【Veterans For Peace JAPAN・元自衛官・オリーブ農家 森村 真人さん】からの応援メッセージ
2021/6/20 01:54
高卒から自衛隊に入隊。体力・精神力・戦技と仕事的には充実していた一自衛官が、20年目を目前に自衛隊を退職。退職後6年を経て、今なぜシリアの子どもたちへの支援をしようと思ったのか・・・
2011年東日本大震災の時には、翌日から津波にのまれた石巻市に入り救助活動から遺体の捜索搬送、物資の輸送等の災害派遣活動に従事しました。休みもなくとても大変な任務でした。その中で、多くの被災者の方に感謝の言葉をいただき、「自衛隊に入って本当に人の役に立てた」と初めて実感できた出来事でもありました。
その経験から自衛官として社会に貢献したい思いが強くなり、震災翌年の2012年、PKO活動に参加希望を出しました。日本から出たことのない私にとっては一大決心でした。
UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)は、ゴラン高原でのシリアとイスラエルの停戦監視の支援などが任務。国内で半年の教育と訓練期間を経て、現地へ派遣されて半年間活動することになっていました。
当時の私は、中東の情勢・歴史・文化などはイメージだけで、詳しい知識はありません。座学での教育もありましたが、基礎知識もない私には難しくなかなか頭には入ってはきません…それでも、シリアの内戦が激化しているという情勢の中、「言われた任務をしっかりこなす」ことが、世界の平和に貢献できると考え、仲間たちと訓練に励みました。
さて、自衛隊では「首から下の人間」という言葉がよく使われます。「頭を使うよりも身体を使い、上官からの命令を忠実に遂行できる人間」という意味です。
「敵はA国だ!」と言われれば武器を向ける先はA国、次の日には「敵はB国だ!」と言われれば武器を向ける先はB国。
何かを感じ、学び、考えることよりも、命令に忠実に従う。それが世界中の兵士の正義。「兵士」とは、そのように訓練されてしまうものだと思います。
話は、PKO訓練中に戻って・・・
東京での訓練中の休日、友達と六本木ヒルズの展望台へ行くことになり、その抱き合わせに「アラブ現代アート展」のチケットが。フラッと中に入りました。
そこにはテロリスト(という私の勝手なイメージ)のような民族衣装の男が子どもたちに絵本の読み聞かせをしている映像など日常を描く作品や、アラブのイメージを客観的に表現しユーモラスに抗議・揶揄した作品など数々のアートが並んでいました。その中にこんな言葉がありました。
『近年の日本では、欧米のメディアにより、アラブの世界は宗教対立、テロリズム、戦争・紛争などの不穏な印象を与える情報が多いように思われます。しかし私たちは、日本のみなさんと同じように平和を愛し、変化に富んだ自然環境を愛し、家族愛や友愛に満ちた生活をしています。私たちはあなたたちと変わらないのです。』
ん?んん?
中東諸国のなんとなく不穏なイメージ、アメリカの正義のイメージ。
それはメディアの印象操作による正義だったのか?それは見方を変えれば悪ではないか?そのような国家の印象と、そこで暮らす人々の現実は全く別なのか?
私は頭から冷水をぶっかけられたような気持ちになりました。メディアの情報や自衛隊内での情報の偏り。言われた任務をしっかりこなせば平和に貢献できると兵士の正義を持った自分。今までの私の正義はびしょ濡れになり崩されました。
訓練中の休日に、導かれるように、ただフラッと入ったアート展が、私の平和への意識に大革命を起こした出来事です。
その後、派遣される予定のシリアや中東諸国についてもっと知りたくなり、ネットで検索、検索・・・
今までの私の持っていた印象とは違い、シリアの治安の良さ、優しさ溢れる国民性を知ることになります。さらには、この中東諸国の度重なる紛争に対し、日本が国際貢献いう名で関わっていくことに、疑問すら湧いてきました。
訓練も終盤に差し掛かった頃、シリア情勢はさらに悪化。結局、私たち35次隊は派遣されることなく、解散となりました。初のPKO活動で「世界の平和に貢献できる!」という私の思いはモヤモヤと不完全燃焼のまま。とうとう、自衛隊にいるだけでは本当の平和は作れないと、2015年退職することになります。
そして、いろんな経緯があり、パートナーと小豆島に移住し、オリーブを栽培して生計を立てることになるのですが、農家の経験はなく、あれこれ勉強する中で、オリーブの起源は、このシリアのあたりだということを知ります。
そんな中、シリアの子どもたちに教育支援をする「Piece of Syria」という団体を見つけました。
難民となったシリアの子どもたちは生活も大変な状況で、ろくに教育も受けられない。
子どもたちは希望なんだ!子どもたちが夢を持てる学校を!と、シリアの青年たちが自分の生活も困難な状況の中で支援を続けています。その青年の活動を応援しようと「Piece of Syria」がクラウドファンディングの呼びかけをしていました。
そのオンラインイベントでは、紛争前の安全で豊かなシリアの様子が紹介されていました。背景にはオリーブ畑が見えたり、美味しそうなオリーブ料理を笑顔で囲む写真だったり。
危険、怖いというイメージではなく、とても豊かで穏やかなシリア。これは、私がPKO活動訓練中のアート展に導かれた時の感情とよく似ていました。ただ少し違うのは、オリーブ農家として、シリアのオリーブ畑を見てみたいというワクワクするような感情が湧いてきたことです。
元自衛官になった現在では、平和のシンボル・オリーブを育てながら、Veterans For Peace JAPANの一員として「世界の平和に貢献できる!」という思いを再び燃焼させ続けています。
戦闘服を来て行く予定だったシリアが、今は、オリーブの発祥・産地として憧れ、行ってみたい国になりました。
そして、シリアから逃れ難民となり教育を受けることができない子どもたちを支援できたことは、世界中の子どもたちに幸せな未来を繋げるためであり、世界平和へと繋がるでしょう。小さいけれど確実なひとつの種になると信じています。
Veterans For Peace JAPAN・元自衛官・オリーブ農家
森村 真人さん
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森村さん!熱く、そして温かな応援のメッセージをありがとうございます!Piece of Syriaの中野です。
森村さんはクラウドファンディングへの応援から始まり、このたび、パートナー会員になってくださいました。また、Veterans For Peace JAPANさんの中で、私たちの活動についてもたくさん情報をシェアしていただくなど、支援だけにとどまらない、心のこもった応援をしてくださっています。
現在、オリーブ農家をされていると聞いた時、僕がシリアで協力隊として生活をしていた時に過ごした村にあった、一面のオリーブ畑を思い出しました。(シリアのオリーブオイルは本当に美味しいです!)
いつか森村さんとオリーブ畑を一緒に見ることができる日が楽しみで仕方ありません!
その前に小豆島にもぜひ、お伺いさせていただければ幸いです。
Veterans For Peace JAPAN:https://www.facebook.com/vfpjp/
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