Issues we are working on
「すべての子どもたちに音楽を」
ベネズエラ発祥の音楽教育プログラム、「エルシステマ」が始まったのは、貧困、暴力や差別から子どもたちを守り、自己肯定感と夢をもつ社会の一員を育てるためでした。プログラムはすべて無償で提供され、著名な音楽家を多く生み出しています。
私たちは、その中でも障害を持つ子どもたちが一緒に音楽を表現できる、ユニークな合唱団「ホワイトハンドコーラスNIPPON」を日本で運営しています。
ホワイトハンドコーラスはベネズエラで1995年に誕生した、インクルーシブな芸術活動を行う団体です。障害の有無に関わらず、音楽と一体になって耳の聞こえない子どもは手の表現で歌い(手歌)、目の見えない子は声で歌い、互いに支えあいながら活動しています。発声の難しい子どもは白い手袋をして歌の世界を生き生きと表現することから、ホワイトハンドコーラスと呼ばれています。
ホワイトハンドコーラスNIPPONは、東京ホワイトハンドコーラスを母体に、2019年度より一般社団法人エルシステマコネクトと東京芸術劇場の共催として事業を開始しました。2020年度より、東京・京都において新体制で活動を行っています。現在40名ほどの子どもが東京および京都で距離を超え、オンラインで練習を続けています。お互いの目となり耳となり、声となって歌うこどもたちの様子をぜひご覧ください。
ぼくだから感じるモノ
わたしだから表現できるコトを大切にしています。
学校だけでは出会えない、様々なコンディションの子どもたちが協調しながら舞台を創るをすることによって、思い込みや差別のない社会を目指します。
Why we are tackling this issue
「一人の子どもを育てるには、村中の大人の知恵と力が必要だ」
ということわざがあります。子どもは家庭だけでなく、関わる大人や社会から様々なことを吸収して育ちます。未来の世界を創る子どもたちを社会全体で支え、育成していく考え方のもと、サポーター制度を導入しました。
エル・システマでは、どのような経済状況であっても音楽を学べるよう全てのプログラムが無償で提供されています。これは、子どもの参加へのハードルを下げるだけでなく、公益性を保つことで活動の成果が社会へ還元されていくことを後押しします。
ホワイトハンドコーラスの子どもたちは、経験を積んだヴォイス・トレーナーや現役の作曲家、ろう者の俳優からも直接指導を受けています。インクルーシブな活動を成り立たせる上で、手話通訳士や専門家の助けも非常に重要です。また、「本物の体験」を大切にしている私たちはプロフェッショナルのピアニストはじめアーティストたちの賛同を得ながら、できるだけ豊かな時間の中で本物に触れ、成長して欲しいと考えています。例えば、耳の聞こえない子どもにとって、CDから流れるカラオケの音は分かりにくくても、ピアノに直接触れながら響きを感じると、驚くような感性で、情景やリズム感を体得していきます。
現在日本では、障害を抱える人が963万人いるとされています。国民の13人に1人は何らかの障害を抱えて生きています。どんなに健康な人でも、思わぬことで身体の機能や能力を失うことはあります。目が見えない世界の中で、どのように世界をみているのか、あるいは静寂の世界で人の表情がどこまでものを伝えることができるのか。ここにいる子どもたちはみんな私たちの先生でもあります。
そして、体に障害のない子どもたちも同じ土俵に立ちながら、将来、インクルーシブな社会を耕す上で重要な役割を果たしてくれることでしょう。
How donations are used
ホワイトハンドコーラスNIPPONの運営にかかる費用や公演の準備に必要な費用として使わせて頂きます。活動継続のため芸術監督の他に、数多くのスタッフがボランティアで活動に携わってくれていますが、手話通訳や点字の翻訳など様々な指導者や専門サポートのためにかかる費用に充てさせて頂きます。