生きものが戻る流域へ。修善寺・自然共生シンポジウム開催

支援先

任意団体 修善の森プロジェクトの会

生きものが戻る流域へ。修善寺・自然共生シンポジウム開催の画像

高橋洋平

支援総額

133,709円

/ 300,000円

44%

支援総額

133,709円

支援者数

14人

残り

開始前

開始日

終了日

支援する

静岡県伊豆市修善寺。温泉街の裏手に広がる里山「半経寺山」で、私は8年間、森を整備し、水脈を整え、沢を再生し、森里川海のつながりを取り戻す活動を続けてきました。森に降った雨が大地に染み込み、湧き出し、川となって海へと注ぐ——その水の巡りが豊かであってこそ、多様な生きものが育まれ、人の暮らしも潤う。その信念を持って、足元の8.1ヘクタールから一歩ずつ手を入れてきた8年間です。

今年3月17日、その活動拠点が環境省の「自然共生サイト」に認定されました。伊豆半島で、初めての認定です。自然共生サイトとは、民間や地域団体の取り組みによって生物多様性が守られている場所を国が認定する制度です。

認定は嬉しい。でも、これは出発点に過ぎません。

いま国は、森から川、川から海へとつながる「流域」をひとつの単位として自然を守る方向へ、大きく舵を切っています。私たちが足元で積み上げてきたものと、国の向かう先が、いま重なり始めています。この認定を機に、狩野川流域でこうした取り組みの輪が広がっていくことを願っています。

そのための仲間を増やす場として、2026年6月7日にシンポジウムを開催します。その開催費用を、このクラウドファンディングで募っています。

ストーリー

「今の子たちがかわいそうだ」

「昔はこの川にも水路にも、魚やカニやウナギなんかが本当にたくさんいたんだよ。橋から覗くだけで見えたんだ。今はもう全然いなくなっちゃったね。今の子たちがかわいそうだ」

伊豆に移住して間もない頃、お茶をご馳走になりながら、近所のおばあちゃんが聞かせてくれた話です。

古い写真を見ると、アユ釣りの季節に狩野川では、釣り人たちが肩を触れ合わんばかりに並んで竿を出していました。それほど生きものが豊かだった川が、いつの間にか子どもたちが近づけない場所になっていた。

でも、この変化に気づいている人は、どれほどいるでしょうか。変化はゆっくりと、気づかないうちに進みます。子どもの頃から「川は危ない」と教わって育てば、川に近づかないことが当たり前になる。比べる記憶がなければ、失われたものにも気づけない

おばあちゃんの「今の子たちがかわいそうだ」という言葉が、ずっと胸に残っています。そして同時に、こう思うのです。かつて子どもたちが山や川で生きものと遊んでいたあの自然を、今の子たちに取り戻して渡せないか、と。

(修善寺の里山で子どもたちと沢を整えたら、ヤゴが戻ってきた  )


美しいと思って惚れ込んだ山が、傷んでいく

修善の森プロジェクトの会、代表の高橋洋平です。

私は、この伊豆の広葉樹の山々に惚れて移住してきました。彩り豊かな山の色合い、高さの異なる多様な樹種が幾重にも重なる奥深さ——その美しさが、この土地に根を下ろす決め手でした。個人で造園業を営みながら、木々と向き合う日々を送っています。

しかし、移住して年月が経つにつれ、違和感が積み重なっていきました。

遠くから山を眺めると、かつての鮮やかさがどこかくすんで見える。ナラ枯れによる立枯れ木があちこちに目立つようになった。山に入れば、雨に洗われた表土の流出、風の通らない蒸れた空気、水が染み込まない地面、立ち入り難いほど荒廃した竹林、土から浮き上がった樹木の根——。

美しいと思って惚れ込んだ山が、年々傷んでいく。その現実を、仕事で山や庭に入るたびに、肌で感じるようになっていきました。

(関わり始めた当時の修善寺の里山。左:倒木で埋もれた沢と、右:根が浮き上がった林床)


水脈を整えると、森は変わる

縁あって出会った修善寺の里山「半経寺山(私たちが『修善の森』と呼ぶ活動拠点 )」。関わり始めた当時は、倒木や立枯れ木が随所にあり、沢は埋もれ、竹林は荒れ、風も水も滞りを感じる場所でした。

私が一貫して拠り所にしてきたのは、「水脈」の視点です。地上と地下の空気と水の流れが滞ることで、大地は疲弊していく。逆に、その流れを取り戻せば、自然は自ら回復しようとする。造園技師・矢野智徳さんが提唱する「大地の再生®」の手法を学び、鎌や移植ゴテという小さな道具で、水脈を整え、風の通り道をつくる整備を続けてきました。

(クワで溝を掘り、水脈を整える。地域の仲間と共に行う環境再生作業 )

