Issues we are working on



一粒のどんぐりから自然の森を!
おおむね紀伊半島の南に位置する熊野地方は、温暖・多雨の地で樹木がよく育つ地域で、南西日本から続く照葉樹林帯に属しています。しかし、今、熊野の山で目にしている大半の樹木は、残念なことに照葉樹ではなく、スギやヒノキの人工林なのです。1955年ころから国の植林政策(拡大造林)で、照葉樹の森はどんどん伐られ、代わってスギやヒノキが植えられていったからです。
照葉樹の森が広範囲に失われたことで山の自然力が衰えたのか、近年起き始めた現象がいくつかあります。山崩れの多発、川の水量の低下、野生動物の人里への進出などです。
豊かに水を湛えていた川は、今では瀬切れといって一面が川原になる現象も目立ってきました。当然、魚の種類や数も減りました。海の磯枯れ現象も豊かな森喪失との関連が指摘されています。そして山間部の農家は、シカやイノシシ、サルなどの野生動物に田畑の作物を荒らされ、悲鳴をあげています。自然の森で得ていた食べ物が少なくなったからだと思えます。
当会は、かつての多様性に富んだ森を取りもどそうと1997年の会結成後に活動をはじめ、2023年にはNPO法人として認証を受けました。私たちの植樹は、もともとはこの地域を埋めつくしていた照葉樹をおもな対象としています。樹のたね(主にドングリ)を地元で集め、牛乳パックに土を入れて苗を作り、2年ほど育てて一本ずつ手作業で植えています。場所によっては、野生動物の食害対策も進めています。
Why we are tackling this issue
当会は、スギやヒノキが有用な資源であることを踏まえたうえで、照葉樹の森が減少したことによる自然環境の変化に危機感を持ち、かつてあった豊かな森に近づけるための活動に、長年にわたって取り組んできました。多様な生物がかかわりあえるところ、その身近な場所が照葉樹林の森であり、その森を増やして行くことが、人の暮らしにも有用であると考えています。
How support is used
- 照葉樹の苗づくり、植樹活動
- 自然観察会や講座の開催
- 会有林(約3ヘクタール)の維持管理
- 活動に参加する子どもや学生の体験支援