Issues we are working on
「不登校の児童や生徒は、色々な課題を複合的に抱えているが、当事者・保護者・先生方との認識のズレなどから、適した学習の機会が得られないこと」
本法人は、子ども達がそれぞれの個性や特性に応じた社会参加をするために、子どもと保護者に必要な学びに伴走していくことで、こうした社会問題にとりくむために設立しました。
*****
学校は勉強だけではなく、日中の大半を過ごす中で多くのことを複合的に学べる場です。
ですが、私たちが出会う学校に馴染めない子どもたちは、一斉教育という形態が合わずに「勉強は辛い」「勉強は苦手」という思いをもってしまっています。
日本財団が2018年に実施した「不登校傾向にある子どもの実態調査報告書」では、半数以上が「学業不振」を不登校の理由に上げています。
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/01/new_inf_201811212_01.pdf
しかし、人は学校以外の至る所でも、実体験を通して多くのことを学んでいます。
そして、子どもは、自分が好きなことや、興味のある遊びには、積極的に、自主的に取り組みます。好きな遊びであれば、自分の知識やスキルを磨くことに惜しみなく時間と労力を費やすことができます。もし、そのような体験のない子がいたら、「楽しい!」や「うれしい!」が刺激される遊びにまだ出会っていないだけかもしれません。
さらに、知的欲求を満たすためには、文字や計算能力が必要になったり、情報を処理するための言語能力など、学校で勉強から習得するスキルが必要だと、子ども自身が気づいていきます。
そこで私たちは、学校に馴染めない子どもたちが、安心できる場所で、異年齢のつながりの中から【学びのタネ】をみつけることを大事にすることにしました。
【いろいろダネ】での活動や遊びを通じて、学校に馴染めない子どもたちへの居場所とさまざまな学びの機会の提供し、お子さんが主体的に感じた好奇心からの学びを育み、社会参加に必要な力の伸ばし方を、おひとりおひとりのお子様とともに模索していきます。
また、子どもの健やかな成長は、安心できる家庭があってこそです。そこで、子どもたちの活動と並行し、不登校に悩む保護者の心理的な居場所となるよう、保護者同士が交流できる場づくりや、個別相談事業も行っています。
活動についてご興味のある方は、下記のLINE公式にご登録ください。こちらから個別の連絡も取れるようになります。
Why we are tackling this issue
1)発達に凸凹のある子の親の会で不登校の子どもが増加していったこと
代表の土橋は、ADHD等の発達障害を持つ方やご家族を支援する団体であるNPO法人えじそんくらぶにて理事をしていたこともあり、2015年から地元の入間市にて、発達に凸凹のある子どもの親の会「えじそんくらぶ埼玉にじいろのタネ」という任意団体を運営しています。
この団体では、保護者の交流を主な活動にしているため、月に一度の茶話会を開催していますが、発足当時から年々、不登校になっている子どもたちが増加していることが気になっていました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/nijiironotane/
また、発足して間もないころ、友人の子どもたちが高校を退学したり、転校するということが続出しました。小さいころからよく知っているこの子達は、優秀なお子さんたちで、目立った発達の凸凹などはなく、傍から見て問題がなさそうな子たちでしたが、学校生活に何らかの課題を抱えていたようです。
そんな中、我が子たちも高校と中学で、それぞれの理由により不登校を経験しました。
2)第三子が中学校で不登校をし始めたこと
こうした経験から数年後、コロナ禍が始まってすぐに中学に入学した第三子が、中学1年の1月から完全不登校になったことで、不登校という社会問題に向き合わざるを得なくなりました。
上の子どもたちとの経験から、行き渋りのたびに勇気付けて登校させても中途半端に長期化するだけだと思ったため、子どもの気力が回復することを最優先した長期戦での対応をしました。すると、不登校になって半年過ぎたころに、子どもの方から、「学校に行きたくないけど勉強がしたい、家族以外の人と話がしたい。できれば同世代がいい」と言ってきました。
この言葉が、本活動のキッカケにりました。
3)不登校の主な理由は学習不振と自尊感情の低下だった
第三子が学校に行けなくなった主原因は、「勉強が全くわからなくなってしまったこと」でした。
分からない話を一日中、静かに座って聞くことが苦痛だったそうです。そのうえ、家に帰ってからも、基礎学習のやり直しをする時間がないほどに、翌日に宿題を提出する方が重要になっていたことが、問題を深刻にしてしまったと感じます。
また、体育の授業で、他の生徒と同じようにできないことから嫌がらせを受けたことも原因だったと、行かなくなってから1年たったころに聞きました。幼いころは動く楽しさを味わっていたわが子が、「体育があるから高校には行きたくない」と未だにいうほどに、身体を動かすことに抵抗を感じるようになってしまったのです。
このような学校生活を送ることで、自尊感情をどんどん低下させていき、クラスメイトとの関わりや部活動への参加を避けるようになっていったのでしょう。さらに、家庭でも笑顔が減り、ちょっとしたことで怒りやすくなり、ひょうきんさが魅力だった子の個性が薄れてることを感じていました。
4)特性をもつ子どもたちの学べる場や行く場所がない
我が子の学業不振は、認知機能を計る知能検査の結果から、本人の努力不足ではないことがわかりました。この結果から、学校の先生方にも学校に行かない選択をしていることを、好意的にご理解いただき、2学年の3学期には個別に学習サポートをしてもらいました。しかし、月に数回、一回に1時間程度の支援では時間的にも内容的にも不十分であり、自宅で個別の対応をする必要に迫られます。
