【働くスタッフの思い】フリー・ザ・チルドレンとわたし リレーコラムVol.3
2024/10/4 01:41
広報の木村からバトンを受け取りました、海外支援事業スタッフの鈴木悠仁子(ゆにこ)です。
カナダで義肢装具士として働いていましたが、今はフリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)の海外支援事業や支援地を訪問するスタディツアーの運営の仕事をしています。
FTCJとの出会いから今日までの19年間の想い出をお伝えしたいと思います!
FTCJとの出会い
私がFTCJと出会ったのは、15歳、高校1年生の時です。
地元の中学を卒業し、公立高校へ進学して間もない頃でした。
小さい頃から他国の文化や国際協力には興味がありました。中学生の頃までは自分に何かできるとはあまり考えていませんでしたが、高校に入ったら、バイトもできるし、電車通学になって行動範囲も広がるから、国際系のボランティアに参加しようと考えていました。
高校に入学してすぐ、ネットで調べた有名なNGOのボランティアにいくつか参加してみましたが、大きな団体のボランティア活動というのは作業内容が決められている感じがして続きませんでした。
そんな時、たまたまユニセフ子どもネットの掲示板で見つけた「子どもによる子どものための国際協力」という当時のFTCJのキャッチフレーズ。よく見ると、12歳の少年が立ち上げた団体で、子どもが主体となって国際協力活動をしていると書いてありました。
さっそくFTCJのウェブサイト上にあった掲示板に「活動に参加したい」と投稿してみると、すぐに反応をくれたのが、当時大学生や高校生を中心に活動していたFTCJ内のチーム「フィリピン支援事業チーム」でした。
特にフィリピンに思い入れがあったわけではないですが、特定の国の支援に関わるのは面白そうだなと思い、早速、次のチームミーティングに参加させてもらうことに。
・・そこからは、展開が早かったです。笑
チームメンバーもFTCJのスタッフもみんな面白くて優しくて尊敬できる人々ばかりで、何をやろうとしても応援してくれるし褒めてくれるので(笑)、どんどん活動にのめり込んでいきました。
写真:フィリピンの子どもにジプニーを届ける街頭募金
児童労働を学ぶワークショップを開発したり、フリマや街頭募金で支援金を集めたり、絵本を作ってみたり、手作り製品を売って資金調達をしたり、チームを宣伝するウェブサイトやチラシを作成したり…。
同世代の仲間たちと一緒に、思いついたことはどんどん挑戦していきました。
スタディーツアーで現地へ
当時から、FTCJはフィリピンスタディツアーを毎年開催していましたが、私は16歳で初参加しました。
働く子どもや貧困下で暮らす人々の厳しい現実を目の当たりにし、支援の必要性を実感すると同時に、自分たちが支援している子どもたちと直接会うこともできました。
現地に行く前はどこか遠くに感じていたフィリピンの支援先の人々でしたが、行ってみると(当たり前なのですが)1人1人が色んなことを考えながら生きていて、友達がいて、日々楽しいこともたくさんあって、普通にそこで生活をしているんだということを実感しました。
でも、そこには確実に課題も存在していること、権利が守られていない状況があることも学びました。
以来、高校3年間は毎年フィリピンに行きました。当時のアルバイト代はほぼ全部、スタツアのために使っていたような気がします。笑
支援先の人々の顔が浮かぶようになってからは、より活動が楽しくなって、アクションのアイディアもどんどん生まれてきました。現地での学びを多くの人に伝えたいと思い、撮ってきた動画を使ってムービーを作ったり、学校で発表したりもしました。
当時作成したムービーはこちら
毎年ツアーに参加していたので、だんだん運営側の仕事の一端も担えるようになりました。他の参加者のサポートをしたり、スラムにホームステイするプログラムをツアーに入れたくて現地NGOスタッフの人と一緒に企画を考えたり、といった業務を経験できたのは、とても貴重だったと思います。この経験を通じて、こういう企画運営をするのが自分は好きなんだなということにも気づけました。
写真:スラムの大家族の家でホームステイ
FTCJでの経験から、将来のビジョンが明確に
高校生の時に国際協力活動のリアルやNGOスタッフの働き方を間近でたくさん見て学ぶことができたことで、自分が将来やりたいこともより明確になっていきました。
この時期に気づいたことは、実はちょっとネガティブなのですが、「自分はNGO職員になったりNPOを立ち上げたりするのは向いてないかも」ということです。国際NGOで働く人たちは優れたコミュニケーション能力を持つ人が多くて、人見知りで人前で話すのも苦手な自分が目指す仕事とは違う気がしました。
でも国際協力には関わり続けたいし、人と関わるのは好き。じゃあ、手に職を持って、自分の専門技術を介して人や社会と関わっていこう、と思いました。
