8月17日 合同芸術祭 開催のご報告
2025/8/29 18:07

~公演レポート~
皆様のご協力のもと、8月17日昭島市民会館Foster Hallにて芸術祭が行われました。
「一つになった感覚があった。一つなんですよ。」(生徒談)
≪練習期間--深い交流の時≫
合同集中練習の一週間、朝から夕方まで芸術の中で一緒にいた生徒たち。天気が生徒たちを励ましているかのように、この夏の猛暑の中では雨が多く、少し暑さが和らいだ練習期間。
賢治の学校保護者を中心に、全国からも駆けつけた保護者有志も加わり、工夫を凝らしたデザートや補食を大量に作るチーム、練習場所への大型楽器移動を手伝うチーム、遠方の生徒のホームステイ引き受けチームなど、様々な場面で生徒をサポートしました。そうした作業の中、保護者の交流も生まれ、大人も子どもも明るく深い、濃密な一週間を送りました。
≪当日準備--協働の時≫
当日、生徒と教員は朝からこの日が初のホールリハーサルを入念に行い、その合間に交代で昼食、パート練習や個人練習が廊下やロビーのそこかしこで行われていました。その傍で全国の保護者有志はロビーでの各校ブース、客席の準備に奔走。これまでリモート会議で画面越しに知り合ってきた仲間たちが改めて顔を合わせ、スムーズに協働できたこともまた、心温まる一幕でした。
≪開場≫
暑い中、たくさんの方々にご来場いただきました。チケットが本番一週間前から完売となった後も、購入のお問い合わせは続き、来客状況やホール状況を鑑みながら対応を続け、最終的には来てくださった方全てをご案内することができました。猛暑の昼間、開場前から多くの方々が来られる盛況ぶりでしたが、スタッフの入念な事前打ち合わせとスムーズな協働で列は混乱なく進み、満席の会場に皆様をご案内できました。
≪公演スタート≫
「高き山より、深き谷より、あなたに幾千もの挨拶を送ります」ブラームス
~オーケストラ~
芸術祭は、ブラームス「交響曲第1番第4楽章」の静かな調べとともに、朝焼けのような幕開けを迎えました。
今春東京で回顧展があり、本芸術祭のプレ企画でも取り上げた画家ヒルマ・ アフ・クリントと同じ国、同じ時代に生きた作曲家ステンハンマルの、「国 や自然の語る『歌』」へと続き、練習期間中に生徒の発意で結成されたファイブチェロズの「ジャズワルツ」が響きました。
坂本龍一「東風 Tong Poo」は今回の参加生徒が編曲し、坂本氏の著作物管理団体から許可を得て演奏。テクノポップな原曲がオーケストラ楽器に置き換えられ、若いエネルギー溢れる深い響きで、50年近く前の曲を新しく蘇らせました。
~オーケストラ・オイリュトミー~
昨年、日本では初めての、プロによる大規模なオーケストラ・オイリュトミー「にも」の公演があったことも、この合同企画の後押しになりました。そんな背景も教員たちが語る中、オイリュトミーの生徒は幕の背後に並び、オーケストラの生徒たちは舞台下のオケピットに移動。狭い舞台横をスムーズに移動して、シベリウス「フィンランディア」の曲でオイリュトミーとの共演に挑みました。
曲の前半が奏でられた後、讃歌のメロディーにさしかかるとき、静かに緞帳が上がり、オーケストラの豊かな音色とオイリュトミーの動きが融合する総合芸術が生まれました。それは、シュタイナー教育が目指す「人間の感性と精神の統合」だったかもしれません。
言葉ではなく音と動きで会場全体が一体となり、この曲のテーマでもある「平和の祈り」が紡がれるようでした。
~オイリュトミー:宮沢賢治とベートーベン~
ベートーベンの後期作品は、精神性や宇宙的テーマが追求されており、賢治やシュタイナーにも影響を与えました。この3人の融合が、100年以上の時を超えて高等部の生徒たちの成長に響き合い、参加者と共に特別な空間を創り上げました。
難聴という困難を乗り越えたベートーベンの「情熱」を表現したオイリュトミーには、未来に向かうエネルギーが感じられ、これからの彼らの、人と共に創る明るい未来を確信させる力がありました。
「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである
われらは世界のまことの幸福を索ねよう」
「農民芸術概論綱要」より
≪合唱-コスモスー宇宙≫
シュタイナー学校100周年を記念した2019年に、渋谷の会場でも歌われた「Cosmos」。
色とりどりのオイリュトミードレスとオーケストラの生徒のモノクロームが舞台に美しく並び、宇宙とのつながりをうたったこの歌は生徒の心にも参加者の心にも一つの宝物として残りました。最後の「草原の別れ」を歌って終演した後は、友との別れを惜しみつつ、各地へ戻る生徒たち。一週間ともに作り上げた芸術は、皆の中に宿り続けることでしょう。
≪卒業生座談会≫
「シュタイナー教育で繋がるもの」
7名の卒業生が広い舞台で弓なりに座り、学生時代の思い出を振り返り、意見を交わしました。
年代も学校も、卒業後に選んだ道も多様で、事前の打ち合わせは1回。リアルでは初対面という状況でありながら、会話は分け隔てなく進み、言葉が自然に繋がっていく様子は不思議なほど温かく、ホール全体を包み込んでいくようでした。
テーマや質問に対して、自分の意見や考えを率直に、丁寧に語る姿は共通しており、事後には登壇した本人たちも改めて「シュタイナー教育で繋がるもの」を感じたとのことでした。
AI時代、自分と他者との繋がりが変化する社会で、自らを見つめ、他者とのバランスを見出しながら生きる、7人の卒業生たちの輝きを感じる座談会となりました。
≪次の企画 -何年後?≫
シュタイナー学校100周年教育展(2019年)での高等部合同発表(オーケストラ・オイリュトミー)で、生徒や観客そして教員が体験した深い感動が、今回の企画の根源でした。その後の高等部生徒にも、在学期間に一度は経験の機会があると良いと願う声もありながら、コロナ禍など社会状況の変化のため企画は進まず、シュタイナー没後100年後にあたる今年、6年後の開催となりました。
今回の芸術祭の生徒たちや保護者の協働で生み出された新たな交流と熱が、日々の教育や運営、未来の新しい力へとつながることを願ってやみません。
皆様、またお会いしましょう!
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