グラスルーツ・アカデミーのこと、その2 ~そもそもの始まり~
2020/5/30 19:03
グラスルーツ・アカデミー東北の始まりは、NYのホワイロウ・コミッションとの出会いからでした。ホワイロウは、世界50カ国以上に草の根の女性ネットワークを持つ国際NGO(*)です。2014年9月、どうしても会って話したい、と研修のため当時ボストンに滞在していたわたしは地図を片手に3時間電車を乗り継ぎ、NYのブルックリンにあるホワイロウの事務所を訪ねました。
会ったことはなかったので、ホワイロウを知っているという数名にお願いして、会う約束を取り付けたのです。目的は、翌年の2015年に仙台で開催される国連防災世界会議にホワイロウが連れてくる世界の女性リーダーたちに三陸沿岸に来てもらいたい、震災を経験した地元の女性たちと世界各地で震災や紛争を乗り越えてきた女性たちの対話を実現したいと直談判したのでした。緊張でカチコチだったわたしが呆気に取られるほど、マレーシア人のスリ、インド人のスランジャナは、わたしの話に共感し、逆提案をしてきました。
スリ「南三陸でアカデミーを開催しない?」
わたし「アカデミーって何?」
そう、それが、グラスルーツ・アカデミーの始まりです。国連や世界銀行などの国際会議に合わせて草の根リーダーを集め、互いの経験を共有し学び合い、時に国際会議への提言まで行うのがホワイロウの「グラスルーツ・アカデミー」でした。南三陸町で会場手配、滞在先、移動手段そして予算確保が可能なら、国連防災世界会議のプレイベントとして「グラスルーツ・アカデミー」を開催してもいいよ、と言ってくれたのです。
10月に帰国してからの5ヶ月間は怒涛でした。南三陸町でいつもお世話になっているおかあさんたち、南三陸町長をはじめ南三陸町役場のみなさん、地元のホテル、英語ボランティア、数えきれない地元の人たちが助けてくれ、2015年3月に南三陸町での2日間の国際研修の開催にこぎ着けたのでした。そこには、宮城・岩手・福島の若年女性40名と世界10カ国15名の女性リーダーが集まりました。
数年後、ホワイロウが、わたしたちのアカデミーに注目しインタビューをしたいと言ってきました。ホワイロウのアカデミーは、既存の活躍している女性リーダーを集めていましたが、わたしたちは、これから育っていこう、活動していこうとする芽を探し出すことに力を注いできました。
「あなたたちのアカデミーは、地域の中で可能性を持つ女性たちを探し出し、新しい人材を育て、ネットワークを築き、学ぶための機会提供を行っている。そこが素晴らしい、新しい循環を生み出している」と評価してくれたのです。
他にも、自分たちなりに編み出してきたプログラムがいくつもあります。その一つが、コミュニティ・アクションです。地域には、本当に素晴らしい活動を小さく起こしている女性たちがいますが、彼女たちにとって助成金申請や予算の策定はハードルが高く、活動を広げることが叶わずにいます。このプログラムは、10万円ほどの小さな助成を提供し、助成金を書く、予算をつくる、人に説明できる文章を作るなどのスキルを身に付けながら、メンタリング、電話やzoomで相談にのり、約1年間、実践を通して成長していくプログラムです。
嬉しいことに今年はさらにバージョンアップしています。昨年までは、グラスルーツ・アカデミー東北の参加者が対象で、例えば、陸前高田市で地元ママ主催の「ママフェス」開催、福島市の長期療養する病児をとりまくママと看護師さんのエンパワーメントなどがありましたが、今年は、アカデミー参加者たちが、自分の活動する地域で見つけてくるすばらしくも小さな活動をする女性たちを紹介してくれています。大船渡市、釜石市、福島市、東京都などの紹介してもらった女性たちからは、アカデミー参加者のことを、地域の憧れの人、すごい活動をしている人ですとわたしたちに話してくれました。その感動といったら・・・(感涙)
まだまだ進化中の日本版グラスルーツ・アカデミーです。
(石本めぐみ)
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