私の専門である義肢装具士(義手や義足、装具を作る専門職)という職業に興味を持ち始めたきっかけは、小学生の頃に読んだカンボジアの地雷被害者のことが描かれた絵本だったのですが、高校時代のFTCJでの活動を通じて、開発途上国支援のために、より専門職、職人職に進んでみたいという気持ちに確信が持てたのを覚えています。
カナダに移住→コロナ禍の日本へ
2009年に高校を卒業して義肢装具士の専門学校へ進み、資格を取得してから日本でしばらく修行を積んだ後、2015年にカナダに移住してトロントで装具士として働いていました。
写真:カナダでの装具製作
そして、一時帰国のつもりで日本に戻ってきた2019年の終わり。
とても忙しそうなFTCJを数か月お手伝いしてから、今度は開発途上国での仕事に挑戦しようと考えていた矢先、コロナが流行し、世界の状況が一変してしまいました。
日本から出ることが難しくなり、同時に日本の学校が休校になったり、海外の支援先のコミュニティも大変な状況となっていたので、『日本で今できることをしよう』と思い、もうしばらくFTCJの活動を手伝うことにしました。
その後、コロナが明けてからは、義肢装具士としても少し働きながらFTCJの業務に携わり続け、現在に至ります。
「これやってみたい!」という想いを応援し挑戦させてくれるFTCJの風土は、子ども時代だけでなくスタッフになった今も同じ。おかげでいつも新しい学びを得ながら、楽しく働かせてもらっています。様々な業務に関わっているうちに、だんだん私がFTCJで実現したいことも増えてきました。
私がFTCJでやっていきたいこと
今、FTCJの活動規模は私が子どもの頃より広がっていて、より沢山の様々なバックグラウンドの子どもたちが、FTCJの活動に参加してくれています。
私が担当している海外支援事業やスタディツアー事業の中でも、子どもたちが興味や特技を生かして事業に関われるようなプログラムをもっと増やしていきたいと思っています。
また、世界の状況は日々変わっていて、支援先の国々にも、めざましい経済発展や変化がありました。しかし、どの地域にも、障害を持った人々や少数民族の子どもたちなど、発展の中で取り残されてしまう人々がいます。
「誰一人取り残されない社会」を作っていくために、障害のある人への支援という私の専門分野を生かし、支援地での障害者支援などの活動をもっと広げていきたいという想いも持っています。
おとなの皆さんの力が必要です!
FTCJは設立当初から、子どもメンバーは会費無料で運営しています。どんな環境にいる子どもにとっても、「やってみたい!」と思った時の最初の一歩を、なるべく踏み出しやすいようにしたいからです。
そのおかげで、私も子ども時代、沢山のサポートを受けながら貴重な経験を積み、成長させてもらうことができました。
昨年フィリピンスタディツアーに同行し、私が学生時代お世話になった現地NGOスタッフの方々と十数年ぶりの再会を果たしたのですが、空港で会って開口一番、
「ユニコが子どもたちを連れてくるなんて、成長したわねぇ!」と昔と変わらない笑顔で出迎えてくれた時、
「こうやってFTCJを通じて出会った沢山の人々に支えられ成長させてもらったおかげで今の自分がいるんだなぁ」と、とても温かい気持ちになりました。
フィリピンは私が高校生だった時と比べ、都市の開発も進み、人々の生活水準の向上が見られました。児童労働をするフィリピンの子どもの数は、私が活動していた高校生時代には200万人以上いたのですが、2022年の統計では82万8千人となっています。
しかし、農村やスラム地域の様子は以前とあまり変わらず、各コミュニティは活気と笑顔にあふれている反面、食糧や医療、衛生、教育など課題が多く見受けられました。人々は何か起きた時の社会的なセーフティネットが十分にない、その日暮らしの毎日を送っており、国の経済発展の中で貧富の差が広がり、取り残されている貧困層の人々が多くいることを実感しました。
団体として実現したいこと、この団体だからこそやれることが、まだまだ沢山あると思っています。
その一方で、少ない人員で何とか今ある事業を運営しているのが現状です。人員を増やしたいのですが、そのためには団体の資金が足りません。
そこで現在フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、マンスリーサポーターの募集キャンペーンを実施中です! 継続的に団体を応援してくださるサポーターが増えれば、団体の運営がより安定し、新たな人材を雇う力が生まれます。
団体の活動を広げていくためには、おとなの皆さんの力が必要です。
月500円から登録できます。これを読んでくださっている皆さま、ぜひサポーター登録、よろしくお願いします!
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