Issues we are working on
私たちが取り組んでいる課題は、(1)若者を取り巻く不利な状況と、(2)その不利を打開しようとする人びと・団体の疲弊です。
(1)若者を取り巻く不利な状況
現在、社会的に孤立し、苦しさを経験する若者の増加が進んでいます。この孤立や困難は、彼ら・彼女らの個人的な弱さではなく、社会のなかの構造的不公平によって生まれています。日本では、非正規雇用が大きな割合となる一方で、教育や失業時の生活などに関わる金銭的保障や活用できる機会や人員的支援が乏しく、また家族の貧困や疾病などによる負担がその家族の子どもやきょうだいに大きく影響します。そのため、子どもや若者は現代の日本社会で不利益を被りやすくなっています。
日本の18〜25歳の貧困率は19.7%と報告されています(2017年OECDの報告書における2012年の日本の数値)。これは、日本のその他の年齢の貧困率を上回り、OECD平均の13.9%からも大きく突出した数値となっています。
日本社会で若者が生きていくことの難しさは、他の先進工業国と比較した際の日本の若者の死亡原因における自殺の割合の高さにも現れています。
2014年の日本の15〜34歳の若者の自殺死亡率は17.8%で、G7の中では日本のみ、15歳から34歳の第1位の死因が自殺となっています(厚生労働省『平成30年版自殺対策白書』)。病気よりも事故よりも、日本では自ら命を絶つ若者が多いのです。
(2)不利を打開しようとする人々・団体の疲弊
一方、そうした状況を打開しようと若者と活動している団体のうち、少なくない団体が、委託事業をめぐる競争や分断、不安定な財政基盤によってそのミッションを十分に達成できずにいます。
また、小規模な団体が多数を占める中、事業実施に追われ「目の前の若者にとって何が必要か」よりも、「自分の団体を支えるために何をすべきか」で自分自身の立ち位置を見失いがちになっている現状があります。
そのため、日本社会の若者の状況はなかなか改善されずにきています。
Why we are tackling this issue
私たちがこの課題に取り組む理由は、若者の経験する困難が解決されず、また政策的に取り組まれる「若者支援政策」も、若者を取り巻く構造的不公平に変更を加えず、問題を若者自身の個人的問題にしてしまうことがあるからです。そうした「個人への対処」では、若者が困難を経験する大きな仕組みは変わらず、過酷な状況に直面する若者は永遠に増加しつづけます。
そのため、こうした現状を変えるための動きが必要です。私たちは2006年から全国で活動する人々と、現状の課題や若者の生活実態、活動の成果を共有する集会をおこなってきました。ここで形成されてきたネットワークをさらに拡げ、若者の不利を改善しようと取り組む人々や団体と協同し、若者を取り巻く構造的不公平を改善する仕組みづくりを進めていきます。
How donations are used
●若者が不利な状況に置かれている現状の改善を望む多様な立場の人々が対話し、問題状況への認識や活動に関する情報を共有する場をつくります。
→年に1度の全国大会や年に複数回の研究会を実施します
●若者や活動の状況を調査し、得られた情報をもとに若者の不利を改善するための社会啓発・政策提案をおこないます。