Issues we are working on
①災害救助犬の認知度の向上
阪神淡路大震災が発災した25年前、当時の日本国内での災害救助犬の認知度は低く、海外から応援に来た沢山の災害救助犬を上手く運用することができませんでした。もし、迅速に災害救助犬が活動出来ていれば「助けられた命」があったかもしれません。この時の教訓から災害救助犬での人命捜索に特化した組織構築は必要だと考え、日本レスキュー協会は1995年9月に発足しました。
25年経った今、災害救助犬の認知度は少しずつ高まり、活動できる場所は増えてきました。それでも未だに、被災地では災害救助犬が受け入れられにくいケースがあります。
その大きな要因は、正しい認知がされていないことです。災害発生時、連携し救助活動を行う公的機関は、災害救助犬をどのように運用したら良いのか?活動時はどのようにサポートしたら良いのか?どんな装備を持っているのか?など、災害救助犬の運用に関して様々な疑問があります。そうした疑問や不審点が連携に二の足を踏ませ、「受け入れられない」という結果を容易に引き起こしてしまいます。
私たちは、この課題解決には平時からの救助隊との連携力が重要と考え、合同訓練や海外から講師を招いたセミナーの開催など、スムーズな受け入れがされるように取り組んでいます。
また有事の際、被災地からの要請がなければ、初動が遅れてしまいます。救助隊など関係機関への周知だけでなく、より多くの方々に知ってもらう必要があり、SNSでの発信のほか、救助犬サポーター養成講座の開講、学校での講義、イベント等でのデモンストレーションを通して、災害救助犬の能力や必要性を理解してもらう活動を行っています。
これらの取り組みを活かし、より多くの行政、地方自治体、獣医師会と災害時の出動協定の締結に努め、救助犬の認知度向上を実現していきます。
②育成環境の改善
災害救助犬を育成している約8割がボランティアや民間の団体であり、全国各地で十分な育成環境が整っているとは言えません。また、若い世代の学びの場が殆どなく、人材不足も大きな課題です。私たちは、「育成をしたくても練習場所がない」そのような声に応える為、日本レスキュー協会の瓦礫訓練施設を貸し出し、練習場所の提供や育成指導を行うとともに、救助犬ハンドラー養成コースを開設し、次世代に繋ぐ活動にも力をいれています。更に、2017年に活動場所を九州へ広げ、現在、佐賀県大町町に拠点を建設中であり、2022年完成予定です。ここは、育成のための瓦礫施設の他、災害時は会議の場やペットと避難できる避難所にもなるセミナールームを設けています。
これらの取り組みを活かし、育成環境の改善を実現していきます。
③災害救助犬の運用の標準化
救助犬先進国のスイスには、大規模災害時の緊急援助に特化したレスキューチェーンと呼ばれる組織があります。これは、スイスが行う人道支援の中で最も認知度が高く、救助隊や医療など、8団体で構成されています。この組織に、災害救助犬チームも含まれており、組織的に救助犬が活動できる仕組みが整っています。しかし日本では、救助犬の運用が標準化されていない為、活動時は多くの困難に直面します。
私たちはこの課題を解決すべく、日頃から公的機関と連携訓練を行い、訓練を通してお互いの疑問を解決しながら、顔の見える関係性を構築し、救助隊と災害救助犬団体の共通認識を図る活動をしています。また被害が広範囲の場合、マンパワーでは限界があります。平時から他の救助犬団体と合同訓練を行い協力し合える体制に努め、2021年には、国内での災害救助犬のレベルの把握と統一化を図るため、救助犬試験制度を設けました。
捜索は、時間との闘いです。このような活動を通して、本部がある兵庫県で災害救助犬運用のモデルを確立し、地震発生後の数時間で効率的に行動できる、地域密接型の組織を構築します。そしてそのモデルを全国各地へ広め、災害救助犬の運用の標準化を実現していきます。
Why we are tackling this issue
阪神淡路大震災での教訓を生かし、「救えた命がもっとあったかもしれない」「一人でも多くの命を救いたい」という思いからこの3つの課題に取り組んでいます。災害救助犬が日本で当たり前に運用される社会になれば、一人でも多くの命が救えるはずです。災害時、残された家族にとって、救助犬が最後の頼みの綱であるケースはよくあります。生き埋めになった犠牲者は、例え見つかっても残念ながら亡くなられていることが多くありますが、それでも遺族にとっては非常に重要なことです。災害大国と言われる日本だからこそ、この活動を発展させ未来に繋げ、防災に強い国づくりを目指しています。
How donations are used
お預かりしたご寄付は、さらなる救助犬事業の拡充(救助犬の頭数の増加や、セミナーの開講、合同訓練の開催など)や、今後災害が起きた際の活動資金として大切に使用させていただきます。
・災害救助犬出動派遣費用(輸送費、滞在費、消耗品費など)
・災害救助犬育成費用(フード代、医療費、訓練備品購入費、交通費、人件費など)
・普及活動事業費(交通費、消耗品費、人件費など)
※領収証発送に関しまして
月末に領収証を発送いたします。