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「つながる海の未来と鯨の命、つづける支援。」ストランディングネットワーク北海道・継続寄付キャンペーン

支援先

NPO法人 ストランディングネットワーク北海道 Stranding Network Hokkaido SNH

「つながる海の未来と鯨の命、つづける支援。」ストランディングネットワーク北海道・継続寄付キャンペーンの画像

ストランディングネットワーク北海道

支援者数

24人

/ 30人

80%
  • 支援総額

    24,391円

  • 支援者数

    24人

  • 残り

    終了

  • 開始日

  • 終了日

キャンペーンは終了しました

終わらない,クロツチクジラ

2025/6/6 09:30

終わらない,クロツチクジラのメインビジュアル

2019年6月17日夕方,SNHにメールがきました。

宗谷漁協からで,夕方のオホーツク海,黒っぽいアカボウクジラ科鯨類が波間に漂っていることがわかります。

なんとなくわかります。この個体はあれだと勘が働きます。


夕方なのでどこも連絡が取りづらく,でもいったいどんなクジラが打ちあがっているのかをまずは知りたい。そういう時我々はSNSの力を借ります。

Twitter(当時)を開き,考えうる色々なキーワードを入れて検索します。「くじら 死んでた」など入れて探すと,結構出てきます。

その時もどなたかがあげていた該当のストランディング個体をSNS上で発見することができました。

あぁ,やっぱりクロツチクジラだ…


当時はまだクロツチクジラの新種記載論文発表のギリギリ前で,大きな声でクロツチだ!とは言えないけど,でも是が非でも骨格まできちんと調査したい個体です。

まずは調査の調整です。打ちあがった場所で解剖調査をしていいのか,誰が来れるのか,車はどうするのか,全身骨格をどこが引き受けるのかなどなど必死で連絡を取りながら,自分も出発の準備を進めます。

結論として,函館から3名で出動,途中札幌で調査未経験の学生を2名乗せて,宗谷まで向かうことになりました。クロツチクジラ全身解剖&骨格をとるのに,5名はどう考えても少ないですが,それでも集まってくれたメンバーで頑張るしかありません。

骨格は帯広畜産大学で引き受けてくださることになったので,調査帰り(?)に宗谷から帯広まで運ぶことにしました。


海岸管理者の方と協議して,浜辺での全身解剖を許可いただきました。しかし打ちあがった現場あたりはその頃ヒグマの目撃があったので,肉はかならず全てゴミ袋に入れてくださいとのことでした。


現場に到着すると,そこにはやはり,クロツチクジラの雄が打ちあがっていました。体長は6mを超え,とても立派なクロツチクジラでした。

クロツチクジラは皮が固く,筋肉がみっちりついている印象です。いざ調査を始めますが,切っても切っても皮が固く,厚い筋肉が立ちはだかります。

稚内で働いている卒業生も応援に駆けつけてくださり,皆でひたすらに切り進めました。

皮が固くて筋肉が厚くて途方に暮れてしまう時の調査にはコツがあります。

大きく切り取ろうとするのではなく,ほんの少しずつ,自分が持てる分を,確実に切り取っていくことです。

何か大きなことをしようとするのではなく,とりあえず手を動かして,できることをコツコツ進めていくと,必ず終わりが見えます。

なんとか調査を進め,肉をゴミ袋につめ,骨をとり…という作業を延々と続けます。


ここで大問題です。ごみ袋が足りなくなりました。


想像より立派だったクロツチクジラ,筋肉の量も多く準備したゴミ袋が足りなくなってしまいました。

泣きそうになりながら検索したところ,現場から一番近いホームセンターまでは車で片道30分かかることがわかり,調査の途中で離脱してゴミ袋の調達に行くしかありませんでした。

往復で1時間,これはかなりのロスです。でもああだこうだ考えている時間もおしいのでとりあえず出発し稚内に向けて車を走らせます。

ホームセンターに売られていた大き目のごみ袋を大量に購入し現場に戻り肉を詰めます。

臓器をサンプリングして,骨からできるだけ筋肉を取り除き,肉をゴミ袋に詰めます。

途中キタキツネが,その肉くれよ…と様子を伺いに来ますが,気づかないふりをしながら肉を詰めます。ひたすら,肉をゴミ袋に詰めます。

全然終わりませんが,とりあえず手を動かして,確実に,肉を,ゴミ袋に,詰めます。


なんとかかんとかゴミ袋に詰め終えて,採取した骨も全部車に積み込んで,終わった…と思う頃には日が暮れていました。

さてこの骨をこれから帯広まで運ばないといけません。

「帰りに稚内から帯広に骨を運べばいいんじゃない~」

そういった自分にばかたれと言いたいです。地図ちゃんと見た?と言いたいです。


現場から帯広までは,ずっと運転し続けていても6時間30分かかります。


現場で調査をしてへとへとになった状態なのに,しかももう日も暮れているのに,一路帯広を目指します。

函館チーム3人で,なんとかおしゃべりをして無理やり元気を出しながら帯広を目指します。


おかしいな,途中峠道を走っていると,うっすらと白いハートがいくつも見えます。

そう,エゾシカのおしりです。ケーーンと独特なエゾシカの鳴き声も聞こえます。

周りはエゾシカだらけでした。霧も出てきて,視界はぼんやりとした霧とその中目を凝らすと白いハートの形をしたエゾシカのお尻が紛れていて,ケーーーンと鳴きかわす声が聞こえます。

頭がおかしくなりそうでした。


ようやく帯広についた頃には深夜どころか朝方で,無事に到着できたことにほっと胸をなでおろしました。

帯広で仮眠休憩をとり,骨を無事に届けて,さぁ次は函館まで5時間30分です。もう函館に向かっていた頃のことはちっとも覚えてないですが,本当に長い調査だったと印象に残っている会でした。


調査一つ一つを思うと,クロツチクジラの発表は本当に感慨深いものでした。

この個体の調査以降私は,調査に向かう後輩たちに,ついついゴミ袋いっぱい持った?途中大変だったらお金かかってもいいから泊まるんだよ,と口うるさく言うようになってしまいました。

(M)


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北海道函館市港町3-1-1北海道大学松石研究室

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代表:松石隆

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