プログラム・ディレクターが全作品を徹底解説!メイド・イン・ジャパン篇(6)
2022/10/15 17:56
プログラミング・ディレクターの神谷直希による見どころ解説。メイド・イン・ジャパン部門のご紹介です。
■メイド・イン・ジャパン部門
「彼女はなぜ、猿を逃したか?」(高橋泉監督)
脚本家の高橋泉さんと俳優の廣末哲万さんによる映像制作ユニット「群青いろ」の最新作です。当映画祭で群青いろの作品を上映するのは2014年のコンペティション作品「ダリー・マルサン」以来で、高橋監督の作品を再びご招待できることをとても光栄に思っています。
少々トリッキーな仕掛けがあるので、実は紹介するのがすごく難しい作品です。動物園の猿を逃がして世間やメディアを騒がせた高校生の少女がいて、彼女を取材している女性ライターと映像制作の仕事をしているその夫を中心に物語が進む……まずはそう言えるでしょう。女性ライターが取材を進めるうちに次第に精神の均衡を崩していく姿が、ある種のメディア批評を交えた心理劇として描かれるのですが、その後に驚きの展開が待っています。人間の邪悪さや底知れなさを描く点はこれまでの群青いろの作品と共通しているのですが、今回はそこから一気に反転し違う地平にも同時に向かっている、そんな印象を受けました。ぜひ実際にスクリーンで確かめていただければと思っています。
チケットは明日10/16(日)発売!(続く)
(文・深津純子)
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