ウミガメの保全活動はなぜ必要?
2022/8/16 10:29
「生物多様性(せいぶつたようせい)」
きっと一度は耳にしたことがあると思います。
地球上には色んな種類の生き物が生活していて、それぞれお互いに影響を与えながら生活をしています。
今回はウミガメが環境や生き物に与える影響について、4つのトピックに分けてお話していきたいと思います。
①陸上の生態系に貢献
陸と海はつながっていて、陸から海へ栄養が運ばれることによって豊かな海が育つ一方で、海の栄養を陸へ戻すという循環が生態系を健全に保っています。
ウミガメも産卵を砂浜でおこなうため、海から陸へ栄養を運ぶ役割を担っています。
ウミガメは1頭が1シーズンに約500個の卵を産みます。
その卵は乾季には水分を、砂の中で死亡した卵は栄養(窒素、リン、カリウム)を植物に供給します。 植物が育つことによって、さまざまな生物が生息できるようになります。
大陸から離れた河川の無い小さな島においては、特に重要な栄養源と言えます。
②魚類の豊富な海に
人が多くの魚を捕り過ぎた結果として、魚に変わりクラゲが徐々に増えてきました。
クラゲは魚の卵や幼生を食べます。これらは、将来、今以上に魚が減少していくことを意味しています。
ウミガメ類のオサガメは1日に200kgもクラゲを食べます。
そのため、オサガメの減少は魚の資源量にも影響を与えています。
③サンゴ礁生態系の多様性へ貢献
タイマイが主食としているカイメン(海綿)は毒を持つため、サンゴ礁生態系の生存競争で勝ち残り繁茂しやすい種類です。
タイマイがカイメンを取り除くことにより、サンゴなど他の生物がサンゴ礁生態系の中で繁殖できるようになります。
海の生き物の1/4が生息すると言われるサンゴ礁生態系。
海の熱帯雨林と呼ばれる重要な生態系を維持する役割をタイマイはになっています。
④海のゆりかご“藻場”を健やかに保つ
アオウミガメは海草・海藻を食べます。
これらが茂っている藻場は、水質浄化や稚魚を育む重要な役割があります。
藻場はかいそうが茂ると動きがなくなり不健康な状態になりますが、それをアオウミガメが間引くことによって動きが生まれ、健全な状態を保つと言われています。
いかがでしょうか??
サンゴ礁や藻場など海洋生態系の中でも要となる重要な生態系に影響があることや、 海だけでなく陸にも恩恵を与えていることが分かってもらえたと思います。
ウミガメは絶滅が危惧されている生き物です。
ウミガメが減ることは人間社会だけでなく、地球の広範囲の生態系に影響がでてきます。
これを機会にウミガメ保全の大切さを見つめなおしていただければ幸いです。
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