▸自己紹介(差し支えなければ病歴)をお願いします。

2014年左乳がん発症

全摘出、翌年より抗がん剤を始め、ホルモン療法を始めるも、2017年再発、肝臓に転移、翌年肝臓20%を摘出し、現在も3週間に一度の分子標的治療薬による化学療法を続けています。

▸闘病中の悩みを教えてください。

身体的には一連のステレオタイプ的な辛さは一通り経験しました。

心身的には、まだ小さな息子と一緒に寝たりお風呂に入ったりすることができない時期があって、長く甘えさせてあげられず母親失格感に苛まれました。社会や家族のお荷物感を感じたり、周りが優しい程、申し訳無さが募ったり、自分だけ違う方向をむいているような孤独感もありました。そして常に「死」を意識して暮らしている自分が今もいて、それを乗り越えた先に生き延びた自分がここに今存在しているのですが、いつしか、健康でなく生き延びている事が罪であるような罪悪感に苛まれるようになりました。

コロナになって、この気持ちはなおさら感じ、これではならぬと

だれかの役に立ちたいと考えるようになりました。

しかしそれは、ある人達に会って、いささか傲慢だと気づき、今は決して

「支援」ではなく、対等な立場で「共（協）働である」ことが、わたしの励みになるなと思うようになりました。がん患者である事を卑下しているのは、私自身だと気づかされました。まだそのジレンマからは、はっきり抜けだせていません。しかし、

1日ひとつ新しいことをみつけて人と交わったり、幸せに思ったりすることの積み重ねで、まわりがそんな人達で溢れだし、

前より充実した日々をおくれるようになりました。本当に小さな一歩ですが、感謝の毎日が続いています。

誰かのために何かをやることに、おごらず労力を惜しまない、私が生きるにはその大義名分が必要だったのかなぁと思います。

▸闘病を乗り越える為に必要なもの(求めていること)を教えてください。

3歩歩いて忘れる性格を持ち、お医者様を信頼しおまかせすることであり、私は本当に主治医に感謝しています。

無理なく小さな日常の幸せを積み重ねることで少し大きな軌跡があるとテンションが上がる⤴️ようになります。

社会のお荷物といったことを上等！と思うことにしました。その分社会や身近な人達に恩返しすることになり、結果みんな笑顔になっていると思います。

▸スマイルハート(オンラインカフェ会)に参加しての感想をお願いします。

オンラインの良いところは、プライベートな空間で安心して参加できるところです。

時に、耳を傾けるだけでもよいし、きつければ辞めればよいので、気が楽です。また　非対面がゆえ誤解をまねかないように伝えたいことを、さらに深く考えて話すようになり、饒舌にもなりました。

学生さんたちの未完成だけど純粋なパワーは、スマイルハートさんならではの

特別感があります。これからを背負う若者達が、私たちを通じてもっと生きやすい世の中を模索し、アクションを起こす機会になるのならこの病気になったのも甲斐があると思えます。

▸大学生(若い世代)に求めていることを教えてください。

ありのままで色んな事を試して感じてください。机上の空論では学べない生の声がここにはあります。そんな声をすくって、お互いの生き方を、寛容に認めあえる存在になる事が、本当の多様性だと思います。

▸今後、スマイルハートに期待することを教えてください。

もっともっとアクティブに活動して、福岡から多様性をみとめあえるような職場や空間を育み、世界に発信できるくらい成長してほしいです。

橋口さん、ひとりでがんばりすぎず、どんどん人を巻きこんで、行動の輪を広げてください。私も微力ながら応援します。今後も期待しています。

▸取材を通して感じたこと

まず取材を通して、やはりまだがん患者さんにとって生きにくい社会であるということが実感できました。その中でも何かを見つけ、強く生きているといったところにすごく感銘を受けました。様々な困難の中でも、患者さんにとって1人になることが1番つらいことであると感じます。医学を学んでいない大学生が出来ることは患者さんに寄り添い、1人にさせないことだと思います。今後も生の声を聞いたからこそ分かる病気についての理解を社会に発信していきたいと思います。