コミュニティをつくる活動、支える活動
2020/6/18 23:24
私たちは、震災のあと、仮設住宅生活が始まった頃から、地域に暮らす女性たちとともにテーマ型コミュニティづくりをすすめてきました。
趣味、関心、課題など、参加者がテーマで集い、お互いが知りあう。出会いや再会の機会から集いが始まり、いくつもの小さなコミュニティが生まれました。
震災から10年目に入った今も、自主的なサークル活動として続いている趣味の教室や、定期的な活動がなくなっても信頼できる仲間としてつながりを大事に保っているグループもあります。
長い時間、この地域に寄り添うことで、いくつかのコミュニティが生まれ、発展し、時には解消する場面にも遭遇。それぞれのコミュニティの持つ意味について学ぶことがあります。自分の暮らす「地域コミュニティ」とは別の軸で、テーマ型コミュニティは、孤立を防ぎ、日常のセーフティネットとなっています。
2018年10月、私たちはコミュニティ活動の新しい分野にチャレンジをはじめました。南三陸町社会福祉協議会の協力のもと、復興する町の中で新しくできた地区での、地域コミュニティづくりのお手伝いです。高台に整備された地区には近くに商店がなく、高齢者にとっては、買い物の不便が生じていることもあり、町内の災害公営住宅などに出張し小さな市「小さなたがい市」を開催しています。
名前の由来は、宮城県大崎市で明治時代に始まった東北最大級の伝統市「鹿島台互市(たがいいち)。それから、「マルシェ」や「マーケット」などの言葉よりも親しみやすいように「市」としました。ただ、こちらは規模が小さいので、「小さな」を頭につけています。
昨年は春から秋にかけて、町内6ケ所で開催。屋外にテントを張り、食品や小物を作る女性たちを中心に、これまで延べ18軒が出店しました。先日ご紹介した「WEと一緒に~小さなナリワイ塾」の参加者がそれぞれの実践の場として出店してくれました。買い物という気軽な目的があることで、高台の住民だけでなく、近隣の住民なども集まり、買い物を楽しんだ後もわいわい話して交流が生まれています。
この市では、毎回「えんがわカフェ」で出店してくれる南三陸町社会福祉協議会のLSA(ライフサポートアドバイザー、写真上段でこぶしをあげる女性たち)と生活支援コーディネーターの女性たちの存在は欠かせません。彼女たちが平時から地域を見守り、地域づくりを支えています。明日は、そんな女性たちをまとめるリーダーから応援メッセージをいただいたのでお楽しみに。
なお、今年度も継続したいと「小さなたがい市」の準備を進めてきましたが、残念ながら、今のところ新型コロナ・ウィルスの感染症拡大予防のため中止しています。最後に、「小さなたがい市」に関わるみなさんから、いただいた声を紹介します。
南三陸町沖田地区行政区長 阿部一郎さん:
「私の住む地域では震災後に商業施設がなくなり、住民は『小さなたがい市』を交流の場として楽しみにしています。知り合い同士が震災後に初めて顔を合わせ笑顔で話していたり、普段交流の場に出てこない独居の高齢男性が買い物している姿を見ると、震災前の交流があった雰囲気を思い出すことがあります。」
南三陸町社会福祉協議会LSAさん:
「高齢者がゆっくり買い物でき、その場で、みんなで食べたりしながらお話ができる。住民同士の集いの場になっています。」
「小さなたがい市」出店者さん:
「参加できてよかった。普段行く機会のない場所に行けて、地元の方にも自分のことを知ってもらえてとてもよい機会になりました。」
(栗林美知子)
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