このクジラなんでしょう
2025/6/14 09:30

こんばんは,○○どうでしょうです(○○は任意の曜日)。
今回の企画は「そのクジラなんでしょう2021春 函館稚内8時間ド緊張の旅」ということで…
と,2025年現在ならこんな具合にナレーションでも入れたくなるような経験をご紹介します。
2021年3月,ストランディング調査参加経験2回,赤白棒を握りしめることと肉をスライスすることが得意,コロナ直下で暇な学部2年生であった私は,先輩からの
「週末あいてる?稚内まで調査に行くんだけど…」
という連絡にもちろん即レスOKしました。
出発時間・旅程・防寒対策をしっかりしてくるようにと連絡を受け,集合場所への道順を間違え遅刻してご迷惑をおかけしつつ,2~3回程度しか当時お会いしたことのなかったT先輩・M先生とともに稚内への旅に繰り出しました。
実は人見知り,かなり緊張しいの私は後部座席の端でとても小さくなりつつ(隣には誰もいません),カバンを抱きしめ,運転席と助手席で交わされる調査の手順の検討に耳を傾けていました。
どうやらトラックの荷台で作業をするらしい,写真撮って,体長測って,それからそれから…
身を乗り出しているわけはないので,高速道路に乗ると会話もあまり聞こえなくなり,オロロンラインにさしかかるころ私は窓から星を眺めていました。
遠いな~,もう日が暮れちゃった,あとどれくらい時間かかるのかな~,遠いな~,流れ星って見れるのかな,いま流れた気がする,遠いな~,明日なにするんだろ……アレ?!?!?!
調査する鯨種って何?!?!?!
お気づきの方もいらっしゃるかもしれません。ここまでの間,私は本当に鯨種を知らずに「調査来る?」「YES!」の反射だけで来てしまいました。
この事実に気づいてしまってからはもう気分はドナドナです。鯨種を知らずに稚内まで行く私,さながら企画内容を知らされず海外に連れていかれる大○洋…急に話しかけるなんて緊張して全然できない…種類なんですかなんてもっと聞けないよ…
その後の往路の記憶は「大○洋」と「鯨種は何」で占められ,ほとんど覚えていません。
会話のタネもつきたのか,話を振っていただいたタイミングでどうにかこうにか聞きだしたようで,調査にはツチクジラである,という認識のもと臨むことができました。
翌日早朝,浅瀬に浮かぶツチクジラがトラックの荷台に積まれる様子を観察した後,得意の赤白棒握りを披露し,さて役目は終わったかと満足していた私に,T先輩は解剖刀を渡して一言,
「じゃあ10cm角くらいで脂皮と筋肉切り出そう!」
えっ私もやるんですか?????
またしても何も知らないNさん(20)の誕生です。
改めてお伝えしておきますが,2021年当時の私が得意なのは「赤白棒を握りしめること」と「肉をスライスすること」の二つです。うす~~~くしか切れません。サンプリング用に肉を切り出すなんてとてもじゃないけどできません。いはんや分厚い脂皮を持つツチクジラをや…
2025年現在の私からすればそりゃサンプリングはやるだろとしか言いようがありませんが,2021年当時の私からすればマジ?!?!という感想しかありませんでした。
しかし少人数の現場で泣き言なんて言ってられません。溶けた脂で何枚もの刃をなまくらにし,あはは先輩はここまで切ってんのに私は半分も切れてないな笑とか思っている間にサンプリングは終了。
朝早い調査だったため時間には余裕があり,ノシャップ寒流水族館に立ち寄った後帰路につきました。
帰りはT先輩とM先生が交代で運転,一方が後部座席で仮眠,私が助手席で質問に答え続ける…という様式だったように思うのですが,何も知らないNさん(20)は調査でいっぱいいっぱいで,もうほとんど記憶が残っていません。
この経験から言えることはただ一つ。気になったことはちゃんと聞きましょう!!
(N)
← 活動報告一覧へ戻る