なぜ寄付に頼る運営をしなければならないのか?その背景について
2022/3/26 12:56
現在行っているこのキャンペーンは3月31日まで。1週間を切ったわけですが、昨年もクラファンやって、今回はさらにハードルの高い「マンスリーサポーター募集」(毎月の継続支援を募る)に挑戦中。
なぜ、そこまでしなければならないのか。
そもそも、月5万円も捻出できないほどのぎりぎりの運営になるのはなぜか。
ここに対して、今日は代表の京井が書いてみようと思います。
前提の状況から説明するので、相当長くなります。
今の保育幼児教育の制度に関わる部分もあるので、少々ややこしいです。
でも、この不平等な状況を1人でも多くの人に知っていただきたいと思っていますし、この状況をなんとか打開しようともがいています。
◆平等でない保育料負担◆
衝撃の事実かもしれませんが、
今、野外保育ゆたかに通わせているご家庭の保育料負担は、
月1万円程度のご家庭と、
月4万円以上支払っているご家庭に分かれています。
野外保育ゆたかが保育料としてお支払いいただいている金額は一律です。
この差は、2019年10月に開始した国の制度「幼児教育保育無償化」によるものです。
この制度により、野外保育ゆたか所属のご家庭の中で、
「保育要件を満たすご家庭のみが無償化の対象」
となっています。
ちなみに、認可を受けている認定こども園や幼稚園・保育園に通わせているご家庭は保育要件には関係なく3歳以上は全員が無償化の対象となります。
野外保育ゆたかは「認可外保育施設」です。
「認可外保育施設」の場合は
「保育要件を満たすご家庭のお子さんだけが無償化の対象」
となっているのがこの制度です。
この「保育要件」というのは
「保育を必要とする子どもかそうでないか」を
制度上区別するものです。
「保育を必要とする子」というのは、
保護者が月60時間以上働いている、
保護者が就学している、介護しているなどの子です。
「子どもが小さい時は子育て優先で仕事をしないという選択をしている人」
「下の子がまだ小さいので、家庭で養育している人」
の子どもは「保育要件を満たさない」となってしまって、
無償の対象から外れて、保育料全額を負担しなければならないのです。
しかも、これは認可外園等に通っている場合だけそうなっています。
日本の中で、この無償の対象から外れている子どもはほんのひと握りだと思います。ただ、どの自治体にも一定数は存在します。
私は「日本がこの子達をいないものとしている」と感じています。
また、ゆたかに通って無償化の対象になるために仕方なく働くという選択をする方も沢山いらっしゃいます。
この不平等に関しては、行政にも、議員さんにも訴え続けています。(3月の市議会では、話題にあがりました!)
◆認可園になればいいのだけど◆
それでも、野外保育ゆたかに子どもを通わせたい!というご家庭がいらっしゃるのです。
じゃあ、認可を取れるようにすればいいんじゃないか。
認可をとれば、補助金だって出るから堅実な運営も可能になる。
その通りです。認可を取る道をずっと探っています。
しかし、現時点では難しいのが静岡市の状況です。
認可園になるには、
基準を満たす園舎をもつ、
運営上様々なことを整える、
などの条件がありますが、
今、それらの条件を満たしても、静岡市からは認可は出せないと言われています。
なぜなら、ゆたかの対象としている3歳から5歳の子どもを対象とした認可園に空きがあるからです。
既存の認可園に空きがある状況で、新設の認可園を作ることを認めてはくれません。(色々な力関係が背景に・・)
ゆたかに通わせたい親御さんは定員以上にいらっしゃるのに(お断りすることもあります)、どうやっても認可はとれないのです。
認可をとるという方向への模索は、実は一昨年かなり色々アプローチしました。しかし、今のところ壁はかなり厚い静岡市です。
(他県では認可園となる森のようちえんも増えています。この道はずっと探り続けていきます)
◆運営の安定化のために◆
2019年の無償化が始まるタイミングで、保育料を増額した園はあるようです。
経営的には堅実な判断といえるでしょう。
野外保育ゆたかはその収入の9割をご家庭からの保育料で賄っています。
一方保育にあたるスタッフの専門性に見合ったお給料は全然払えていません。(こちらも大きな課題の一つです)
無償化開始のタイミングでの保育料増額も考えましたが、無償化の対象になっていないご家庭がいる中では、とてもその選択はありえないと思いました。
私京井はNPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟の理事も務めさせていただいており、全国の各園や自治体の情報もふまえた上で、様々な運営安定化のための方策を考えています。
国会議員の方を仲介に、全国の仲間と一緒にこの無償化制度に対する国への署名提出なども行ってきました。
ここ1年、コロナの影響もあり、換気の行き届いた屋外でのびのびした環境で幼児期を過ごさせたいというニーズも増えているようで、見学者や転園希望も増えています。
森のようちえんがメディアで取り上げられることも増えてきました。
ゆたかは2020年に法人化しました。ニーズの高まりもある中、社会的にも認められる活動になっていく必要があると考えたからです。今までは寄付を募ることは積極的には行ってこなかったのですが、寄付を呼びかけることで、また支援をしていただくことで、より多くの方にゆたかのことを知っていただくことができると感じています。
◆家庭の負担を減らしたい!◆
無償化の適用を受けているご家庭であっても、一般的な認可園で支払っている費用よりは多くをお支払いいただいています。(園に補助金収入がないため)
今回のバス運用では、毎月3,000円のバス運用協力費のご負担を各ご家庭にお願いしています。
本当は各ご家庭への負担はこれ以上増やしたくなかったのですが。
今回のクラウドファンディングでマンスリーサポーターさんが多く集まった際には、このバス運用協力費のご負担を減額することができます。
〓〓〓ゆたかサポーターになってください!〓〓〓
野外保育ゆたかは
3歳児4歳児5歳児 24名、
週2の2歳児10名程度の小さな小さなようちえんです。
それでも開園8年、40名以上の卒園児を送り出してきました。
まだまだ足りないところはありつつも、多様な相手を認め合い、育ち合うよりよい環境をみんなで作っている手応えも感じています。
私はゆたかを始める時に、絶対やめてはいけないことを始めるんだ!と腹を括りました。
自分が退く時は、確実に継続可能な形で次の人に引き継ぐ責務があると思っています。
ただ、今の運営状況ではとても誰かに渡せる状況にありません。これからも、様々な可能性を探りながら、運営安定に寄与していきます。
今回のゆたかサポーター募集は、一緒にゆたかを支えていってくださる方を募っています。継続の寄付というのは、簡単には判断できないことだと思っています。
サポーターになっていただいた方には、一緒に参加していただけるような場も企画していきたいと思っています。
ぜひ私たちと一緒にゆたかを作っていってください!
どうぞどうぞよろしくお願い致します。
野外保育ゆたか 代表
特定非営利活動法人ゆたかの木 理事長
京井 麻由
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!!
← 活動報告一覧へ戻る