Issues we are working on
小さな命を健やかに育てたい
1500g未満で生まれた早産児にとって、”母乳”は単なる栄養ではなく、いろいろな病気から守ってくれる”くすり”でもあります。なので、新生児医療に関わる人たちはお母さんに母乳の重要性を伝え、具体的な搾乳についても情報を伝えています。そうはいっても、すべての女性が出産したら母乳がでるわけではなく、また、母親の状況によっては母乳が出始めるまで時間がかかることもあります。また、母親の治療のために早産になった場合は、母乳がでても赤ちゃんに与えられない場合もあります。そのような場合、日本でも海外と同様に母乳バンクのドナーミルクを利用できるようになりました。この活動を維持するために病院と年間10~30万円で年間契約を結んでいます。しかし、この財源の出どころがないため、ドナーミルクを使えない施設もあるのです。
使っていない施設も本当のところはドナーミルクを使いたい
アンケート調査結果で、現在ドナーミルクを利用していないNICU施設も過半数が、ドナーミルクを利用したいと回答しています。私たちは必要な赤ちゃんには必要なときに必要なだけ提供したい、それもご家族の経済的な負担なく・・を信念として活動しています。もちろん300g400gといった超早産の赤ちゃんに与えるわけですから、ドナーミルクは安全なものでなければなりません。ドナー選定のための検査費用、母乳の細菌培養検査費用、低温殺菌処理にかかわる医療機器・消耗品、安全に保管するための医療用冷凍庫、そして母乳を処理する専門家の確保などのため、無償でドナーミルクを必要とするすべての超早産の赤ちゃんに提供するためには年間5000万円が必要になります。現在、年間契約してくださっている30施設からの契約費とこの活動を支援してくださる企業様からの寄付だけではまったく足りません。
Why we are tackling this issue
小さく産まれた赤ちゃんの予後をよくするために・・
日本の研究結果から、早く小さくうまれた赤ちゃんが、その後の視力・聴力・認知能力が育っていくために必要なことは、うまれてからどのくらい早くに経腸栄養(おなかのなかに栄養をいれる)が確立したかが大きくかかわっていることがわかっています。小さく産まれた赤ちゃんもおなかの中にいたときは、羊水をのんでいます。生まれた丸3日も4日も飢餓状態にされたら、ただでさえ未熟な腸粘膜は萎縮し、細菌が腸から外にでていったりします。早くおなかに栄養を与えたいのですが、とても未熟な腸に粉ミルクは時として有害な場合もあります。お母さんの母乳が得られない・何らかの理由で与えられない場合は、世界的に母乳バンクのドナーミルクを与える理由はそのようなことがあるからです。丸3日まって母乳が得られないから粉ミルクを与える・・これはもっとも赤ちゃんへの負担が強くなります。いま、世界的には、早く小さく生まれた赤ちゃんこそ、経腸栄養を標準化するーつまり生後12時間以内に母乳(母乳が得られない場合はドナーミルク)を与え始める。一定のスピードで増やしていくことで、はやく点滴から栄養を与える状態を脱することが、赤ちゃんの将来をよりよくするという流れになっています。
小さく産まれた赤ちゃんも一つ一つ大切な命です。
その命を、わが子が必要とする以上母乳がでるお母さまにドナーになっていただき、提供いただいた母乳を低温殺菌処理して小さく産まれた赤ちゃんに届ける。いま、日本の新生児医療は世界のトップですが、栄養面では母乳バンクがこれまで普及しなかったことで後れをとっています。いま、母乳バンクが使えるようになり、さらに小さく産まれた赤ちゃんをすくすく育てられるようになったと信じています。だからこそ、ドナーミルクを使ってほしい、この経腸栄養の標準化によってもたらされるメリットを赤ちゃんのご家族と一緒に医療者にも実感してほしいと思います。その結果、令和5年以降の病院との年間契約につながれば、この母乳バンク活動がサスティナブルになります。
How donations are used
以下の母乳バンクの活動に利用させて頂きます
- ドナー登録における協力施設への謝金(現在はお支払いできておりませんが、1施設5万円×50施設=250万円)
- ドナー登録における血清スクリーニング検査費用・ドナーに提供する母乳保存用具・搾乳器(ドナー500人×2万円=1,000万円)
- 母乳の配送費(800万円)
- 母乳の細菌培養検査費(800万円)
- 低温殺菌処理に用いるボトル・フラスコ・スピッツ(1000万円)
- 人件費:3,000万円