犬猫保護活動の舞台裏(前編)
2024/3/17 18:06
前回に引き続き、今回は犬猫保護活動の舞台裏・その前編として、医療行為の実施(初期医療及び検査の実施、不妊去勢手術等)についてご紹介いたします。
私たちが犬猫を保護した際には、主に下記の理由から「初期医療及び検査の実施」及び、一定の月齢に達した健康状態の良い犬猫には「不妊去勢手術」を必ず行います。
①感染症の蔓延を防ぐ
動物たちを保護するにあたり、感染症が広がるリスクは非常に大きいため、特に初期医療実施時に行う血液等の検査は、潜在的な感染症を早期に発見し、確実な隔離をするための鍵となります。これにより、保護動物同士や里親さんの元にいる先住動物への感染リスクを最小限に抑え、安心して新しい環境の中での生活を始められるようサポートしています。
②健康状態の確認と病気の予防
初期医療及び検査は、動物の健康状態を把握し、病気の早期発見や予防につながります。これにより、保護動物たちは確実な医療ケアを受け、安心して新しい環境での生活にスタートを切れるのです。
③頭数を増やさない
不妊去勢手術は、猫のように繁殖力が強い動物において、頭数の増加を防ぐための重要なステップであり、過酷な環境に置かれる不幸な動物たちを増やさないための大原則として必要不可欠です。
不妊去勢手術を実施することは、身体に負担がかかる、太りやすくなる等のデメリットもありますが、望まない妊娠を防ぐ、外出や問題行動を防ぐ、発情期のストレスの解消、病気や感染症のリスクの軽減などのメリットがあります。
例えば多頭飼いで不妊去勢手術をしていないオスとメスがいれば、こうび一回で最大8匹の子猫を出産する可能性があり、しかも猫は年に2回出産する場合が多く、更にその子猫たちにメスがいれば、次の発情期に認人及び出産となる可能性は2倍3倍となり、増えすぎて飼えなくなり、多頭飼育崩壊を引き起こす要因となりますし、自宅敷地内に猫が遊びに来ていたため、可愛いのと可哀そうという気持ちから無責任に餌やりをし、初期医療も検査も不妊去勢手術も何もすることなく餌やりを続け、気が付けば数十頭の猫たちで溢れ、中には空腹で生まれたばかりの仔猫を食べてしまったり、近い血縁で妊娠したために奇形が生まれたりすることすらよくあることなのです。
また、発情期にメスに出会えないオスにはとてもストレスがかかり、攻撃的な性格になったり、大きな声で鳴き続けたり、尿をあちこちにかけてしまうスプレー行為なども見られます。飼い主さんが無責任に自宅内と外を行き来させたりしてる場合、ご近所トラブルに発展することも少なくありません。
このように、保護した動物たちが優しい里親さんと出会い、より良い環境の中で幸せな生活を送るためには、初期医療及び検査の実施と不妊去勢手術は、飼う側飼われる側双方に大きなメリットがあるのです。
猫の場合、初期検査医療は獣医さんによって前後はありますが、1頭につきウイルス検査で5000円程度、ワクチン接種(3種混合)5000円程度、ノミダニ駆除と便検査が各1000円程度かかります。
また不妊去勢手術に関してはオスで1万5000円・メスで2万5000円程度の費用が掛かります。
そして、犬猫たちは生き物ですから、人間のように風邪をひいたり、時に手術が必要な病気やケガに見舞われます。私たちのように多くの犬猫たちを保護育成していると、年間にかかる医療費はとても高額になってしまい、活動を続けていくにあたり、大きな壁となってしまうのです。
さて、次回は「犬・猫を保護する舞台裏の後編」として、最後に我々が直面している現状をお伝えしたのち、この寄付募集キャンペーンで何を目指しているのかを綴りますので、是非目を通していただけると嬉しく思います。
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