水と空気が巡るようになると、森は確かに変わり始めます。

落ち葉が地表に定着し、枯れかけた高木が胴吹きし、埋もれていた沢に水が戻ってきました。地域の親子と一緒に取り組んだトンボビオトープでは、新たなトンボ種や水生昆虫の定着が確認されています。絶滅危惧種を含む希少な生きものの記録も、少しずつ積み重なってきました。

水と空気のつながりは、森だけで完結しません。山に降った雨が大地に染み込み、沢となり、川となって海へと注ぐ——この流れのどこか一箇所が分断されれば、つながりは失われ、生きものを育む環境ではなくなってしまいます。流域とは、そのつながりが一体となって機能する、生態系のひとつの単位です。

だからこそ、森だけを整えても足りません。流域に生きる多様な人々が、それぞれの場所でつながりを回復していく——その取り組みが広がることが、この流域の自然を本当の意味で取り戻す道だと、信じています。

(誰でも参加できる、小さな道具で森に水と空気の流れを取り戻す環境再生作業 )


認定は、出発点に過ぎない

(2026年4月16日 環境省より自然共生サイト認定証を授与 )

今年3月の自然共生サイト認定は、私たちにとって大きな節目でした。しかし同時に、こう感じています。修善の森の8.1ヘクタールだけが変わっても、流域全体のつながりは取り戻せない、と。

この認定を出発点として、狩野川流域でこうした取り組みの輪を広げていきたい。そのための最初の一歩として、2026年6月7日にシンポジウムを開催します。

静岡大学ジオ福連携研究所との共催で開催するこのシンポジウムには、環境省の自然共生サイトご担当者、自然共生サイト関連事業に取組む企業の方、伊豆市長、そして地域の皆さんが一堂に集まり、流域の自然再生について語り合います。午前中は知見を共有し、午後は実際に修善の森を歩いて、里山の今を肌で感じていただきます。

このシンポジウムは、単なる認定のお祝いではありません。流域に生きる人々や企業・行政が出会い、「この流域の自然を、自分たちの手で守っていく」という意識と仲間が生まれる、最初の場にしたいと考えています。

ここから始まる関係が、次の活動へ、次の担い手へとつながっていく。そのための種まきの場として、このシンポジウムを位置づけています。

参加は無料です。当日会場に来られない方も、このクラウドファンディングへの支援を通じて、その場を一緒に作ってください。シンポジウム終了後には、当日の報告をお届けします。

資金の使い道

今回募らせていただく30万円の使い道は、以下の通りです。

  • 人件費・謝金(20万円):シンポジウムの運営を支える仲間への対価、および登壇者への謝金
  • 開催費用(10万円):会場費、保険代、資料作成費、広報費、Syncable手数料など

これまで私たちの活動は、公共・民間のさまざまな助成金・交付金に支えられてきました。しかしこれらはいずれも、具体的な活動計画に資金使途が限定されています。今回のシンポジウム開催にかかる人件費・謝金・広報費については、あらかじめ資金を確保できていないのが実情です。

このままでは、ボランティアによる運営に頼らざるを得ません。

皆さまからの寄付が、その空白を埋める唯一の手段です。どうかご支援をお願いします。

(半経寺山周辺の水脈イメージ図。山から海までのつながりが、流域の生態系を育む )


「今の子たちはいいね」と言える時代へ

「昔は生きものが本当にたくさんいた」「あの山もあの川も、みんなの遊び場だった」「食べるものが美味しかった」——そんな言葉を、お年寄りたちから聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。懐かしさと、失われたものへの憂いが混ざり合った言葉たちを、私たちはどう受け取ってきたでしょうか。

私はこうした後悔にも似た言葉ではなく、いつか次の世代にこう言いたいのです。「昔はこんなにひどかったけれど、今はこんなに良くなったよ」と。そのために、この活動を続けています。

私たちが毎日口にする水も、胸いっぱいに吸い込む空気も、森里川海のつながりが生み出しているものです。その自然環境を守り育てることは、誰か特別な人だけの仕事ではありません。足元の自然と関わる小さな行動が、あちこちで起きていく。それが積み重なることで、流域全体のつながりが取り戻されていく。そう信じています。

「今の子たちがかわいそうだ」ではなく、「今の子たちはいいね」と言える時代へ。

そのために必要なのは、一人の専門家の力ではなく、この地球に生きるすべての人が関与者として動き出すことだと思っています。このシンポジウムはその取り組みのひとつです。支援できる人は支援を、参加できる人は参加を、伝えられる人は伝えてください。形はどうあれ、自然と人のつながりを取り戻す方向へ、一緒に歩んでいけたら嬉しいです。

(みんなで沢に入って、水の流れを取り戻す )

最後までお読みいただきありがとうございました。ご支援、ご協力のほどよろしくお願いします。

〒4103213

静岡県伊豆市青羽根211-1

https://ss705619.stars.ne.jp/

代表:高橋洋平

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