね、INAXギャラリー(東京)での個展(2003年)を経た2004年、国際芸術センター青森において場を取り込むインスタレーション『襞(ひだ)』を発表。それ以降、多様な表現手法を用いながら2021年までに14のアーティスト・イン・レジデンス参加。2010年「VOCA新しい平面の作家たち」、2013年「瀬戸内国際芸術祭」、2020年「富士の山ビエンナーレ」、2021年「歓喜のうた(愛知県立芸術大学サテライトギャラリーSA・KURAでの個展)」他、展覧会に出展。2019年、文化庁新進芸術家海外研修制度によりベルリンに一年間滞在。また、2021年「イタリアの三日月」(AzumateiProject、神奈川)等、展覧会企画も行う。

【​ウェブサイト】 http://hajimemizutani.net/2019-2020


【アート展示会場について】

昭和48(1973)年に竣工した瀬戸内海歴史民俗資料館は、昭和50(1975)年に「日本建築学会賞(作品賞)」を受賞し、建築雑誌『新建築』『建築文化』にも紹介され、昭和63(1988)年には「第一回公共建築賞優秀賞」も受賞しました。また平成10(1998)年には「公共建築百選」にも選ばれるなど、香川県を代表する建築物です。設計は当時、香川県建築課課長であった山本忠司氏。

Necessary expenses of the business

頂いた寄付は、展示に必要な資材等の購入費および展示にご協力いただく作家への謝金に使わせていただければと考えております。

また、寄付を頂いた方々への御礼として展示風景を印刷した限定記念ポストカードをお送りさせていただきます。


【設営関連費】

  • アート作品制作原価: 10万円
  • 安全柵設置費: 20万円
  • 照明費: 5万円
  • アーティスト謝金: 10万円


【展示記録/広報費】

  • フライヤー・ポスター印刷費: 5万円
  • ハンドアウト印刷費: 2万円
  • 記録集・カタログ等印刷費: 20万円
  • 動画撮影費: 10万円
  • 各種デザイン費: 10万円


【人件費】

  • 交通費: 15万円
  • 作家宿泊費: 4万円
  • 会場設営・撤去費:10万円
  • 受付・会場整理費:10万円

https://www.setocole.com/
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