いつもNPO法人L-Portの活動に沢山のご支援、ご関心をお寄せくださり誠にありがとうございます。当法人は本日3月11日をもちまして、設立13周年を迎えました。この13年間で当法人の活動に関わってくださり、思いを寄せてくださった皆様に心より感謝申し上げます。

さて、私たちの団体設立記念日3月11日というのは、日本で起きた大災害の一つである東日本大震災の発生日でもあります。東日本大震災は2011年3月11日に、当法人は2012年3月11日に設立されました。多くの方もご存知のとおり、当法人は東日本大震災の発生がきっかけで設立されたという経緯があります。震災直後、東北地方に住む被災をしたLGBTQ+当事者にはこのような困難があったそうです。

「長年連れ添った同性パートナーの遺体を引き取りに行ったが、血縁の家族ではないということで断られてしまった。目の前に彼がいるのに、家族であるはずの私(同性パートナー)は彼を連れて帰ることができなかった。」

「避難所生活が長期化する中、ホルモン療法がストップしてしまった。他の被災者から性別のことで噂されるようになり、帰る家もないまま避難所を離れ、車中で生活する以外方法がなかった。」

(当法人の設立メンバーが被災地へ赴き、地元の支援団体から聞いた内容を抜粋して掲載しています。)

これまでも、自然災害が起きるたびに被災したLGBTQ+の当事者やその家族が、セクシュアリティを起因とする困難に直面していたのでしょうが、あまり被災当事者の話をお聞きする機会はありませんでした。東日本大震災をきっかけに、災害が発生した時に、LGBTQ+であることが困難に直結することがあるのだと学びました。LGBTQ+はセクシュアルマイノリティ(性的少数者)といった言葉でも表現されることがありますが、マイノリティ(少数者)であるが故に、社会が変化するような大きな出来事が起きた時に自身の困難が不可視化されたり、周りに合わせて自分のしんどさをグッと飲み込まなければならない時がまだまだあるのだと思います。

2025年現在、LGBTQ+が生きる社会はどうなっているでしょうか？

2012年から長い年月を経て、社会は確かに変わりつつあります。全国各地でパートナーシップ制度が導入されたり、学校制服が出生時に割り当てられた性別に関わらず自由にスタイルを選べるようになったり、法律が出来たり、性と生き方を巡る裁判が始まったりとLGBTQ+の権利や性の多様性の尊重が進んでいる動きを感じます。社会は確実に良い方向へ向かっていると思う一方、LGBTQ+への差別は巧みに形を変えているように思います。SNSで吹き荒れるバッシングや、時代の政権によって多様性の尊重が一気に後退する様子も目の当たりにしました。

そんな中で、相談事業や居場所を開設していると、一番脆弱な立場に置かれやすい子ども・若者やトランスジェンダーが、気づかないところで社会から排除され命の危機に晒されているように感じます。L-Portに繋がる当事者の言葉から『LGBTQ+はありのままで生きてはいけない』という周囲を取り巻く差別をしたい人々の声が聞こえてくるようです。

性の多様性が尊重される社会の実現を当然に望み、行動しながら、今さまざまな差別に苦しんでいる方々のケアや繋がれる場の必要性を強く感じています。当法人は、北海道でこれからもLGBTQ+を始めとする多様なセクシュアリティを生きる方の直接的な支援と啓発を続けていきたいです。3月11日という、様々な人に色々な想いが交錯する日に、私たちはこれからの社会を考えずにはいられません。

最後になりましたが、NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Portでは、自主事業の継続に向けてバースデードネーションを実施しております。4月11日まで皆様からのご寄付を受け付けていますので、温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Port　一同