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海外の味の箱船の食材の紹介 ①ジョージアのクヴェヴリワイン

2023/7/23 20:14

海外の味の箱船の食材の紹介 ①ジョージアのクヴェヴリワインのメインビジュアル

記事を読んでいただき、ありがとうございます!

今日からは、日本以外の国々から味の箱船食材を紹介していきたいと思います。

まず最初にご紹介するのは、「ジョージアのクヴェヴリワイン」です。


今、話題のジョージアワイン

今、世界のワイン愛好家が一目置いているジョージアのワイン。2013年には世界無形文化遺産にも登録され、輸出も拡大を続けています。

実はこのジョージアワイン、スローフードの味の箱船に登録されたことが、大きなターニングポイントになったのです。

ジョージアは、一説によると、人類がブドウ栽培を始めた最古の国。ブドウの在来品種もたくさん存在します。「クヴェヴリ」と呼ばれる大きな壺を地中に埋めて、その中にブドウの搾り汁や皮を入れて自然に発酵させてワインを醸造するという伝統的な製法がずっと続いていました。なんと、紀元前6000年頃にはすでにクヴェヴリが使われていたそうです!

↑こちらがクヴェヴリ。↓このように、土の中に埋めて使います。

失われかけていたクヴェヴリでの製造文化

しかし、味の箱船に登録される前の2000年ごろ、クヴェヴリで作るワインの生産量は減少していました。昔は、ジョージア国内で作るワインは全てクヴェヴリで作っていましたが、プラスチックやステンレスなど便利な素材が導入され、安定的な品質のワインを作るための発酵技術も取り入れられていきました。ワインの市場が国際的に拡大する中で、クヴェヴリで作った自然発酵のワインは「時代遅れなもの」「美味しくないもの」というレッテルが貼られ、評価も低かったそうです。クヴェヴリワインの市場も存在しておらず、クヴェヴリのワインを買う方法といえば、ごく小規模に作られ、地域内で量り売りしているワイナリーがいくつかあるくらいで、ボトリングされて流通するものは一つもありませんでした。クヴェヴリを作る職人は高齢化が進み、儲からない仕事のため若者も集まらず、クヴェヴリの産業は縮小し続けていました。

そんな時に、先日も応援メッセージを寄せてくださった島村菜津さんが取材でジョージアを訪れ、クヴェヴリでのワイン醸造というとてもユニークな文化に触れ、「スローフードで保護してはどうか」と提案したことがきっかけで、ジョージアのクヴェヴリワインが味の箱船に登録されることになります。日本とそんなご縁があったとは、驚きですね!


味の箱船をきっかけに、更なる発展へ

味の箱船から更にステップを進め、2008年には「プレシディオ」という、味の箱船の中でも特に緊急性が高い食材について生産者と協働するプロジェクトが始まりました。

スローフードのネットワークにいるイタリアのワイン専門家とジョージアのワイン生産者の間で研修を重ね、製造や保管の方法を改善して品質を向上させたり、瓶詰めの技術の提供を支援して、クヴェヴリワインを流通させることができるようにするなど、具体的な変化が起きました。文化的な価値も認められ、市民権も得られるようになっていきました。

↑スローフードの祭典「テッラマードレ」にもジョージアから生産者が参加し、クヴェヴリワインを世界中の人へ紹介

このことによって、クヴェヴリで作るワインの生産者は事業を拡大することができ、それまで耕作放棄地になっていたブドウ畑が回復するなどしています。プレシディオのプロジェクトが始まった時は11件ほどだった生産者組合も、現在では100件以上のワイナリーが所属する組織になっていて、そのうち90%がクヴェヴリでワインを生産しています。


近頃では日本でも、ジョージアのクヴェヴリワインを手に入れることができるほど、産業は大きくなっています。ジョージア政府もワインの輸出拡大に力を入れています。

途絶える瀬戸際にあった文化がこうして復活をし、今では世界無形文化遺産や、国全体で推進する産業になっていること。

ジョージアのクヴェヴリワインは、味の箱船プロジェクトの良さがしっかりと活かされたケースとなっていて、とても興味深いですね。


明日以降も、海外の味の箱船食材を紹介していきます!

マンスリサポーターキャンペーン、引き続きどうぞよろしくお願いします!




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