自宅でも、一緒に調べたり、学んだりすることは楽しくするように努めていました。ホームスクール(子どもが学校に行かないで家にいること)を選択している子の親は、私に限らず自宅での過ごし方を試行錯誤しているようですが、その家庭だけで、日中の活動を充実させることは難しいと常々感じます。
市で行っている適応指導教室への登校も親子検討しましたが、学校に対していい印象をもっていない子どもが適応指導教室に通うことは、我が子にはとても難しいことでした。
フリースクールなどの民間サービスも探しましたが、近隣にはそれらの資源が少なく、子どもの年齢や状況にあわせた施設はありませんでした。また、少し遠い場所オンラインやなら、一人親の経済力ではとても高額であり手の出るようなものではありませんでした。
こうした資源の不足は、私の個人的な悩みではなく、地域や不登校のお子さん全般の課題であるということも、調べていくうちにわかりました。
R2児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果では、不登校の3.6%のお子さんしか民間の施設を利用していないことを示しています。
https://www.mext.go.jp/content/20211007-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
5)親としての悩み(経済的な負担と将来への不安)
不登校の子をもつ親、特に母親は自身の働き方を変えざるを得ない状況になりがちです。子どもが日中に自宅で一人で過ごせるほどの自己管理ができないこともありますが、小学校低学年の保護者は特に一人で留守番をさせられないことにより仕事ができなかったりします。
また、不安が強いお子さんの保護者は、買い物などにでることすら難しくなったりするようです。
加えて、不登校に対する親としての抵抗感や罪悪感は、想像以上に大きいものです。
私は、子ども3人が全員不登校になっているため、いまでは抵抗感のようなものは少ないですが、それでも、不登校の子どもを理解したいと頭では分かっていても揺れる親としての気持ちをもてあまし、子どもに当たってしまうことがありました。
また、学校に行かないことが、今の子どもにはメリットがあると判断しても、定型発達のお子さんの場合、親が相談できる公的な機関はほほありません。
発達障害の診断があるお子さんの場合は、福祉事業所等で支援計画などを通じて行政サービスを受けることも可能ですが、いわゆる特性はあっても診断名のないグレーゾーンのお子さんの場合、公的な支援を受ける場は私が知る限りありません。
話を聞いてもらう知人や友人がいる場合でも、不登校にかかわる当事者の苦しさは、当事者にしかわからないことも多いため、逆に苦しみが募ることすらあるようです。
対策や解決策を提示してくれるような施設もほぼないことから、多くの保護者は、不安と不満を募らせていきます。
さらに、義務教育までは、本来、無償で受けられるものを、すべて自前で、母親が働きづらい環境の中で続けていくことは、保護者の大きな負担となります。
これらのことで、親は心身の疲労を募らせたり、子どもとの関係が悪化してしまったり、親子共に精神疾患等になってしまったりと、新たな問題が発生しているケースが私の身近な方にも多々見受けられます。
6)支援してくれる場所がないなら自分たちでやってみよう!
第三子の不登校が長期化し始めたころ、まずは、子どもをサポートしてくれる施設を探しましたが、通わせることができないことがわかりました。
しかし、子どもはあっという間に育ってしまいます。だったら、悩む時間がもったいない、いけるところがないなら、自分が必要だと思う子どもへのサポートを我が子とともに作ってみよう! 仲間をみつけてみよう!という考えに変わっていきました。
色々な方に相談することを繰り返すうちに、場所を無償で貸してくださる方につながったことから、2021年の9月から試験的に「学校外の学び場」活動を始めました。
最初は、発達凸凹の子どもをもつ親の会のメンバーさんをお誘いしたり、インターネットを通じて人を募集したりする中で、現活動につながるメンバーたちにつながり、現在の活動の基盤をつくってきました。
「個性豊かなわが子が幸せな大人に育っていくために、今、自分たちにできること」このような視点から、話し合いを繰り返していきました。
7)目指すところ
私事ですが、私たちの「学び場」に来るお子さんたちには、同世代の子どもたたちが当たり前にできることでもできないこともあります。
けれど、それもまた自分の特性も個性として受け入れ、自らの人生を楽しく生きられる社会人になってほしいのです。そして、課題に直面した時には、他者の力を借りるなどしながら、自分で課題解決ができる大人になって欲しいのです。
そのためには、高等教育の段階で学校復帰したり、そのなりの社会参加ができるように準備していけばいいと考えています。
今のうちから主体的に学び直しができるような機会の提供と、環境設定の整え方を伝えていこうとしています。
こうした当法人の活動は、次世代を担う豊かな人材育成をしていることや、多様な価値観を包括できる社会にするための働きかけでもあるため、私たち当事者だけではなく、社会にとっても必要と考えます。
How donations are used
はじめたばかりの団体で、人的資源・経済的な資源等、少しずつ募っているところです。
また、学び場の運営は、利用者に一部負担いただいていおりますが、母親の就労が難しい状況がみられることから格安に設定しているため、事業費を賄える額には至りません。
そこで、ご協力頂きました寄付金は、個性豊かな次世代を育成するための活動を継続してくために、運営費として活用したいと考えています。
温かいご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
賛助いただいた団体や個人の方は、HPへお名前を記載させていただきます。
希望されない方は、manabidane@gmail.com までご連絡ください。